【浦和レッズ】マチェイ監督インタビュー「浦和での仕事を勝利で締めくくりたい。そして、将来もう一度浦和で…」

浦和レッドダイヤモンズ
チーム・協会

【©URAWA REDS】

FIFAクラブワールドカップ サウジアラビア2023もアル・アハリFC(エジプト)との3位決定戦を残すのみ。長かった今シーズン最後の公式戦であり、マチェイ スコルジャ監督とともに戦う最後のゲームとなる。そこで、浦和レッズを3度目のアジア王者へと導いてくれたマチェイ監督からのラストメッセージをお届けしよう。

――日本サッカーとの、浦和レッズとの別れのときが近づいてきましたが、感傷的な気持ちになるものですか? それとも、サッカーの世界では別れはよくあるので冷静ですか?

 もちろん、いろいろな感情があります。充実した1年でしたし、私の監督としてのキャリアにおいて最も重要なシーズンになりました。そして、この素晴らしい1年の最後のゲームを勝利で飾り、浦和レッズのファン・サポーターのみなさんと一緒に喜びたいと思います。
 ただ、今の質問について一つ訂正させてください。日本でのファーストステージが終わるだけです。これはチャプターワン、第1章にすぎません(笑)。将来、日本での第2章でみなさんと再会できることを信じています。

――素晴らしい1年だったということですが、どんな経験が思い出深いですか? どんなことが今後のキャリアに生かせそうですか?

 たくさんの思い出がありますね。まずは、日本という素晴らしい国を見ることができ、素晴らしい文化に触れることもできましたし、とても親切にしていただきました。そうした私生活での経験は私の財産になりましたし、サッカーにおいても素晴らしい経験ができました。浦和レッズでは素晴らしい選手たちに恵まれましたし、最高のファン・サポーターに支えてもらいました。私は埼玉スタジアムのことを「マジックスタジアム」と呼んでいましたが、あれだけ素晴らしいサポートを受けたのは、私のキャリアにおいて初めてのことでした。
 また、Jリーグは組織としてとても洗練されていて、非常にレベルが高いリーグでした。チームの戦力が拮抗していて、リーグの競争力は高く、戦術レベルも非常に高かったです。Jリーグでの1年を経験して、私はこれまでとはまったく別の監督になったと思います。監督としての幅が広がったということです。

【©URAWA REDS】

――今、パッと思い浮かぶ印象的な試合をいくつか聞かせてください。

 真っ先に思い浮かぶのはACL(AFCチャンピオンズリーグ2022)決勝の第2戦ですね。あのときの興奮や感動はすぐに蘇ってきます。そして、(YBC)ルヴァンカップ(準決勝)の横浜F・マリノスとの2試合も思い出深いです。埼玉スタジアムで戦った第2戦は、まさに「マジックスタジアム」の恩恵を受けました。

――僕は3月のセレッソ大阪戦(○2-1)と、退場者を出した9月のガンバ大阪戦(○3-1)が印象に残っているんですが、いかがですか?

 たしかにその2試合も印象深いですね。セレッソ戦は私にとって記念すべきゲームです。なんと言っても私の浦和レッズでの公式戦初勝利でしたから。(アレクサンダー)ショルツのPKで追いついたあと、(安居)海渡がスーパーゴールを決めてくれました。
 ガンバ戦は素晴らしいチームスピリットが現れたゲームでしたね。ひとり少ない苦しい状況でしたが、(髙橋)利樹とブライアン(リンセン)が見事なゴールを決めてくれました。そうそう、ゴールと言えば、もうひとつよく覚えているのが、沖縄トレーニングキャンプでの沖縄SV戦でタカ(関根貴大)が決めたゴールです。私がレッズの指揮を執ってから最初のゴールでした。

【©URAWA REDS】

――今シーズンはJリーグベストイレブンに西川周作選手、ショルツ選手、マリウス ホイブラーテン選手、伊藤敦樹選手が選ばれました。J1リーグ4位のチームから4人も選出されるのは異例です。

 4人も選ばれたことはクラブにとって素晴らしいニュースですし、私にとっても誇らしい出来事です。ただ、本当に4人しか選ばれていませんか? レッズにはベストイレブンに値する選手が他にもいたと思いますよ(笑)。

――伊藤選手の日本代表選出も、2023シーズンの大きなトピックスでしたね。彼に続いて日本代表入りを期待している選手は誰ですか?

 敦樹は最も成長した選手のひとりですね。経験を積んでチームの勝敗に対する責任をさらに背負えるようになれれば、世界でも通用する選手になるでしょう。たくさんの選手が敦樹に続いてほしいですが、年齢的にトモ(大久保智明)、アキ(明本考浩)、オギ(荻原拓也)、海渡は近い将来、日本代表入りを狙えるでしょうね。タカや(小泉)佳穂も素晴らしいスキルを持っていると思います。あと、今はまだ若いですが、(早川)隼平も数年後、日本代表になれる力を持っていると思います。

【©URAWA REDS】

――以前、ラファ(ラファル ジャナス)コーチがマチェイ監督のことを「24時間サッカーについて考えている人だ」と言っていましたが、マチェイ監督はサッカー監督の魅力をどういうところに感じますか?

 まず、ラファが話したことは「嘘」ですね(笑)。さすがに寝ているときにはサッカー以外の夢も見ますので、そのときはサッカーのことは考えていません。ただ、私にとってサッカー監督は、全身全霊をかけて100%打ち込むべきやり甲斐のある仕事です。前回の試合がどうだったか、次の試合がどうなりそうなのか、我々の選手の状態がどうなのか、対戦相手の状況はどうなのか、常に考えを巡らせています。そういう意味では、起きている間に関しては、ラファの話したことは本当ですね(笑)。

――レフ ポズナン時代も退任したあと半年ほど休んでから、浦和レッズと契約されました。今回も家族と過ごすために退任されます。神経をすり減らす大変な仕事だから、定期的にリフレッシュが必要なのでしょうか?

 その通りですね。例えば、ペップ グアルディオラはマンチェスター・シティFCで7年半、休みなく素晴らしい仕事を続けています。でも、私はリカバリーを必要とするタイプの人間です。休暇をとり、リフレッシュして、エネルギーを溜めてから次の仕事に向かいたいと思っています。

【©URAWA REDS】

――指導者としての将来の夢を聞かせてください。ポーランド代表監督でしょうか? それともマンチェスター・シティのようなメガクラブの指揮を執ることでしょうか?

 非常に難しい質問ですね。代表監督というのは、どの監督も夢見るものだと思います。それが自国の代表監督なら、なおさらです。ただ、代表チームは活動期間、練習時間が短いので、難しい仕事だと思います。そう考えると、私自身が代表監督に向いているか疑問に感じます。なぜなら、私は選手たちと毎日練習することを好むタイプだからです。ですから、クラブチームで成功を収めたいですね。

――浦和レッズは2025年のFIFAクラブワールドカップへの出場が決まっています。そこでマチェイ監督率いるチームと対戦できたら、こんなに素敵な再会はないと思います。

 可能性はゼロではありませんが、それは非常に難しいシナリオだと思います(笑)。それよりも目標は、いつか浦和に戻ってくることです。25年の話ではありませんが、将来、浦和を率いてもう一度クラブワールドカップを戦いたいですね。

【©URAWA REDS】

――では最後に、浦和レッズのファン・サポーターに対してメッセージをお願いします。

 クラブ・レオン戦に勝利したあと、ロッカールームで選手たちに話したのは「世界チャンピオンまであと2試合だ」ということ、「勝ってこの大会を終えるぞ」ということでした。残念ながら準決勝では敗れましたが、3位決定戦に勝利して、みなさんと喜びを分かち合いたいと思っています。
 サウジアラビアへ出発する前、大原サッカー場にたくさんのファン・サポーターが見送りにきてくれた光景を、私は一生忘れないでしょう。このジェッダでのみなさんの声援もしっかり届いていますし、日本で勝利を祈っている方々がたくさんいることもわかっています。ファン・サポーターのみなさんの期待に応えたいと思っていますし、浦和での仕事を勝利で締めくくりたいと思っています。

(取材・文/飯尾篤史)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

1950年に中日本重工サッカー部として創部。1964年に三菱重工業サッカー部、1990年に三菱自動車工業サッカー部と名称を変え、1991年にJリーグ正会員に。浦和レッドダイヤモンズの名前で、1993年に開幕したJリーグに参戦した。チーム名はダイヤモンドが持つ最高の輝き、固い結束力をイメージし、クラブカラーのレッドと組み合わせたもの。2001年5月にホームタウンが「さいたま市」となったが、それまでの「浦和市」の名称をそのまま使用している。エンブレムには県花のサクラソウ、県サッカー発祥の象徴である鳳翔閣、菱形があしらわれている。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント