【ラグビー/NTTリーグワン】武者修行で作り上げた真新しい自分。 若武者は家族、友人に成長を見せる<レッドハリケーンズ大阪>

レッドハリケーンズ大阪 土橋選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

3月24日(日)、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)は、いわぎんスタジアムで行われるビジターゲームに臨む。

RH大阪に、岩手県北上市出身の選手がいる。スタンドオフの土橋郁矢だ。黒沢尻工業高校では、2年生のときから先発に定着すると全国高校大会岩手県大会を制し、“花園”行きを二度勝ち取っている。岩手県大会の準決勝と決勝戦が行われるのは、今節と同じいわぎんスタジアム。土橋にとっては良い思い出が詰まった場所だ。

東洋大学を経てRH大阪に加入したのは、昨季のことだった。アーリーエントリー選手として、チームに合流。ほかの選手が個人練習を終えてグラウンドをあとにしてもなお、ずっと一人で練習を続ける姿が合流当初から印象的な選手だった。合流間もない昨年2月のうちに、誰からともなく「もうこのグラウンドに住めばいいのでは」と言われるようになり、いつの間にか「たぶん、もうここに住んでいる」と言われるようになった。大阪らしい冗談を交えた表現だが、それは誰が見ても“誰よりもグラウンドで練習している”という評価だった。

土橋本人は、「最近はRH大阪ファンの方たちにも言われるようになったので、恥ずかしい」と苦笑いしていたが、そもそもRH大阪への加入を選んだのは、「家族も友だちもいない環境に身を置いて、ラグビーに集中したい」と思ったからだった。本人からすれば、「武者修行のような気持ち」で加入したぶん、ひたすら練習に取り組むのは至極当然のことだった。

その誰よりも練習に取り組む姿勢への評価は、今季の開幕戦に表れた。経験がなかったフルバックとして先発し、ファーストキャップを獲得。以降、バックスリーで出場を重ねている。

第4節のあとに行われたチーム内の紅白戦で負傷していた土橋。「今シーズン中の復帰は難しいかもしれないと思っていた」と言うが、メディカルスタッフのサポートを受け、「岩手での試合に出たい」一心でリハビリにも前向きに取り組んだ。控えメンバー入りした今節が、5試合ぶりの復帰戦。控えには、同じスタンドオフの呉嶺太も名を連ねている。アクシデントがない限り、土橋はおそらく今節もバックスリーでの出場となるだろう。

岩手にいる家族や友人は、スタンドオフではない土橋をまだ見たことがない。思い出深いスタジアムで、これまでも得意としてきたキックと“武者修行”で得たランを武器に、チームに貢献している真新しい自分を見せたい。

(前田カオリ)
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ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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