野球界の未来へ 『侍ジャパン チャレンジカップ 第1回 Baseball5日本選手権』潜入レポ
ベースボール5とは2017年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)によって野球、ソフトボールに次ぐ第三のベースボール型競技として考案された野球版アーバンスポーツ。現在は80カ国以上で普及が進んでおり、野球界、ソフトボール界からも注目を集めている新競技である。
最大の特徴は「野球はお金がかかる」を払拭し、グラブもバットも防具も不要で、「ボール一つでできる」ことにある。また、21メートル四方のフィールドで試合が行われ、1チーム男女混合5人制、5イニング制、1試合の試合時間は約30分という、すべてがコンパクト設計。まさに、誰でも、どこでも、気軽に”野球”が楽しめる新競技だ。
記念すべき「第1回 Baseball5日本選手権」開催にHomebase編集部が潜入した。
侍ジャパンが冠協賛へ
そして今回、記念すべき初の日本選手権に野球日本代表「侍ジャパン」(株式会社NPBエンタープライズ)の冠が付き、「侍ジャパン チャレンジカップ 第1回Baseball5日本選手権」となった。プロ、アマ、ソフトボールを含む国内の野球界、ソフトボール界が一体となりベースボール5の普及に乗り出した意義は大きい。
DJ、MC、選手、審判、観客が一体に
特に、緊張と真剣勝負な面持ちの中にも、常にプレーが途切れるごとに笑顔を絶やさずコミュニケーションをとり、審判のジャッジに一切のクレームや抗議もなく、相手の好プレーに対しても称えるなど、心からスポーツを愉(たの)しんでいる選手たちの様子が印象的だった。
女子選手がカギを握る
しかし、試合を観る限り、男女の差は感じられず、むしろ男子と女子の連携や、役割分担が戦術的に考えられており、奥の深さを感じた。
一般的に、他競技では男子と女子のパワーやスピード、スキルの違いから共存しづらい面もあるが、ベースボール5はその違和感がほとんどなかった。むしろ、そこがチーム編成、戦術の見どころにもなり得ると感じた。
その理由は投手不在や、フェンス直撃・フェンスオーバーはアウトというルールから、投げるパワー、打つパワーに必ずしも依存しないルール設計が大きい。さらに戦術が極めて重要な要素になることからそこに男女差は存在しない。
今回の日本選手権には野球日本代表 侍ジャパンの元女子代表で、WBSCベースボール5公認インストラクターでもあり、2022年のベースボール5日本代表 選手兼監督も務めた六角彩子(5STARs)、侍ジャパン女子代表でベースボール5日本代表でもある読売ジャイアンツ女子チーム所属の田中美羽(GIANTS)、読売ジャイアンツ女子チーム所属の長田朱也香(GIANTS)、ソフトボール元日本代表の長崎望未(東京ヴェルディ・バンバータ)、タレントで野球普及に精力的に取り組んでいる稲村亜美(東京ヴェルディ・バンバータ)らの女子選手たちも出場しており、彼女たちの華麗なプレーに観客から大きな声援が送られていた。
初代チャンピオンが決定
その結果、オープンの部はジャンク5(東京都)、ユースの部は横浜隼人高等学校A(神奈川県)がそれぞれ初代チャンピオンの座に輝いた。
初代オープンの部チャンピオンは軟式野球チームが母体
GIANTSは準決勝で優勝候補の一角にいた東京ヴェルディ・バンバータとの戦いを圧倒的な強さで勝ち抜いてきたチーム。
※オープンの部 決勝戦の結果
第1セット
ジャンク5 31030|7
GIANTS 00002|2
第2セット
ジャンク5 00203|5
GIANTS 01000|1
男性MVP: 三上 駿(ジャンク5)
女性MVP: 大嶋 美帆(ジャンク5)
初代ユースの部チャンピオンは男女ともに現役野球部との二刀流
決勝では船橋市立船橋高等学校(市立船橋)との対決。市立船橋は準決勝で日大二校・中京大中京5 (東京都杉並区 / 愛知県名古屋市)合同チーム相手に終盤で3点差を追いつき、白熱のタイブレークの末に勝ち上がってきた粘りのチームだったが、第1セット、第2セットともに横浜隼人Aが早い回に先制し、最後まで主導権を渡さずの圧巻の戦いぶりで初の栄冠を手にした。
終始笑顔でプレーをしていた藤原雄輝選手も「普段とはちょっと違い、とにかく楽しくプレーができたのが勝因だったと思います。実は(そのスタイルは)女子選手たちからの提案だったんです」と語る。さらに「横浜隼人の野球部は真面目の中にたのしさを追求するという方針であったので素直に提案に乗ることができました」とチームワークの勝利を強調していた。最後に「野球部ではレギュラーではない自分として、なんとしてもここで日本一を取りたかったんです」と心の声も語ってくれた。MVPに輝いた吉村祐哉選手も「集中しながらも、ものすごく楽しめました」と改めてスポーツの原点である「たのしむ」ことの重要性を横浜隼人Aチームが体現してくれたようだった。
※ユースの部 決勝戦の結果
第1セット
横浜隼人A 01162|10
市立船橋 00000|0
第2セット
横浜隼人A 30200|5
市立船橋 00011|2
男性MVP: 吉村 祐哉(横浜隼人高等学校A)
女性MVP: 廣川 沙羅(横浜隼人高等学校A)
ユースオリンピックの正式競技へ
《Homebase編集部》
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