内を空けて走る佐賀だが、内枠の逃げ・先行馬が鍵に?佐賀記念データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年佐賀記念優勝バーデンヴァイラーと福永祐一騎手(当時) 【撮影:佐賀県競馬組合】

第51回 佐賀記念 (JpnIII、4歳以上、ダート2000m)
2月12日佐賀10レース 18時15分発走予定


2月恒例の佐賀のダートグレード競走「佐賀記念」。今年はJBCが佐賀で初開催されるとあって、それを見据えてか例年とはやや色が異なるメンバーも集まった。例年、力通りの決着となりやすい一戦だが、データからはどんな傾向があるのか。
ここでは2014年~23年の過去10回のデータを元に分析する。

過去10回で1~3着をJRA馬が独占

過去10回すべてでJRA馬が優勝に加え、3着以内まで範囲を広げてもJRA馬が独占。圧倒的な強さを見せている。JRA馬と地方馬が対戦するダートグレード競走の中でも、中長距離戦はよりJRAが強さを発揮する舞台とも言われており、例えばJBCでも最後まで地方馬による優勝がなかったのがJBCクラシック(年によって1870m~2100m)。21年ミューチャリーが制覇した際は大偉業と称されたほどで、佐賀記念も2000mという長めの距離ゆえ地方馬は苦戦傾向で、直近の地方馬による勝利は08年チャンストウライ(兵庫)だった。
なお、今年はマンダリンヒーローが大井から参戦するが、過去10回で南関東4場からの遠征馬はいなかった。

所属別成績 【表1】

1番人気の馬券圏外は1回のみ

先述の通りJRA馬が1~3着を独占とあって、堅い決着となりやすい。特に1番人気が馬券圏外に敗れたのは16年4着マイネルバイカの1回のみと、1番人気の信頼度が特に高いレースでもある。そのため、過去10回で3連単の万馬券は2回のみ。1番人気が4着だった16年と、単勝1.4倍のテーオーエナジーが3着になったことで1万6740円(3番人気→5番人気→1番人気)だった19年だ。

単勝人気別成績 【表2】

小回りでも差し届く

では、有利な脚質は何か。まずは佐賀競馬場のコースから見てみよう。
佐賀記念の舞台となる2000mは2コーナーの引き込み線からスタートして1周半、コーナーが6回のコース。1周1100m、直線はゴールまで200mと小回りコースである。

佐賀競馬場 【コース図】

最も勝利を挙げるのは先行馬で4勝。2着7回、3着2回で、序盤は逃げ馬を見ながら運び、勝負所で前を捉えに行く形が王道と言えるだろう。また、小回りながらも差しが3勝、2着3回、3着3回。直線が短い分、3コーナー手前から追い上げることになるが、「小回り=差し馬は届かない」というほどではない。

脚質別成績 【表3】

内枠なら逃げ・先行できることが望ましい

佐賀競馬場は内ラチ沿いの砂が深いため、内を数頭分空けて走るのがセオリー。しかし、だからと言って内枠不利というわけではない。過去10回を見ても1番が2勝、2番が1勝を挙げる。ただし、他の競馬場と同じく内枠は包まれて動きたいところで動けなくなるリスクをはらんでおり、小回りとなればそのリスクはさらに大きくなる。そのため、1番と2番で勝った3頭中2頭が逃げ・先行で、前目の位置を取ることを意識した走りだった。

馬番別成績 【表4】

牝馬は出走自体が稀

性別では牡馬9勝、セン馬1勝に対し、牝馬は未勝利。ただし、牝馬9頭のうちJRA馬は20年4着ラインカリーナのみの出走とあって、サンプル数が極端に少ない。これは過去10年以上前にさかのぼっても同様で、JRA牝馬の出走はほかに04年ビーポジティブのみで8着だった。
なお、牝馬による優勝は開設記念というレース名でJRAとの指定交流で行われた96年リンデンニシキ(佐賀)までさかのぼる。

性別別成績 【表5】

4歳馬の扱いは慎重に

馬齢別では4歳~6歳がボリュームゾーン。4歳馬は勝率21.4%と最も高いが、1番人気に推されて3着だった馬も過去10回で2頭いるほか、単勝10倍以下の人気に推されて4着以下に敗れた馬も3頭おり、過信は禁物だ。

馬齢別成績 【表6】

重賞勝ちに比例して斤量増

下表は斤量別の成績。佐賀記念は4歳55kg、5歳以上56kg、牝馬2kg減を基準とし、3歳以降の重賞勝利に応じて斤量が加算される。57kg以上(4歳は56kg以上)を背負う馬は重賞勝利経験のある実績馬であり、勝率や3着内率も比例するように高くなる。
今年はノットゥルノが59kgで出走。これは「5歳以上56kg」に加え、ジャパンダートダービーJpnI制覇によって「GI/JpnI競走1着馬3kg増」が加算された結果。過去10回では59kgで出走した馬はいなかった。

斤量別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

① JRA馬
② 1番人気
③ 内枠なら逃げ・先行馬が望ましい

※牝馬、差し馬、重たい斤量を背負う馬の大幅な割引は不要
※4歳馬は慎重に

上位人気に推されそうなのはグランブリッジ(JRA)。これまでは牝馬限定のダートグレード路線を歩み、重賞4勝を挙げ、前走は初めて牡馬混合の名古屋グランプリJpnIIに出走し、2着と見せ場を作った。オープン昇級後の10戦中9戦で2着以内と非常に安定感のある走り。内の2番枠に入ったが、前走は先行していること、また佐賀のダートグレード6勝を挙げコースを熟知する川田将雅騎手が騎乗する点も強みだろう。①②③に当てはまり、牝馬による大幅な割引もデータからは不要と考えらえる。

レース運び次第で一発がありそうなのはメイショウフンジン(JRA)。白山大賞典JpnIIIのように逃げることができれば驚異的な粘り腰を発揮する。ダッシュが飛びぬけて速いわけではないが、このコースは最初のコーナーまで距離があるため、内めの3番枠から先手を主張できれば面白味が増すだろう。①③に当てはまる。

実績が抜けているのはJpnI勝ちのあるノットゥルノ(JRA)。過去10回のデータがなく、斤量59kgがどう作用するか。この馬自身は3カ月半の休み明けだった昨年の平安Sで今回と同じ59kgを背負い9着だった。データからは①にのみ当てはまる。

ケイアイパープル(JRA)は22年当レースの勝ち馬で、リピートなるか。当レースに2回出走したJRA馬は過去10回で6頭おり、うち3頭が2回ともで3着以内に入った。対して、3頭は1回目の出走が3着以内、2回目は4着以下に敗れていることから、データだけで判断が難しい馬。

過去10回で地方馬の3着以内はないが、今年可能性があるとすれば1番枠から先行できそうなマンダリンヒーロー(大井)、JRA時代に重賞2着の実績を持つヒストリーメイカー(佐賀)か。

第51回佐賀記念JpnIII 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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