ロッテ 吉井監督 「ツインターボになれ!」。悩める左腕エースに伝えた珍アドバイス

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千葉ロッテマリーンズ吉井理人監督 【千葉ロッテマリーンズ提供】

 5月まで5勝ちを挙げるなど順調なシーズンを送っていた左腕エースの小島和哉投手だが突然、勝てなくなった。6勝は未勝利。7月も勝てない。7月15日のイーグル戦(ZOZOマリンスタジアム)では4回3分の1、6失点KO。マウンドから降ろされた。試合後、監督から「愚痴を聞いてあげるから明日にでも監督室においで」と優しく声をかけられた。

 「本当にどうしていいか分からない状態だった。メンタル的にも崩壊していた」と小島。「宜しくお願いします!」と頭を下げ、監督室を訪ねると、いきなり、言われた。

 「この馬を知っているか?」

 そう言って一頭の馬の写真を見せられた。小島は競馬には興味がないので、まったく見当もつかない。馬主をしている吉井監督の馬かと一瞬は思ったが、その写真は少しばかり古かった。無理もない。その馬は小島が生まれる前の91年にJRAの重賞 ラジオたんぱ賞を制し、93年の七夕賞、オールカマーなどを制するなど活躍し人気を博したツインターボだった。

 「調べて動画を見てみてくれ。ワシが好きな馬。とにかく逃げる馬。いつも大逃げを打つ。結局、ゴールまで体力がもたなくて負けることもあるが、そのまま逃げ切って勝つこともあった。ワシはその姿に感動した。それくらいの入りでもいいのではないかな」
 
 小島はキョトンとした。まさか馬を例えに出されるとは思わなかった。ましてや競馬を知らないから言っている意味が全く分からず、イメージもわかない。最後には「ツインターボになれ」とまで檄を飛ばされた。ただ、指揮官のなんとかしてあげたいという熱い想いは伝わった。

 「初回から後先考えて投げるのではなく初回から飛ばしていけということだなと。確かに自分はどうしてもペース配分を意識するあまり、初回は丁寧に丁寧に行き過ぎていた」と小島。伝えたい熱いメッセージを理解した。大胆に、勢いよく投げて欲しいといういうメッセージであった。

 その後、小島は勝てば2位、負ければ4位という仙台でのシーズン最終戦 7回無失点で勝ち投手になり10勝目を挙げ、チームを2位に導いた。本拠地で行われたホークスとのクライマックスシリーズファーストステージも勝てばファイナル進出、負ければ終わりという第3戦に先発した。初回から飛ばした。結局、6回3分の1を投げて球数96球で無失点。勝ち投手にこそならなかったが、その後、小島の魂の投球に刺激を受けたチームは延長戦を制し、優勝チーム・バファローズの待つ大阪への切符を手に入れた。大胆に、勢いよく投げてチームを勝利に導いた。

千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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