【ラグビー/NTTリーグワン】逆襲は始まったばかり。“切り替える力”を 武器に挑む首位との決戦<クボタスピアーズ船橋・東京ベイ>

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 島田悠平選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

奇跡的な逆転劇で金曜夜の秩父宮ラグビー場を熱狂に染め上げた前節の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)戦。試合直後のバックステージには、何やら納得のいかぬ表情を浮かべる選手がいた。

「前半から後半の序盤まで相手のアタックに翻ろうされていた中で、自分自身もっとディフェンスのやりようがあったのではないか、と。また、キックオフからの流れも、あまり良くありませんでした。もちろん(勝った)喜びはあったのですが、内容的には多くの課題が残った試合でした」

島田悠平。2020年にクボタスピアーズ(当時)に入団するも、公式戦出場の機会になかなか恵まれず、2022-23シーズンの開幕節でデビュー。そこから順調に試合出場を重ね、本領を発揮したのが昨季の2023年4月、第15節NECグリーンロケッツ東葛戦。バーナード・フォーリー、ゲラード・ファンデンヒーファーといった名キッカーを欠いた中、島田は9度のキック機会すべてに成功。難しい角度のキックも見事に決め、存在感を示してみせた。

しかし、この一戦を最後に、島田の名前はメンバー表から消えた。リーグ戦最終節の東京サントリーサンゴリアス戦、そしてプレーオフトーナメント準決勝、続く決勝戦のピッチにも彼の姿はなく、そして今季開幕節のメンバーリストにも彼の名が記されることはなかった。

「キックの成功率以外の部分で、例えばG(ゲラード・ファンデンヒーファーの愛称)と比較した場合、まだまだ自分に足りないところがあるということです。もちろん悔しい気持ちもありましたが、現状を受け止めて、課題と向き合っていくしかないと思いました」

「感情に変化が起こったときに、いかに対応していくか。そこはすごく大事なところ」と島田は語る。屈辱を味わったときこそ、次に自分が何をやるべきなのかを考える。前節の横浜E戦のときのような喜びを感じる状況でも同様で、この“切り替え力”が島田の武器にもなっている。

「悔しいからといって現状を認めないのも、それは違うと思います。(考えるべきは)現状を受け止めた上で、次にやるべきことは何かということ。そこは感情に左右されるべきところではないと思います」

2月に開催された「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」。ギャラガー・チーフスとの一戦にて、島田は久しぶりに出場。溜めてきた何かを一気に噴出するような生命感あふれるファイトは、最後のワンプレーまで勝敗の行方が読めないスリリングな攻防を生み出した。そして第9節、トヨタヴェルブリッツ戦でついに今季初キャップ。続く第10節、横浜E戦ではコンバージョンゴールを決め、自ら熱戦を締めくくった。

「例えば、練習試合でいいパフォーマンスを残せたと思っても、コーチの意見との相違はあるものです。すぐに試合に出られるわけではありません。自分が成長するために、コーチのアドバイスを受け入れて、次にやるべきことを考える。その結果、チャンスが巡ってきたんだと思います。このスタンスは、今後も変えずにいこうと思っています」

次節は3月22日、秩父宮ラグビー場でのホストゲーム。相手は首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツ。昨季プレーオフトーナメント決勝戦の再戦に、島田は15番を背負ってピッチに立つ。

「チームが(5勝5敗と)厳しい状況にある中、負けられない相手。いいチャレンジができる機会だと思います。自分自身も100%以上のパフォーマンスを発揮して、チームがいい結果を出せるように引っ張っていきたいです」

今こそ“切り替え力”を信じよう。逆襲は、まだ始まったばかりである。

(藤本かずまさ)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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