第一生命 D.LEAGUE 23-24 ROUND.11!CyberAgent Legit がチャンピオンシップ進出確定のスウィープ勝利!RAISERZ、8ROCKSもスウィープ勝利。MVDはYU-KI。残り枠をかけた戦いはさらに熾烈に!

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チーム・協会

KOSÉ 8ROCKS 【D.LEAGUE】

世界最高峰のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE 23-24」(以下D.LEAGUE)のROUND.11が2024年3月21日、東京ガーデンシアターにて行われた。レギュラーシーズンも佳境に入り、CyberAgent Legit がスウィープ勝利でチャンピオンシップ進出が確定した。KOSÉ 8ROCKの初スウィープ勝利、RAISERZが今シーズン2度目となるスウィープ勝利をあげ、ドローなしの熱戦に次ぐ熱戦が繰り広げられた。結果は以下。

1st Match : FULLCAST RAISERZ VS DYM MESSENGERS(6-0)
2nd Match : SEPTENI RAPTURES VS KADOKAWA DREAMS(2-4)
3rd Match : Medical Concierge I'moon VS LIFULL ALT-RHYTHM(2-4)
4th Match : CyberAgent Legit VS dip BATTLES(6-0)
5th Match : Valuence INFINITIES VS avex ROYALBRATS(5-1)
6th Match : Benefit one MONOLIZ VS KOSÉ 8ROCKS(0-6)

CS進出確定!LegitのHarder, Better, Faster, Stronger

本ラウンドも、前ラウンドに引き続きドローなしで全ての試合に勝敗が決まるという波乱の展開。Dリーガーの華々しい活躍の裏には、ステージで本領を発揮するための努力がある。

Valuence INFINITIESはシンクロ率の高さを武器とするaRBに対し、自分たちの弱点である揃える力をパワーアップするためにSPダンサーMAiKAを召喚。RUSHBALLとして世界規模で活躍する、男勝りなパワーと繊細な揺らぎを両立できる稀有なダンサーだ。

コンタクトインプロビゼーションで始まり、MAiKAのソロ以外ほぼユニゾンやルーティーンで揃えるという構成だ。前半で照明と揃えを重視した空間作り、後半でシルエットや遊びで個性を出しながらも空間を膨らませていくINFINITIESらしさもしっかり出し、新しい渋さを感じさせるショーであった。

Valuence INFINITIES 【D.LEAGUE】

ROUND.2でSPダンサーBOOとコラボした時から、INFINITIESは「デスマーチ」と呼ばれる詰めを行っている。鏡に合わせて1度踊り、鏡なしで6回連続で踊り込み、動画でどこが良い悪いという指摘を繰り返すのだという。

ダンスの活動量を例えるなら100m走の全力疾走状態をショーの時間中ずっと続けている、というとわかりやすいだろうか。それを6連続で踊るというハードな練習の話を聞いた他のチームからは驚きの声が上がった。

そして今シーズン負け知らず、勝率80%という脅威の記録を更新し続けるCyberAgent Legit。今回の作品は1chがディレクションに手を挙げたという。

「大きな魚(FISH BOY)を釣り上げます」と挑発するdip BATTLESに対して、無我夢中で踊り、汗が蒸発するほどの情熱を表現するというLegit。

情熱を表現するストーリー作品かと思いきや、フューチャーベースに合わせて無機質なダンスを展開する。時折表情を変えるこだわりは、解釈しがいがあり要注目だ。

KANATO、BBOY SHOSEIのソロからダンサーズハイを感じさせるような1chのKRUMPソロ。ファットな音どりとメカニカルな振り付け、緻密なバイブレーションや多彩な音どり。

CyberAgent Legit 【D.LEAGUE】

「自分たちができることを最後まで詰め込み攻撃力の高い作品に仕上げた」とTAKUMIは語る。

本ラウンド直前にSNSでスウィープ勝利すればCS進出確定と投稿され意識したメンバーもいただろう。過剰な緊張も過剰なリラックスも音どりをミリ秒単位でずらすことがある。しかし、しっかりとメンタルコントロールをして見事に実力を出し切っての勝利となった。

ダンス表現という正解がいくつもある世界で、より早く、より良いものを並行して作り続ける環境は過酷だ。CSは短いスパンで3作品を用意せねばならず、早期に進出したことで他のチームより有利に準備を進めることができる。昨シーズンは果たせなかった優勝を今年は実現できるか、熱いドラマが続いていく。

絆の力、応援の力

1st Matchの FULLCAST RAISERZ VS DYM MESSENGERSの試合ではFULLCAST RAISERZ がスウィープ勝利を収めた。開幕時から一緒に戦い、現在はRAG POUNDとして活躍するSoulja Twiggz"SHOOT" & Baby Twiggz"SHUN”がSPダンサーとして登場。日本を代表するKRUMP集団”Twiggz Fam”によるストレートKRUMPでの真っ向勝負に挑んだ。

楽曲は自分たちで用意しKILLA TWIGGZとSoulja Twiggzがラップを担当。それぞれのソロ、ハットトリック、大ジャンプ。説明不要の爆発力のオンパレードに、サイドフロートなど繊細な技もしっかり埋め込まれている。開幕1戦目にも関わらず横一列に並んでのラッシュで、これぞRAISERZと言わんばかりに客席のボルテージをあげていく。最後は絆を象徴するように拳を突き上げ、FAMとともに自分たちの原点にカム”バック”した姿を見せた。

KRUMPの文化では「FAM」という血のつながりを超えた絆を大事にしている。詳細な解説はKOB ent.のサイトなどを参考にしてほしいが、KRUMPを日本での一時のムーブメントで終わらせず、多くのストリートダンスに エレメントとして取り込ませ、今なお進化させ続けているRAISERZ。新体制となり、少数精鋭かつメンバーそれぞれ役割を持ち、しっかりと潜在能力を伸ばすために蒔いてきた種が、後半戦で開花してきた。

FULLCAST RAISERZ 【D.LEAGUE】

2nd MatchmのSEPTENI RAPTURES VS KADOKAWA DREAMSもお互いに真っ向勝負を挑む注目の一戦となった。RAPTURESは王の地位を奪う「簒奪」をスローガンに、昨シーズン王者KDに対して王座を奪いにかかる。入場からMiYUがステージに登り雄叫びをあげ、気合の入り方が伝わってくる。

ランキングのメタファーか、階段状になったオブジェクトに対して佇むMiYUから始まり、いつものスピード感に加え太い音どりとテクニカルなルーティンで魅せていく。雄叫び、リスキーなコンビネーションとアクロバット、ノンビートのシーンではMiYUが照明の中をゆっくり歩きアニメーションのようなスローアンドクイックでKDの得意な空間演出を完全にオマージュし、さらに頭一つ抜き出ようとする真っ向勝負だ。

今シーズン培ったフィジカルをしっかり見せつけながら、山場をさらに2ヶ所用意し、10分くらいの作品を見ているのかと錯覚してしまうほどの高い密度で、余韻まで含め高いポイントが期待できる構成力だ。

SEPTENI RAPTURES 【D.LEAGUE】

一方KDは阿波踊りで登場し、和テイストの作品を用意する。HINATA.Mがラップを加えた楽曲のリリックにも注目だ。

冒頭の10秒以上を贅沢に、行進だけに使うという構成で、世界観をしっかりと伝えてくる。衣装の編笠は、首の動きが効果的に見える分、頭のぶれが目立ってしまうリスクを背負う。首の動きのオンオフまでしっかり神経を使い、ボディコントロールとアイデア勝負が得意なRAPTURESを意識して、さらに頭一つ抜き出ようとする真っ向勝負だ。


クイックなルーティーン、4人での同時ロンダートバク宙、4連続バク転からフリーズと三点倒立、エアウォークと高難易度な技を魅せていく。

コンセプトの強いダンスは最後まで貫けるかが大きな採点要素となるが、最後のラッシュではしっかりと笛を和太鼓のばちとして使い、鈴の音でのスローモーションで余韻までみせきった。

KADOKAWA DREAMS 【D.LEAGUE】

どちらが勝ってもおかしくない熱のこもった勝負だが、KDがギリギリのところでオーディエンス票を獲得。まさにオーディエンスの力で勝利を手にした。KDの牙城はやはり強く、RAPTURESは一揆を成し遂げることはできなかった。

リスクを越えてKOSÉ 8ROCKS初のスウィープ勝利へ

D.LEAGUEの舞台には大きな2つのリスクが存在する。一つは大技やトリックをはじめとする振付が本番で成功するかどうかというリスク。もう一つは技の負担の大きさなどから怪我をしてしまうリスクだ。

ブレイキンをコアにする8ROCKSは常に両方のリスクに晒されながら、乗り越えてきた。アクロバットやパワームーブなど、集中力が切れると怪我のリスクが高まるため、練習の時も集中する時間とそうでない時間と、メリハリをつけているという。

今回はMONOLIZを相手に、メインディレクションをSHUVANが担当、SPダンサーに九州男児新鮮組からSO-TAを迎え「花火」をテーマにストレートなブレイキンを見せた。

打ち上げ花火の音に合わせ始まったショーは、職人顔のメンバーが華やかにパワームーブ、アクロバット、組み技を次々と繰り広げる。膝の赤いラインがアクセントとなり、見事に火花を表現し会場からは何度も感嘆の声が上がる。

九州男児ルーティーンと呼ばれる振り回し技も、SO-TAの登場で安定感を持って成功させた。着地位置に合わせて土台役が移動するなど細かな調整が行われていた。本人たちの解説動画もあるため、どれだけリスキーかをぜひ確かめてほしい。

KOSÉ 8ROCKS 【D.LEAGUE】

粋なパワーブレイキンのエンターテイメントを披露したが、昨シーズンから積み上げてきた歴史へのリスペクトも紐付き、ここ一番という攻撃力に昇華され、見事なスウィープ勝利へと繋がった。

また、今回I'moonに勝利したALT-RHYTHMも、確認しただけでも4パターンのリフトや抱え技をショーに盛り込みながら、全く負担があることを感じさせないハッピーな作品を展開した。人を抱え上げるリフトはかなり筋力を使うため、アクロバットとはまた違う故障のリスクが伴う。

LIFULL ALT-RHYTHM 【D.LEAGUE】

どのチームも成長や開拓を経てリスクのある技ができる人材がどんどん増えており、ノウハウのシェアも活発化しているようだ。

LegitがCSに進出し、CS進出は残り5枠となった。上位チームはさらにレギュラーシーズン優勝を巡って、リスクと完成度の高い作品を用意するチームが増えてくると予想される。

残り3試合、そしてCSや来シーズン以降も踊り続けられるよう、大きな怪我がないことを祈りながら応援し続けよう。
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著者プロフィール

D.LEAGUEとは、“世界中すべての人に「ダンスがある人生」をもたらす”をミッションに、活動を通じてダンスへの認知・理解・共感を実現し新しい文化と産業構造を創造する、2020年8月に発足した日本発のプロダンスリーグです。

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