【第48回能美競歩】レポート&コメント:勝木隼人&下岡仁美が大幅自己記録で初優勝!東京世界陸上、ロサンゼルス五輪に向けた抱負を語る
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男子は勝木がパリ五輪派遣設定記録を突破して優勝! 東京五輪代表の3名が表彰台を独占!
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ここで、勝木選手が勝負に出ます。15~16kmを3分49秒まで一気に引き上げると、川野選手を除く2人が先頭争いから脱落。続く16~17kmも3分52秒でプッシュした勝木選手に対し、川野選手は4分4秒と失速し、大きく差が広がります。勝木選手は17~19kmこそ1km4分までペースを落としたものの、最後の1周は残る力を振り絞って1km3分54秒まで再加速し、日本歴代10位となる1時間18分43秒の好記録でフィニッシュ。20km競歩では初のビッグタイトルを手にしました。川野選手は11秒差の1時間18分54秒で、2位を死守。ゴール前までもつれ込んだ3位争いは丸尾選手が着差ありの同タイム(1時間19分12秒)で吉川選手に競り勝ち、奇しくも表彰台は2021年東京オリンピック50km競歩代表3人が独占する結果となりました。
吉川選手は学生選手権の部で前年覇者の萬壽選手を8秒差で退けて初優勝を飾り、2位に終わった前年の雪辱を見事に果たしました。
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下岡が2分以上の大幅自己記録で初タイトル獲得!
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レースはスタート直後から昨年9月の日本学生対校選手権女子10000m競歩覇者・下岡仁美(同志社大学)が前に出て、最初の1kmを4分42秒で通過。これに内藤未唯選手(神奈川大学)が2秒差、渕瀬満寿美選手(建装工業)が3秒差で続きましたが、そこから1km4分30秒台にペースを上げた下岡選手が後続との差をどんどん広げ、前半戦で「独り旅」の展開に持ち込みました。その後も5kmを23分7秒、10kmを46分18秒(この間の5km23分11秒、以下同じ)で順調なペースで通過した中、12kmを過ぎた頃から急激に雨風が強まり、気温も7度前後と厳しい天候が下岡選手を苦しめます。それでも、「横から吹く風ではなかったので、(向かい風の中で)『ここを耐えたら、折り返した後は楽になる』というのを繰り返した」と、自らを鼓舞し続け、15kmを1時間9分42秒(23分24秒)で通過。残り5kmも24分11秒でカバーし、自己ベストを2分以上短縮する1時間33分53秒で初優勝を飾りました。
2位争いは渕瀬選手が6km付近で内藤選手を突き放すと、終盤に猛追を見せた永井優会選手(金沢学院大)を16秒差で振り切り、1時間37分45秒でゴール。永井選手は前回大会で記録した自己ベストを8分近く更新する大躍進で、3位に輝きました。
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【全日本競歩能美大会男女優勝者コメント】
勝木隼人(自衛隊体育学校)
優勝 1時間18分43秒
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(逆転勝利に)もう僕の勝てる展開、勝ちパターンはこれしかないと思っていた。僕の場合、スピードが他の選手よりないので、自然と後半に上がってくるような練習をしてきましたので。こういう展開で勝てればなと最初から思って、狙っていました。
優勝はめちゃくちゃうれしくて。本当にそろそろ現役を退く時期かなというのをちょっと考えていたので。パリはもし出られなかったとしても、次の東京世界陸上やロサンゼルスオリンピックに向けて、良い弾みになったのかなと思います。
(4月に輪島市で開催予定だった日本選手権35km競歩が中止となり)僕が一番お世話になった場所なので、悲しい気持ちと、本当に皆さんがちゃんと生活できる状態に早くなってほしいなっていう気持ちがある。その中で、こうやって能美の大会が開催されるっていうことも本当にありがたいということですし、こういった試合をして、ちょっとでも元気づけられる方がいればいいなと思っています」
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下岡仁美(同志社大学)
優勝 1時間33分53秒
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1カ月前の日本選手権に出れなかったが、沿道でレースを見ていてすごく刺激をもらった。今トップを行く岡田選手や藤井選手には敵わないですが、少しでもそこに近づけるように、まずは今大会で1時間33分台を目標にしていました。それは最低限達成できたのでよかったです。学生最後のレースで、しっかりと学生選手権のカテゴリーだけじゃなく、全日本のカテゴリーでも優勝できたので、すごく自信になりました。
来年の東京2025世界陸上は35km競歩での出場を目指しているので、今年10月の全日本35km競歩高畠をターゲットにしていく上で、1km4分40秒ペースを意識して練習していた。まずはそのペースでどれぐらいまで自分が粘れるかというのを試す上で、(今大会は)周りがどういう展開であっても、自分は自分のペースで行こうと思って行きました。
途中、風や雨で心が折れかけていたのですが、2回目の折り返しからは(追い風で)大分楽に感じたので、向かい風の時はとにかく耐えようっていう気持ちで歩いていました。
日本インカレ(学生対校選手権)の前は、もうこれで最後にしようと思っていた。でも調子が上がってきて、やっぱり陸上が楽しいって思えるようになってきて、インカレも優勝できたので、やっぱり自分が納得いく、自分がどれぐらい高みまで行けるのかというのを試したいと思いました。4月からは一般企業で、時短で働かせてもらいながら競技を続けます」
文:読売新聞 西口大地
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