2024年J1リーグ展望 横浜Fマリノス編

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チーム・協会

【2024年J1リーグ展望 横浜Fマリノス編】

【これはnoteに投稿されたこたつさんによる記事です。】
ぼやぼやしているともう1月も終わりですね。
今回は横浜Fマリノス編です。
いつも通り前年度までの流れから確認していきましょう!

2023年度の総括

監督

まずは勝点表から、

【こたつ】

今回は少し長めに7年分です。

というのも現在のマリノスを語る上で欠かせないポステコグルー監督による「アタッキングフットボール」を数字として見てみたかったというのがあります。

やはり監督就任の2018年から得点力はどんどん上がっていて、途中退任となった2021年をピークに年々得点力が下がっているのがわかります。

続いて監督別成績を見てみましょう。

【こたつ】

これを見ると、意外にもポステコグルー監督と前任者であるモンバエルツ監督、樋口監督で勝点率では大きな差はないことがわかります。

それでもこの3名の中でいつの時代に戻りたいかと問われたら、ほとんどのマリノスサポーターはポステコグルーと答えるでしょう。
まず試合でたくさん得点が見られること、そして成績は上がったり下がったりでもタイトル獲得の瞬間に立ち会える、それが「アタッキングフットボール」の魅力でした。

その後任のマスカット監督。彼はJリーグの戦術的なトレンドが変わっていく中で試行錯誤をしながら2022年にタイトルを奪還し、この冬に新天地へと旅立ちました。
おそらく偶然でしょうが、マリノスは3年くらいの周期で監督交代が続いています。

そして今年から指揮を務めるのは、オーストラリアのレジェンドであるハリー・キューウェル氏。
選手時代のネームバリューは抜群ですが、トップチームの指揮は初めてということでギャンブル性の高い人選となりました。

ただ、これはあくまで僕の推論ですが、
昨今のサッカー界ではフロント力なんて言葉がよく使われたり、あるいはアナリストと呼ばれるポストが増えたりと、チーム作りはクラブ全体の取り組みとなっていて、監督個人にかかる比重はどんどん小さくなっている気がしています。
では監督の仕事とはなにかといえば、大きくはコミュニケーション能力ではないかと。
プレステのゲームとは違い、生身の選手は必ずしも監督の思い通りに動いてくれるわけではありません。勝ち方を知っている選手ほど負けが込んだ時の修正は難しく、そんな選手達に対して同じ方向を向かせるためのモチベーター、あるいはカリスマ性、選手獲得のためのフロントとの交渉力、そういったものになっていくのではないか、と個人的には思っています。

余談でした。
とにかくキューウェル監督を考察するにはまだまだ材料が足りないので、このまま選手動向の話題に移ります。

選手

FootballLABを参考に独自にデータを加工して作成 【こたつ】

これは、それぞれの選手がシーズンをまたいでどれだけリーグ戦の出場時間を増減させたかを表にしたものです。
(※基本的に増減が500分以上の選手のみを抜粋)
(※オレンジ色の枠は、シーズン中を含めたその年の新加入選手)
(※紫色の枠は、前シーズン中を含めた退団選手)

まず2022年シーズン。
大幅な選手の入れ替えに加えて指揮官交代もあり激動のシーズンでしたが見事にリーグタイトルを獲得しています。オレンジの枠の選手名を見れば一目瞭然、見事な選手補強でありまさにフロント力の勝利と言えます。

そして2023年シーズン。
この年もマルコスJr.仲川輝人などアタッキングフットボールの中心選手が多く抜けました。
そしてここがクラブ経営の難しさですが、おそらくリーグ優勝によって既存選手の年俸を上げる必要に迫られたマリノスはこの年の補強が非常に抑制的でした。

さて、今回の記事で注目したいのは表の下にいる3名、高丘陽平岩田智輝の移籍と小池龍太の長期離脱です。
彼らはマリノスの生命線であるビルドアップの中核選手でした。
その離脱によりマスカット監督は新たな設計図づくりの必要に迫られることになります。

全体スタッツ(ビルドアップの苦悩)

Sofascoreを参考に独自にデータを加工して作成 【こたつ】

ビルドアップの設計について数字で表現するのは難しいのですが、今回は多少なりとも変化がわかるものとして上の表を用意しました。
これは、マリノスのスタメン選手のボールタッチ数の一試合平均を表にしたものです。
上が2022年、下が2023年になります。

まず全体としてタッチ数が647.7から618.7に減っています。
移籍などによる選手の交代により数値が変わることは不思議ではないのですが、前年と変わらないポジションにいる西村や永戸が大幅にタッチ数を減らしていることに昨年のマリノスの苦しさが表れています。
GKとDFラインを見てみると、高丘の穴は一森が埋めましたが他に水準を保てたのはエドゥアルドだけでした。
不安定なビルドアップのため、ロペスや渡辺、喜田が降りてボールを引き出す必要に迫られます。その結果、昨年のマリノスは低い位置でボールは回せども、そこから前に運べないという状況が多々見られました。

Sofascoreを参考に独自にデータを加工して作成 【こたつ】

ボールが前に運べなくなっている状況は敵陣へのパス数の大幅な減少からも見て取れます。(350→288.4 前年比約20%減
また、ロングボールの成功率の低下も、DFが苦し紛れのパスを出しているか、前線がマークを剥がせずにいるか、いずれにせよ苦労の痕が見て取れます。

ただし、ボールが届きさえすればそこからのアタッカー陣は超強力です。

個人スタッツ(J最強の両翼)

Sofascoreを参考に独自にデータを加工して作成 【こたつ】

エウベルヤンマテウス
この二人が健在な限りはマリノスの得点力は揺るがないでしょう。

上の三つの表はリーグ内のWGあるいはSHを主戦場とする選手の個人スタッツをランキングにして抜粋したものです。
(平均は、J1リーグのWGあるいはSHの選手上位30名の平均値)

まず左上の表は、選手の得点力を表しています。(決定機逸、ペナルティボックス内でのシュートによるゴール数とシュート数)
エウベルとヤンマテウスはWGながら得点力にも優れる点が特徴です。数字を見ると決定機逸も多いですが、これも得点チャンスに多く絡めばこその数字でありネガティブなものではありません。

下の表は、決定機創出力をまとめたものです。(決定機創出、クロス、ドリブル)
エウベルとヤンマテウスの決定機創出とドリブルの成功率はリーグ1、2の成績でした。クロスは平均的な数字なので二人とも自分でフィニッシュまで行きたいタイプのようです。

また、意外なところでは右上の表、ファウル数に関わる数字です。
二人ともファウル数が少なく、エウベルはレッドが一度ありますがイエローカードも少ないです。
これは二人の守備が上手いというよりも、守備が免除されていたから数字が低く表れたのかもしれません。
この辺りはもちろんリスクとリターンのバランスの問題であり、二人の得点関与数を見れば充分にプラスに働いたと思います。

まとめると、苦しんだビルドアップとブラジル人アタッカーの質を最大限に活かした攻撃、これが2023年シーズンのマリノスのテーマでした。

さて、今年はいったいどうなるでしょうか。

2024年度シーズンの展望

今年のマリノスは例年になく大人数のスカッドです。

要因としては昨年から怪我人が多かったことが一点、それから新しい指揮官が選択肢を広く取れるように幅のある人材を残したという狙いもありそうです。
おそらくシーズン中に戦力の大幅な整理があるでしょう。レンタル狙いのJ2クラブは要注目です。

主な移籍加入選手を見てみましょう。

まずはゴールキーパー。
一森を残せなかったのは痛恨でしたがポープ•ウィリアムを補強しました。
足元の技術は充分ですが、相手のハイプレスに対して試されるのはハートの部分なので慣れるにはそれなりの時間がかかるはずです。マリノスは大型キーパーがなかなかハマってこなかった過去があるのでそのジンクスが破れるのか注目です。

続いて大量の加入があったディフェンダー陣。

とその前に、
前提として、マリノスはCBに対して先ほど話題にしたビルドアップの能力、それからもう一つ重要な要素として空中戦の強さを求めているように見えます。

と言うのも元々のスカッドを見るとCBの畠中實藤は空中戦があまり得意ではなく、CHの喜田渡辺も身長が低いので、エドゥアルドがいないと相手に制空権を取られてしまう苦しさがありました。
昨年に上島拓巳を獲得したのも今オフに小林友希の噂が立ったのも、この補強方針があったからに違いありません。
それを踏まえた上で、
渡邊泰基は、空中戦は平均レベルでビルドアップの能力に長けたCBです。
山村和也は、もともと高さがあり足元も川崎で磨かれ、さらにCHも出来る選手ということで、この2人は問題解決にうってつけの人材と言えるでしょう。

SBの加藤蓮は、未知数な部分が多いですが、ユーティリティ性の高い選手ということで、キューウェル監督が新しい戦術を試すのならばクレバーでまだマリノスに染まっていない選手は逆に重宝されるかもしれません。

続いて前線。
ほとんど動きはありませんでしたが、天野純の復帰はもっと騒がれていいはずの大きな補強です。
韓国時代のスタッツを見てみると、全北現代への移籍は失敗で蔚山時代の方が好成績でした。
両クラブのサッカーの違いを分析するのは僕の手に余りますが、面白いのは蔚山時代の天野は9ゴールに対してわずか1アシストと、まるでストライカーのような数字を残しているところです。(全北では1ゴール3アシスト)
CHとしてビルドアップやチャンスメイクをさせるより、前からボールを狩らせてそのままシュートを打たせた方が輝く選手であると言えます。

主な新戦力査定は以上です。

ところで、キャンプの情報を伝え聞くかぎりキューウェル監督は4-1-2-3の布陣に挑戦する模様です。
ハマれば昨年のようなどん詰まりのサッカーが解消されてアタッキングフットボールを取り戻せそうですが、完成するまではそれなりに時間はかかると予想します。
また前回の記事(https://note.com/kotatsudesoccer/n/ncc1a59c2be7c)で指摘したとおり、マリノスにとっての大敵は日本の夏です。そこを乗り切るにはやや前線の駒不足のように感じます。シーズン中の前線補強も注目ポイントとなるでしょう。

順位予想としてはACL出場権圏内。
チーム作りが順調ならば何かしらカップ戦でタイトルを取ると予想します。

今回は以上です。
この記事を書いている間にも日々更新されていくキャンプ情報に振り回されながら、開幕までに出来る限りたくさんのチームを分析できたらと思っています。


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※記事内データ引用元サイト紹介

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