EASLグループステージ大詰め…千葉ジェッツは“3冠”に一歩前進、琉球ゴールデンキングスは運命の最終戦へ
リーグ戦と並行して「東アジアスーパーリーグ(East Asia Super League)」に臨むB.LEAGUE勢のグループステージは残り1試合。1月24日に沖縄アリーナで行われる琉球ゴールデンキングスvsニュータイペイキングスの一戦です。一足先にグループステージ全試合を終えた千葉ジェッツは6戦全勝でファイナルフォー進出を決めました。今回は琉球ゴールデンキングスの最終戦を前に、両チームの戦いぶりを振り返ります。1月10日の試合を終えた時点での順位表は下記のとおりです。
・グループA
1位:千葉ジェッツ(B.LEAGUE)6勝0敗
2位:安養正官庄レッドブースターズ(KBL)2勝2敗
3位:TNTトロパンギガ(PBA)1勝4敗
4位:台北富邦ブレーブス(P.LEAGUE+)1勝4敗
・グループB
1位:ニュータイペイキングス(P.LEAGUE+)4勝0敗
2位:ソウルSKナイツ(KBL)2勝2敗
3位:琉球ゴールデンキングス(B.LEAGUE)2勝3敗
4位:メラルコボルツ(PBA)1勝4敗
前回のレポートでお伝えしたように、千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスの両チームはB.LEAGUEと異なるレギュレーションでEASLを戦っています。ただ、異なるのはレギュレーションだけではありません。それは試合球です。B.LEAGUE主催試合はモルテン製のバスケットボールが使用されていますが、EASLはスポルディング製。選手たちはシーズン中、公式球にもアジャストする必要がありました。
昨シーズンの大会は新型コロナウイルス感染症の影響で開催方式が変更となり、日環アリーナ栃木、沖縄アリーナの2会場で集中的に行われました。今シーズンは予定どおり、リーグ戦と並行したホーム&アウェー方式で、サッカーのAFCチャンピオンズリーグに似たフォーマットで開催されました。日本バスケットボール界にとっては国内リーグと国をまたいでのリーグ戦を同時に戦うという、初のチャレンジです。移動方法や試合の準備はもちろん、海外チームを受け入れる体制と海外のファンをもてなす運営など、多くの初めての経験をコート内外で味わっています。
B.LEAGUEでの戦いに比べて対戦相手の情報が少なく、多くの契約選手を抱えるフィリピン(PBA)勢や中華圏(P.LEAGUE+)勢はどの12人をベンチ登録するのか直前までわからないほどです。千葉ジェッツと琉球ゴールデンキングスが結果を残しているのは、スカウティングをはじめとしたコーチングスタッフの努力だけではなく、短い準備期間でも選手の能力やチーム力が発揮されているからだと思います。加えて、ホーム、アウェーを問わず、選手たちを後押しするブースターの存在も忘れてはいけません。
千葉ジェッツは開幕前から負傷者を抱え、開幕後もケガ人が続出する難しい状況でしたが、6戦全勝でグループステージを終えました。リーグ戦とのタフスケジュール、国をまたいだ移動もありながら、素晴らしい成績を残しました。選手の名前を挙げると、金近廉選手を紹介したいと思います。「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は惜しくもメンバーから外れてしまいましたが、プロキャリア1年目で多くの経験を積んでいます。千葉ジェッツで過ごすのはもちろん、海外勢と対戦できる機会はすごく価値のあるものです。先ほども触れたようにできる準備が限られていて、“持っているものだけで戦わないといけない”という点でも、金近選手は日本代表戦に近しいシチュエーションで国際試合を経験できています。日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチへのアピールにもなっているでしょう。
B.LEAGUE勢はタフなスケジュールをこなしながら戦ってきたので、ぜひ賞金を獲得してほしいと思っています。優勝賞金は100万ドル(約1億4,300万円)。また、経験以外のものも持ち帰ってほしいですね。読者の皆さんにはB.LEAGUE勢の戦いだけでなく、各国代表選手やトップレベルの選手がプレーする姿を見て、大会を楽しんでもらいたいです。ファイナルフォーの開催地はまだ発表されていませんが、旅行や観光を兼ねて現地観戦に行くのもいいでしょう。千葉ジェッツと琉球ゴールデンキングスにエールを送ってほしいです。
バスケットボールコメンテーター。鹿児島南高-愛知学泉大-カリフォルニア州立大ベーカーズフィールド校-ベーカーズフィールドカレッジ出身。 帰国後FIBA国際代理人資格をアジア初受験取得。プロリーグ発足まもなく資格返納しチームスタッフへ。 富山-滋賀-岩手-大阪でスカウト・通訳・GM・クラブ代表を経験。現在は日本代表/Bリーグ/ユースなどで解説を務める。
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