差し馬が2連勝中の短距離重賞の狙いは上がり3ハロン/佐賀・九州クラウンデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年九州クラウン優勝リュウノシンゲン 【撮影:佐賀県競馬組合】

第3回 九州クラウン(3歳以上、ダート1400m)
3月10日佐賀8レース 18時15分発走予定


佐賀競馬で主流のダート1400mでの重賞。厳密には「3歳以上」という出走条件だが、3歳3月で古馬と対戦する馬はおらず、実質的には古馬による短距離重賞との認識でいい。根岸ステークスなど重賞5勝をJRA時代に挙げたテイエムサウスダンが佐賀移籍2戦目を迎え、例年以上に注目を集める。
当レースはまだ3年目とあって、ここでは過去2回のデータに加え、同舞台の「佐賀ダート1400m」の過去3年のデータも参考に分析を行う。

4番人気以内で決着

サンプル数は少ないが、当レースが行われた過去2回では単勝1番人気と3番人気が各1勝。3着以内はみな単勝4番人気以内からとなっている。なお、3連単は2022年が1万4170円(3番人気→4番人気→2番人気)、23年は1920円(1番人気→4番人気→2番人気)だった。

単勝人気別成績 【表1】

過去2回とも差し馬2勝

勝ち馬のみならず、2着馬もみな差す競馬だった。逃げと先行は3着が各1回ずつ。これは次項に示す通り、この舞台としてはかなり差し馬の成績がいいデータである。過去2回が偶然、有力な差し馬がいたり、展開が向いた可能性も否定しきれないが、頭の隅に置いておいてもいいだろう。

脚質別成績 【表2】

他の小回りよりも差しが届きやすいコース

では、この舞台で各脚質の成績はどうなのか。当レースと同じ「佐賀ダート1400m」での過去3年の成績は下記の通り。1周1100m、直線はゴールまで200mの小回りコースとあって、やはり基本は逃げ・先行有利で、ともに3着内率は40%を超える。その一方で、差し馬が好成績を収めているのも佐賀の特徴。同じ小回りコースの園田競馬場や名古屋競馬場よりも各数値がいい。

脚質別成績(佐賀ダート1400m) 【表3】

注目は38秒9より速い末脚!3着内率50%超をマーク

では、差し馬の中でも狙うべき馬はどんな特徴を持った馬だろうか。代名詞でもある「末脚」に注目したい。下表は差し馬の上がり3ハロン(ゴールまでの600m)のタイム別成績。馬場状態やペースなど不確定要素を含むものの、39秒台前半より速い末脚を使える馬の成績がいい。特に、38秒9以下の末脚で差した馬の3着内率は50%超と注目できるデータだ。

差し馬の上がり3ハロン別成績 【表4】

枠による極端な有利不利はなし

この舞台における馬番別成績はこちら。佐賀競馬場は内ラチ沿いの砂が深く設定されており、特に2月12日佐賀記念が行われる開催前に砂の入れ替えが行われて以降はいつも以上に内ラチ沿いを広く空けるレースが見られていたが、先週くらいから内枠も3着以内に入る頻度が増えてきた。3年間のデータを見ても、枠による極端な有利不利はないと考えていいだろう。

馬番別成績 【表5】

石川倭騎手(北海道)が佐賀を熟知

この舞台が得意な騎手は誰だろうか。やはり1位は「ミスターほとんどパーフェクト」の異名を持つ山口勲騎手。次点に、昨年初の佐賀リーディングに輝いた飛田愛斗騎手が続く。勝利数は少ないため、最下段の表示となった石川倭騎手はホッカイドウ競馬の所属。これまで3回、冬季に佐賀で期間限定騎乗を行っており、いずれも期間中トップ3に入る勝ち星を収めており、勝手知ったるコース。勝率や3着内率の高さを見ても、この騎手には一目置くべきだろう。
なお、下表は九州クラウンに騎乗予定の騎手のみを抽出した。

騎手別成績 【表6】

有利なローテーションは?

最後に、ローテーションからの注目は「ウインターチャンピオン3着以内」と「A1・A2(1400m以下)で勝利(1カ月以内)」の2つ。
前者は11月下旬~12月に行われる重賞で、今回と同舞台。過去2回で4頭が出走し、1勝、2着1回、4着以下2回で、4着以下のうち22年ミスカゴシマはハナ差4着と馬券圏内まであと一歩だった。
後者は「A1・A2」もしくは「A1」表記の1400m以下のレースを1カ月以内に勝った馬。過去2年で5頭おり、2勝、2着1回、3着1回。唯一馬券圏外となったのは先にも登場したハナ差4着のミスカゴシマだった。
なお、「1カ月以内」との期限付きだが、開催曜日の関係上、前後1日も含んでデータを作成した。

データからの推奨馬は?

① 上位人気馬
② 逃げ・先行馬
③ ウインターチャンピオン3着以内
④ A1・A2(1400m以下)で勝利(1カ月以内)
⑤ 差し馬なら、近走で上がり3ハロン38秒9以下の末脚を使えている馬
⑥ 山口勲騎手、飛田愛斗騎手、石川倭騎手(北海道)だとなおよし

リーチは2歳時に川崎・鎌倉記念を制するなど門別で活躍した馬。佐賀移籍後2連勝ののち、前走は姫路に遠征して兵庫ウインターカップで2着だった。鋭い差し脚が武器で、佐賀での2戦は37秒台の末脚を繰り出した。直近3戦と同じく石川倭騎手(北海道)が騎乗で、①⑤⑥に当てはまる

ジョンソンテソーロは佐賀移籍後7戦6勝、2着1回とほぼパーフェクトな成績。唯一2着に敗れたのは重賞・ウインターチャンピオンという点からも、佐賀短距離界でトップクラスだ。山口勲騎手騎乗で、①②③④⑥に該当。

馬券的に取捨を悩むのは、JRA時代に重賞5勝を挙げたテイエムサウスダンだろう。佐賀移籍初戦の前走は姫路・兵庫ウインターカップに遠征して6着。平山宏秀調教師によると、余裕残しの仕上げだったとのことで、ひと叩きされて実績馬がどこまで調子を上げているか。①に該当で、騎乗する落合玄太騎手(北海道)は佐賀初騎乗となる。

④からは同舞台の前走を勝ったアイリッシュセンス。近走では37秒台の末脚も3走続けて使えており、⑤にも当てはまる。
また、ダイリンウルフも37~38秒台の末脚を安定して使えており、⑤で、井上幹太騎手(兵庫)は佐賀で20年に2鞍の騎乗があり、2着1回。
一方で、有力が差しタイプなことから、逃げ粘りを期待するならロトヴィグラスか。

第3回九州クラウン 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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