ジャパンパラで全勝! 車いすラグビーの日本代表はパリで輝けるのか
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強化中のバランスラインは脅威となり得るのか
オアー元HCのコンセプトを引き継ぎ、多くの選手交代をしながら戦う岸光太郎HC。その岸が指揮をする日本代表は、今大会で個より連携を重視。1㎝単位のチェアポジション、トランジションの速さへのこだわりを深めているところだ。
“ディフェンス職人”乗松は、豊富な運動量で駆け回りターンオーバーを奪った 【photo by X-1】
先発の長谷川勇基(0.5)は安藤夏輝と交代しながら今大会のファーストラインとして機能した 【photo by X-1】
昨年10月の「2023 International Wheelchair Rugby Cup」で国際大会本格デビューした草場龍治は1.0クラスの代表争いを激化させている 【photo by X-1】
さらにインバウンド(エンドラインからのパス)やパスをつなぐプレーも課題が見えた。
苦しいパスもあったが、クラブチームも同じ中町と橋本のコンビネーションが光った 【photo by X-1】
「インバウンドは試合の中でミスが起こりやすいシーン。勝也とコミュニケーション(を取ることを意識し)、勝也に激しいプレッシャーがいっているときは(あまり球を扱わない)ローポインターに受け渡すなどしているが……。チームとしてもインバウンドの支援を課題としているので突き詰めていきたいです」
昨年8月に就任した岸HC 【photo by X-1】
高さを捨てた日本代表
2014年にスタートしたジャパンパラで池が日本代表から外れたことは、過去に一度もなかった。岸HCは説明する。
「池がいると高さに甘えてしまう。そういった部分を振り切るために、今回はお休みしてもらいました」
橋本は今大会で代表2大会目というスタメンを経験。パリで日本代表のキープレーヤーになることを目標に掲げている 【photo by X-1】
「池キャプテンがいない中、いろいろな気づきがあった。ボールの出しどころが限られるという部分で、新たな日本の形をつくる通過点になり、充実した大会になりました」
車いすラグビーを始めて初のキャプテンを務めた乗松 【photo by X-1】
「全員が悔いのない大会になるようにしたいと思って臨んでいるんですけど、みんなのことを考える時間と自分個人のことを考える比率が難しい。初日より2日目はうまくバランスが取れて試合に集中できましたが……。自分が考える理想は、チームに何か助けが必要なときに、みんなが前を向く言葉がけやプレーをできるキャプテン。コート外でも常に考えていきたいと思う。とくにコート外のところで、池さんが背負ってきたものの大きさを肌で感じているところですが、僕だけじゃなくて選手それぞれがチームを強くするところに関わることができる。池さんだけ(に頼るの)ではなく、気づいたところを補い合えるチームが絶対に強いと思うので」
2018年の世界選手権でアメリカ、オーストラリアとの死闘を制し、2021年の東京パラリンピックと2022年の世界選手権では準決勝で負けてからの銅メダルマッチに勝利した。数々の壁を乗り越えたチームの中心にいた乗松の言葉からは金メダルへの強い意志と危機感がうかがえた。
代表候補の若山英史、羽賀理之、島川慎一はクラブチーム選抜の一員としてオープンゲームに参加した 【photo by X-1】
パリで何色のメダルを目指すのか
そして、岸HCも自身の采配を「未経験の部分が多い」と自認していることもあって課題は多くある。
現在、日本代表は世界ランキング3位。パリ本番で世界のトップと対峙したとき、これらの課題をクリアできていなければイーブンの内容で渡り合うことはできない。
日本代表は4月と6月に国際大会に出場予定。本番まで時間はない。いかに強豪と渡り合うラインを完成させることができるのか。岸HCが大事にしているという「いい準備」で金メダルへの勝機を見出してほしい。
2024ジャパンパラ車いすラグビー競技大会で全勝優勝した日本代表 【photo by X-1】
text by Asuka Senaga
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※本記事はパラサポWEBに2024年2月に掲載されたものです。
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