下山真二のスカウト道 社会人選手獲得への情熱と思い
【オリックス・バファローズ】
写真:堀選手㊧の指名挨拶で笑顔を見せる下山㊨ 【オリックス・バファローズ】
◆4人の新人選手を担当
昨シーズン、東海地区をメインに担当していた下山。新人12選手のうち4人が下山の担当選手だった。ドラフト3巡目の東松快征投手、4巡目の堀柊那選手、5巡目の高島泰都投手、育成3巡目の宮國凌空投手。「僕が担当する地区に嬉しいことに有望な選手が多かった。ドラフトの後は指名挨拶や仮契約でむちゃくちゃ忙しかったです。過去イチ大変でしたね」と充実の1年を過ごしたそうだ。
写真:ドラフト5巡目で王子から入団したルーキー、高島投手 【オリックス・バファローズ】
◆即戦力の獲得
そこには現役引退後8年間コーチとしてチームを支えた経験も生きる。「ドラフト候補の投手を見る時には、コーチ時代に立ち返って自分ならうちの選手たちにどう指示するかを考えます。どう狙い球を絞らせてどう対策すべきかを頭の中でシミュレーションします。その中で高島投手は『このカウントでこのコースと球種で勝負してくるのか!』と驚かせてくれました」と話す。即戦力選手の調査は下山にとって大きな醍醐味の一つになっている。
写真:オープン戦で力投する阿部投手 【オリックス・バファローズ】
◆社会人選手の「光」
28歳の年で指名された阿部投手には、入団当初からエールを送り続けていた。「社会人野球の『光』になれ」と。
「社会人選手たちは20代後半になるにつれてプロへの夢や挑戦心がどうしても小さくなってしまう気がするんです。28歳でプロ入りした阿部投手が活躍すれば『俺もまだまだいけるんちゃうか?』と上を目指す選手が出てくるはず。そうなれば社会人野球全体ももっと活気づいて盛り上がると思ったんです」と下山は語る。
写真:現役時代の下山 【オリックス・バファローズ】
◆ピークは人それぞれ
年齢は足かせではない。経験を重ねることで円熟したプレーができる選手もいる。素材、身体能力、センス、負けん気。あらゆる要素を総合して、魅力を感じればマークする。阿部投手を推した時も迷いはなかった。
「平野佳寿投手や比嘉幹貴投手など40歳前後まで長く活躍している選手を見れば、20代後半のプロスタートはちっとも遅くありません」と強く主張する。
◆解禁年を過ぎた社会人選手もマーク
下山は、阿部投手の活躍はスカウト界にも影響を及ぼしたと感じている。他球団のスカウトも、ドラフト解禁年を過ぎた大卒3年目以上の社会人選手をしっかりマークするようになったという。メディアのオールドルーキーへの注目度も高まっている。「阿部投手のおかげで追うべき選手が増えたんで大変ですよ」。眉を下げて笑う様子からは、特別な喜びと手応えを感じさせる。
写真:スカウト業務について笑顔で語る下山 【オリックス・バファローズ】
◆新たな出会い
下山は今年から東海地区に加え、北陸と長野も担当する。「少しずつ雪も溶けてきました。また試合も練習もたくさん見に行って面白い選手を見つけてきます!」。待ちわびた球春到来。新たな選手たちとの出会いに早くも胸を高鳴らせていた。(西田光)
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