第一生命 D.LEAGUE 23-24 ROUND.9!RAISERZとLUXが雨過天晴のスウィープ勝利!MVDはWILD TWIGGZ!

D.LEAGUE
チーム・協会

FULLCAST RAISERZ 【D.LEAGUE】

世界最高峰のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE 23-24」(以下D.LEAGUE)のROUND.9が2024年2月25日、東京ガーデンシアターにて行われた。FULLCAST RAISERZ、SEGA SAMMY LUXが共に今シーズン初となるスウィープ勝利で凱歌を揚げた。結果は以下。

1st Match:SEPTENI RAPTURES VS LIFULL ALT-RHYTHM(1-5)
2nd Match:avex ROYALBRATS VS CyberAgent Legit(3-3)
3rd Match:KOSÈ 8ROCKS VS KADOKAWA DREAMS(5-1)
4th Match:DYM MESSENGERS VS Medical Concierge I'moon(5-1)
5th Match:Valuence INFINITIES VS FULLCAST RAISERZ (0-6)
6th Match:Benefit one MONOLIZ VS SEGA SAMMY LUX (0-6)

まさに北風と太陽!RAISERZ今シーズン初スウィープ!

ROUND.9当日、あいにくの雨天だが、そんな寒さを吹き飛ばす白熱した試合と、晴れやかな爽快感を見せてくれたのが5th MatchのValuence INFINITIES VS FULLCAST RAISERZだ。

INFINITIESはAGGRESSIVEをテーマに攻撃的な作品を用意。男性のみ、パワーのあるダンスを共通点とするこの2チームだが、裏ではメンバー同士の仲も良く、MAKOがRAISERZの顔が印刷されたマスクをつけ入場という演出で登場。シグネチャームーブの後はRAISERZのアームスウィングやハンドサインを模して、ばちばちにプロレスをする意気込みが伝わってくる。

スクラッチを多用したミクスチャー音楽に合わせ、ハイスキルなソロとコンビネーションの応酬。爆発力で勝負しにきた形だが、キングタットを多用するエジプシャンと呼ばれるHIPHOPのスタイルにフロアステップを組み合わせ、ハウスとニュージャックのミクスチャーステップと、ただ勢いで踊っているのではなく目の肥えたファンを喜ばせる凝った仕掛けも用意してきた。揃えることよりも各人が爆発力と予測不能な展開で竜巻を起こすような勢いあるショーとなった。

Valuence INFINITIES 【D.LEAGUE】

対するRAISERZは「雨のち晴れ」をテーマに、ダンスのパワーでみんなの心を晴れやかにすると宣言。

いわゆる小室進行と呼ばれるコード進行を取り入れたリフと照明で、ドラマが起こりそうなイントロを見事に演出。パワー系同士のパフォーマンス対決になると予想されたが、良い意味で期待が裏切られる。

風雨を表現するジャズからシンクロ率の高いボディコントロール、EDMパートではシームレスに雰囲気を崩さずクランプに移行し、表情からも感情の動きが見えてくる。傘をセンターに置いたルーティーンをはじめ、DUB STEPに合わせた音どりのバリエーションが多彩で、水の音に合わせた大ジャンプからのラッシュ、最後の傘が飛ぶ演出は作品の展開としてもコンペティションとしても確実に高評価だ。

FULLCAST RAISERZ 【D.LEAGUE】

傘を使ったKRUMPは目新しく、音のテクスチャーにこだわったダンスにストーリーが交わり、雨上がりに晴れ間が見えた時の爽快感が会場を包み込む。まさに北風と太陽と言わんばかりにスウィープでの勝利を収め、RAISERZはランキング3位へ浮上。主演を務めMVDとなったWILD TWIGGZは空の上にいる父親へのメッセージを語った。レギュラーシーズン1位も射程圏内となり、このまま登り竜となれるか、見どころだ。

ダンスの説得力とは何か

ダンサーにインタビューをすると、いかに説得力のあるダンスをするか、という答えが返ってくることがある。説得力とはなんだろうか。

審査員から各チームへの期待、作品の解釈、ブラッシュアップの余地、ファンの視点で心打たれるものがあるかなど、Dリーガー同様大きな負担の中、ジャッジを行わなければならない。具体的な審査のポイントについてはD.LEAGUEが試合後に更新するジャッジコメントの動画や配信の解説をぜひチェックしてほしい。

作品の解釈において「なぜ〜なのか」という引っ掛かりが生まれてくる。なぜこのテーマでこの曲なのか、なぜこのシルエットや振り付けを多用するのか、なぜこのSPダンサーなのか、なぜこの対戦相手にこの作品なのか。

そんな引っ掛かりをわざと生み出し、ダンスを見ていくうちに解決してしまう。それがそのままチームに高い点数を入れる決め手となる。D.LEAGUEにおいての説得力はそういったものではないだろうか。逆にスキルや戦略、作品の完成度が拮抗してくると、その引っ掛かりが残ってしまう作品は、どうしても点数が伸び悩む傾向がある。

【D.LEAGUE】

そんな説得力を随所に埋め込んだショーでぶつかり合ったのが6th MatchのBenefit one MONOLIZ VS SEGA SAMMY LUXだ。

MONOLIZは「女郎蜘蛛」をテーマに、WOMANSというチームからSPダンサー万葉を招聘。コンタクトまでこだわったメイクや衣装、糸を使った冒頭の演出、蜘蛛の巣のような照明と、とにかくテーマを深掘りし、一枚岩となり表現していく。

女郎蜘蛛は、女性に化けて人を襲う蜘蛛の妖怪。美しさとグロテスクさ、和の要素の演出に、音楽はROUND5でSPダンサーとして登場したSHIMIZUMASHもコラボし、独特の世界観をさらに強める最強の布陣だ。

また、女郎蜘蛛はメスの方がオスよりも大きく、迂闊に近づいたオスを食べてしまうという習性もある。男性メンバー主体で勝負を仕掛けることが多いLUXを意識したストーリーとしても十分な説得力だ。

Benefit one MONOLIZ 【D.LEAGUE】

対するLUXは履くと踊り出してしまう「ダンシングスニーカー」という作品を用意。手捌きに対して足捌き、対MONOLIZのために温めてきた作品だという。

シューズボックスを持っての登場は、新しい靴を買った時の独特のワクワク感をしっかりと表情で演出。入場からショーが始まっているように感じる。靴紐を結び、片足だけが暴走するCANDOOのマイムから、まさに足が音に合わせて暴走してしまうコミカルな作品。

よく見ると、足を踏むストンプの動きをした時だけ靴をコントロールできている。中盤のハーフビートで粘り腰のロールから大きなストンプを踏み、ステップをコントロールできるようになるという展開のようだ。

ハイスピードで駆け抜けているように見えるが、8ビート、16ビートと、最後に向けてどんどん加速していく構成で、ステップのシンクロと遊び心を維持し、今シーズンこだわりを見せる演技表現やキャラクター、スタイリッシュさなどもしっかりと伝えきってのスウィープ勝利となった。

SEGA SAMMY LUX 【D.LEAGUE】

難易度の高い照明を味方にして

ステージングが得意なチーム以外にも照明による効果的な演出にこだわるチームが増えてきた。しかし、照明が暗過ぎたり、照明の位置から一歩でもはみ出れば伝えたいことが伝わらず、世界観が崩れてしまう。

照明の効果的な使い方では他チームから群を抜くALT-RHYTHMは、KALMA、人の業をテーマに明暗を際立たせた作品でシーズン初勝利を手にした。ALT-RHYTHMらしくSPダンサーYutaka-Team Black Starzをセンターに据え、クイックモーションと天井からのサスと呼ばれる照明を巧みに駆使し、卵が孵化するような、植物が開花するような、人の業が成長していく抽象的な様を見事に表現した。

肌にオイルを塗り、繰り返しの動き、リズムをわざと少しずらし椅子に座るカノンなど不気味さを演出する。椅子の上に立つシーンでは真上からのサスに合わせて自然に椅子の位置をずらす技術など、一度見ただけではわからない細やかな調整が行われている。

LIFULL ALT-RHYTHM 【D.LEAGUE】

D.LEAGUEは当日にリハーサルが行われるが、照明に合わせて踊れる回数は限られている。いかに照明に合わせて踊るかのノウハウもステージングの隠れた課題だ。

こうして得られた勝利は大きく、ランキングは大きく変動し、7位のチームが3チーム登場する結果になる。この3チームがトリックスターとして、ゲームチェンジャーとして、いかに残りの5試合を荒らすかで、CS進出への可能性がどのチームにも開かれる。各チームの進化を応援すると共に、D.LEAGUEを盛り上げることでより先進的な舞台装置が用意され、新たなダンスの舞台表現が現れる日にも.期待したい。
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著者プロフィール

D.LEAGUEとは、“世界中すべての人に「ダンスがある人生」をもたらす”をミッションに、活動を通じてダンスへの認知・理解・共感を実現し新しい文化と産業構造を創造する、2020年8月に発足した日本発のプロダンスリーグです。

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