「寒い冬を熱くする!」ほど好スタートを切ったアルバルク好調の要因を考察【B MY HERO!】
好スタートを切った今季のアルバルク 【(C) B.LEAGUE】
本格的に冬の寒さがやってくるこの時期にバスケットボールファンの熱を少しでもお届け出来ればと思っております。
リーグ全体1位
簡単にはいかないからこそ応援のしがいがあるというものだ。
ルカ・パヴィチェヴィッチ(現サンロッカーズ渋谷HC)体制の頃からなのでアルバルカーズからするとお馴染みのようなものだが、アルバルク東京は相手に合わせて色々と変化させるというよりも、自分たちのやるべきことの練度や精度をシーズンを通して上げていくことにフォーカスするというがひとつのスタイルである。
それゆえ、対戦相手のスカウティングによる策で攻めあぐねるような試合や得意のディフェンスの裏をかかれ、焦りからか自分たちの持ち味を見失うケースも当然見受けられる。こういったものに関してはシーズン終盤でなければさほど問題はない。むしろ相手の策に対して次からしっかりと対応できれば対戦するチームの策は減っていく訳で、練度や精度と合わせて対応力をつけていくことでより完成度の高いアルバルク東京のバスケが出来上がっていく。そういう意味では特に連敗に悲観することなくどう次の試合に集中して入っていくかが大切である。
これは応援する側のファンやブースターにも言えることで、試合毎もそうだが、1試合の中でも負けている時ほど気持ちを切り替え応援により力を入れることが大事となる。
バランスあるフロントコート陣
ゴール下の番人、新戦力のグダイティス 【(C) B.LEAGUE】
特出すべきはいくつかあるが、1つはフロントコート陣のバランスの良さだろう。特にインサイドはライアン・ロシター、セバスチャン・サイズ、アルトゥーラス・グダイティスとどう入れ替わっても高いパフォーマンスを発揮する3人のビッグマンが名を連ねる。
今季から加入のグダイティスはフィジカル的にもディフェンス的にも「堅い」と表現するのが分かりやすいかもしれない。しなやかに躍動するセバスチャン・サイズが柔のビッグマンとするならばグダイティスは剛のタイプ。かといって決して不器用ではなく堅実で無駄が少ない。平均1.6ブロック(12月8日現在)とリムプロテクターとしても非常に優秀な選手である。
まさに“ポイントセンター”のライアン 【(C) B.LEAGUE】
アルバルク=ディフェンス
身長187センチながらリバウンドをそのままプットバックダンクで叩き込む身体能力を持ち、大学時代は驚異的なスコアラーとして名を馳せた小酒部自身が現在はディフェンスに魅了されているようにすら感じる。
アルバルク東京の生え抜き選手として育ち、菊地祥平(現:越谷アルファーズ)や田中大貴(現:サンロッカーズ渋谷)、ザック・バランスキーといった先輩の背中を見てきたことを考えると当然といえば当然なのかもしれない。
相手バックコート陣にエースがいる場合は必ずと言っていいほど彼がマッチアップをする。
エースキラーの役割を担う小酒部 【(C) B.LEAGUE】
そろそろベストディフェンダー賞レーダーに探知されてもおかしくはないのではと思っているが、彼にはより上を目指してもらいたい。
ベストディフェンダーとは
もう1つはオフボールでもマッチアップ相手にべったりと張り付き、ボールすら持たせないフットワークに特化したタイプ。映画にもなった山王工業戦でディフェンスのスペシャリストといえば一之倉聡である。グッドディフェンダーと言われる選手は特にこのタイプが多いように思う。Bリーグアワードのベストディフェンダー賞に選ばれる選手もこのタイプが多いように感じている。執拗なフィジカルコンタクトはマッチアップ相手のメンタルにも影響を及ぼすことが要因の一つでもあるだろう。
だが、実は話題になりにくいだけで非常に優れたディフェンダーが他にもいる。同じく山王工業の沢北栄治がそれだ。高い身体能力とオフェンススキルに注目されがちだが、集中している時の沢北はオフェンスの鬼・流川楓に「スキが無え…」と感じさせるほど超一流のディフェンダーである。
Bリーグでそれに一番近いのが田中大貴だと私は思っている。相手の動きを読む洞察力、コースへの入り方、バスケIQの高さ、経験値、それでいてファウル数をコントロール出来ている冷静さ。これこそがベストディフェンダーだと私は考える。
未完の泰暉
ポテンシャルの塊ともいえる『未完の泰暉』 【(C) B.LEAGUE】
現状はややヒートアップしてしまう場面や、思わず手が先に出てしまうシーンも見受けられるが、高い身体能力も兼ね備えた彼には田中大貴をも超えるベストディフェンダーに成長してもらいたい。そしてそれが隠れるほどの爆発的なオフェンス力も! 現時点でも十分素晴らしいディフェンス力をみせてくれているが、まだまだ伸びしろもあると感じている。ぜひ今後も彼のプレーには注目していただきたい。
おれたちのよしいは毎日がW杯
“おれたちのよしい”はフィジカルモンスター 【(C) B.LEAGUE】
日本屈指のフィジカルモンスター吉井裕鷹である。アルバルカーズの間では『おれたちのよしい』と呼ばれ、日本代表での体を張った活躍は我々がアルバルク東京のファンであることを更に誇らしくさせてくれた。
日本代表で一躍知名度を上げた吉井だが、「日本代表なのにBリーグでプレータイムが少ないのはもったいない。他のチームに移籍するべきだ」という声は以前から度々耳にする。そもそも「それは彼が選ぶべきだ」という大前提は一旦棚に上げておくが、長くチームにいて活躍してほしいと願うアルバルカーズとしては彼がここに留まるべき利点を上げておこう。
その前にはまず、現在のBリーグを国際大会と比べて何となく下に位置付けしている方もいるかも知れないので、ここの認識を改めることからおすすめする。現在Bリーグに在籍している外国籍選手は各国の代表クラスがゴロゴロしており、アジア大会以上にレベルが高い。その多くがインサイド寄りの選手であり、4番ポジションで出場する機会の多い吉井にとっては毎試合がW杯級なのである。
いや、それどころかW杯本戦出場はなかったもののユーロ優勝メンバーとしてスペイン代表に名を連ねたサイズ、ブラジル代表としてW杯にも出場したメインデル、2015年にNBAの76ersからドラフト47番ピックされリトアニア代表としての経験もあるグダイティス、そしてロシターというメンバーの中でポジション争いをしているという意味では、毎日がW杯なのである。そして、SFへのコンバートも視野にいれる吉井にとってはザック・バランスキーという良いお手本がすぐ近くにいるのもこれ以上ない環境だ。
他のチームでもっとプレータイムを得ていれば…のようなたらればを言えば切りがないが、これまでもチーム内で数々のワールドクラスの選手たちとしのぎを削ってきたから“こそ”今の吉井裕鷹があるという事実は変えられない。
以前、彼は周りから吉井はできる選手だと言い続けてもらったことで出場できないシーズンを乗り越えてきたと語っていた。素晴らしい先輩や信頼できるコーチ陣がいることを彼自身が実感している証である。
年齢を重ねることで考えが変化することは当然あると思うが、アルバルカーズとしては彼がワールドクラスに成長し、自らの力で満足のいくプレイタイムを勝ち取ってくれることを信じて止まない。そしてそれが日本代表の更なる躍進につながることは言うまでもない。シュートフォーム改善にも取り組んでいるというおれたちのよしいが更に成長していく姿を今後も見逃してはいけない。
最後に、2017-18シーズンにはベストディフェンダー賞を獲得し、「優勝するためにアルバルクに来た」と何度も語っている橋本竜馬の言葉が最強のディフェンスを誇るアルバルク東京の言霊となることを信じて今季も全力で「Let's go TOKYO!」そしてDEFENSEコールをチームに届けていきたいと思う。
横田晶次郎(B MY HERO!特派員)
【(C)☆Kaoru☆】
現在アルバルク東京に応援団はないが、応援コールリードをしているため”団長”と呼ばれることが多い。
ファンにできることの可能性を日々探っている。
[アルバルカーズ選出による「ALVARK MIP」賞の主催、アリーナ周りの清掃活動「アルバルカーズスマイルアクション」の主催等非公式イベントの開催]
尊敬する人:「B-rAids」代表・萩島さん、シーホース三河公認サポーターズクラブ「たつのコネクト」代表・戸根さん
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