千葉ロッテの新戦力、ネフタリ・ソトはパ・リーグに適応する可能性大?

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千葉ロッテマリーンズ・ソト選手 【写真:球団提供】

横浜DeNAで6年間にわたって活躍し、2度の本塁打王・1度の打点王に輝いた

 12月14日、千葉ロッテがネフタリ・ソト選手の獲得を発表した。ソト選手は横浜DeNAの主砲として6年間にわたって活躍し、2度の本塁打王と1度の打点王を獲得。マリーンズでも持ち前のパワーを大いに発揮し、チームの得点力アップに寄与する働きが期待されている。

 今回は、ソト選手の球歴と選手としての特徴に加えて、打球方向・球種別打率といった具体的なデータを紹介。さらに、現在の千葉ロッテのチーム事情についても確認したうえで、実績十分の助っ人に対して、新天地で求められる役割について考えていきたい。

近年はケガにも悩まされたが、2022年には復調の兆しを見せていた

 ソト選手がこれまでに記録してきた、年度別成績は以下の通り。

ソト選手 年度別成績 【(C)PLM】

 ソト選手は2017年オフに横浜DeNAに入団。来日1年目の2018年に107試合で41本塁打と驚異的なペースでホームランを量産し、打率.310と確実性も発揮。OPS1.008という圧巻の打棒を見せつけ、NPB初年度で見事に本塁打王のタイトルを獲得する快挙を達成した。

 続く2019年には43本塁打、108打点とポイントゲッターとしての数字をさらに伸ばし、2年連続の本塁打王と、自身初の打点王の2冠に輝いた。3年目の2020年は短縮シーズンながら25本塁打を放ち、チーム事情に応じて一塁、二塁、外野の3ポジションを兼任した。

 2021年には4年連続となる20本塁打をクリアしたが、打率.234、OPS.738とやや成績を落とした。それでも、2022年は打率.266、出塁率.342、OPS.815と、復調を感じさせる成績を記録していた。2023年は故障の影響もあって自己最小の14本塁打にとどまったものの、2024年はケガを克服し、完全復活を果たしてほしいところだ。

優秀な長打率に加えて、一定以上の選球眼とチャンスでの勝負強さも備えている

 ソト選手は来日初年度から2年連続で40本塁打以上を記録し、通算長打率も.504と非常に高水準だ。キャリアを通じて長打率が.410を下回ったことが一度もないだけに、持ち前のパワーは新天地においても大きなアピールポイントとなることだろう。

 また、出塁率と打率の差を示す「IsoD」も通算で.071と一定の水準にあり、選球眼も決して悪くはないことがわかる。出塁率と長打力を足して求める通算OPSも.837と優秀な水準に達しており、打者としての生産性の高さは折り紙付きだ。

 さらに、通算打率.262に対して通算得点圏打率は.279と、チャンスで成績を向上させている点も頼もしい要素だ。2019年に打点王に輝いた勝負強さをパ・リーグの舞台でも発揮できれば、マリーンズの貴重な得点源として機能する可能性も十分といえよう。

ホームランバッターながら、広角に打ち分ける高い打撃技術の持ち主でもある

 次に、ソト選手が2023年に記録した全安打の打球方向を見ていこう。

ソト選手 安打方向一覧 【(C)PLM】

 センター方向への安打が28本と最も多く、レフトとライトへの安打数はそれぞれ10本と全く同じ。また、左中間が6本、右中間が7本と、外野の間に飛んだ安打も左右でほぼ同じ数字だ。引っ張り専門ではなく、広角に打ち分ける技術を有する長距離砲であることが、これらの数字からも読み取れる。

 本塁打はレフト方向が8本と引っ張りが多いが、センター方向への本塁打も5本記録。また、2023年は逆方向への本塁打が1本のみだったが、2022年は17本塁打のうち6本が逆方向で、自己最多の43本塁打を放った2019年には逆方向に14本塁打を放っていた。新天地で持ち味の逆方向への長打が復活するか否かは、重要なファクターとなってきそうだ。

2023年は変化球に苦しんだ一方で、新天地での活躍が期待できる要素も

 続いて、ソト選手が2023年に記録した球種別打率を見ていきたい。

ソト選手 球種別打率 【(C)PLM】

 チェンジアップが打率.346、パームが打率.333と、緩急をつける2つの緩い球にうまく対応していることがわかる。その一方で、それ以外の変化球に対する打率は軒並み低くなっており、2023年は総じてオーソドックスな変化球への対応に苦しんでいた。

 その一方で、ストレートの打率が.301と優秀である点は重要なポイントだ。パワーピッチャーの多いパ・リーグにおいて、速球を捉えられるかは打者にとって大きな意味を持ってくる。その点、速球に対して高打率を残していたソト選手は、新たなリーグに適応できるだけの特性を十二分に備えていると考えられる。

 本格派のリリーフ投手の大半が決め球とするフォークの打率が.095と極端に低いのは気がかりだが、現時点で34歳とベテランの域に差し掛かった現在も、ソト選手の速球への対応力は落ちていない。昨季は苦戦した変化球へのアプローチが変化すれば、パ・リーグにマッチした打撃を見せて大活躍を披露する可能性も大いにあるはずだ。

巧みな一塁守備に加えて、かつてのユーティリティ性が役立つ機会は訪れるか

 ソト選手は一塁守備の技術に定評があるだけでなく、過去に二塁と外野を守った経験も持つ。ソト選手のユーティリティ性は、シーズンを通じて多くの選手の打順やポジションを組み替えながら戦った吉井理人選手の采配に、さらなる柔軟性をもたらす可能性もある。

 ソト選手が現在主戦場とする一塁では、山口航輝選手がチーム最多となる68試合で守備に就いていた。23歳の山口選手は2023年にチーム2位となる14本塁打を放ったが、序盤戦の不振もあってOPSは.695にとどまり、2022年の16本塁打、OPS.725から数字を落とした。

 その一方で、山口選手は外野手としても両翼を守って55試合に出場しており、ソト選手との共存は十分に可能だ。昨季のチーム本塁打数が4位タイの100本と慢性的な長打力不足に悩んでいる千葉ロッテにとって、ソト選手と山口選手がともに復調を果たして打線に並び立つことになれば、チームの課題解消に大きく前進することにもなる。

 また、中村奨吾選手は2023年に二塁手のゴールデングラブ賞を受賞したものの、規定打席到達者の中でリーグ最下位となる打率.220と不振にあえいだ。来季は中村選手が三塁にコンバートされ、2023年に打率.277と好調だった遊撃手の藤岡裕大選手が二塁に動く方針も示されており、二塁手のポジションが例年以上に流動的となる可能性も出てきている。

 また、昨季は中村選手の休養日に、助っ人のブロッソー選手が二塁手としてスタメン出場する機会も存在した。それだけに、ソト選手もチーム事情に応じて、スポット的に二塁や外野を守る可能性もゼロではない。年齢面を考えても一塁と指名打者がメインとなりそうだが、新天地での起用法にも要注目だ。

過去の成功例に続いて幕張の地で復活を果たし、優勝へのラストピースとなれるか

 ソト選手はNPBでの6年間で161本塁打を記録してきたパワーに加えて、広角に打ち分ける打撃技術も兼ね備える。速球を苦にせず、チャンスで勝負強い打撃を見せるソト選手の特性は、パ・リーグでの戦いを迎えるにあたってプラスとなることは十分に考えられよう。

 また、千葉ロッテでは過去にも、ホセ・オーティズ氏、ジョシュ・ホワイトセル氏、クレイグ・ブラゼル氏、ウィリー・モー・ペーニャ氏、ブランドン・レアード選手、グレゴリー・ポランコ選手と、NPBの他球団で活躍した選手を獲得して貴重な戦力となったケースが多く存在している。

 ソト選手も過去の成功例に続き、幕張の地で確かな存在感を示すことができるか。過去4年間で3度の2位を経験した千葉ロッテにとって、ソト選手の豪打と勝負強さが、優勝のためのラストピースとなる可能性は大いにあるはずだ。

文・望月遼太
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