【記録と数字で楽しむ第107回日本選手権10000m】女子:2連勝中の廣中。優勝でパリ五輪参加標準記録「30分40秒00」クリアすれば即時内定

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【JAAF】

2024年パリ五輪の代表選考会となる10000mの第107回日本選手権が12月10日に国立競技場で行われる。スタートは、女子16時03分、男子16時43分。ここでは、現地観戦あるいはTV観戦のお供に「記録と数字で楽しむ2023日本選手権10000m」をお届けする。

・今回の日本選手権申込資格記録の有効期限は2023年11月19日だが、記事の中ではそれ以降の11月28日判明分までの記録も可能な限り収録した。
・文中敬称略。

【女子】2連勝中の廣中。優勝でパリ五輪参加標準記録「30分40秒00」クリアすれば即時内定

今大会の参加資格は、2022年1月1日~23年11月19日に10000m32分30秒00(もしくは、5000m15分40秒00)の申込資格記録突破者で、オープン参加の外国籍の1人を含め計28人がエントリーした(https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1749-4.pdf)。うち、10人(含、外国籍1人)は5000mの資格記録でのエントリーだ。

申込資格記録の10000m32分30秒00を2022年にクリアしたのは23人。23年は11月19日までに14人だが、22年に突破していた8人以外の新規突破者は6人だった。よって、10000mで資格条件を満たしたのは29人だが、マラソンを主戦場としている選手を中心に11人(現役引退選手も含む)がエントリーせずに、5000mの資格記録で日本人選手は9人が加わった。


パリ五輪の内定条件
五輪参加標準記録は「30分40秒00(10kmロードの記録も有効)」で、有効期間は2022年12月31日~24年6月30日。
今回の日本選手権での五輪代表内定条件は、
A)2023ブダペスト世界選手権で8位以内の成績を収めた日本人最上位の競技者で、2023年11月1日から2024年6月30日までに、ワールドランキング対象競技会において参加標準記録を満たした競技者。

B)今回の優勝者で、第107回日本選手権・10000m終了時点までに参加標準記録を満たした競技者。

「A」の世界選手権8位以内の条件をクリアしているのは、ブダペストで7位だった廣中璃梨佳(JP日本郵政G )のみ。廣中は、24年6月30日までに30分40秒00をクリアすれば、今回の日本選手権での順位に関わらず即時内定となる。

廣中以外の選手は、「今大会優勝で30分40秒00をクリア」が即時内定の条件だ。

廣中は、24年6月30日までに「30分40秒00」をクリアできれば内定だが、それ以外の選手が今大会で誰も「30分40秒00」を突破できなかった場合は、24年春に行われる「第108回日本選手権10000m」に選考が持ち越される。そこでも「30分40秒00」をクリアできなければ、世界陸連が集計する2024年6月30日現在の「WAランキング(Road To Paris 2024)」で、出場枠の「27番目以内」に入ることが条件となる。
最終的にWAランキングが確定するのは、半年以上先の24年6月30日(発表されるのは、日本時間の7月3~4日あたりの見込み)だが、現時点(23年11月21日現在のランキング)では、
20)1266pt 廣中璃梨佳(JP日本郵政G)
32)1171pt 五島莉乃(資生堂)
35)1168pt 小海遥(第一生命グループ)
が、1国3人の制限内の日本勢。
以下は、日本人4番目以下になるので「相当順位」で示した。
42)1141pt 木村友香(積水化学)
43)1140pt 川口桃佳(ユニクロ)

現時点(23年11月21日のWAランキング)では、ロード10kmを含む「30分40秒00」の参加標準記録突破者が世界に11人。ランキングの「27番目」の選手のポイントは「1185pt」で、2レースのタイムは10kmロード30分47秒(1204pt=記録ptのみ)と32分09秒52(1166pt=記録1131pt+順位35pt)だ。
21年東京五輪、22年オレゴンと23年ブダペストの世界選手権でのボーダーラインの2レース平均のポイントは、1200ptあたり。順位によるポイントがつかずに記録ポイントのみでの「1200pt」は、「30分52秒48」である。31分前後のレベルでの記録ポイントの差は、概ね「1秒1で1pt差」「11秒で10pt差」というところである。

「順位ポイント」は、大会のグレードによっていくつかに区分されているが、日本選手権のカテゴリーは「B」で、各順位のポイントは以下のとおりだ。
1位 60pt
2位 50pt
3位 45pt
4位 40pt
5位 35pt
6位 30pt
7位 25pt
8位 20pt

よって、日本選手権では、ひとつでも上の順位でフィニッシュすることが「WAランキング」のポイントを稼ぐためには何よりも重要である。1位と2位の順位ポイントの「10pt差」をタイムに換算すると約11秒差、1・3位の「15pt差」は、16秒5くらいの差になる計算だ。ほとんど差のない胸差でほぼ同タイムでフィニッシュしても、WAランキングのポイントでは、上記のような差がついたのと同じ扱いになるのだ。
また、記録ポイントが「1140pt」の「31分59秒51」であっても、トップでフィニッシュすれば順位ポイントの「60pt」が加算されるのでトータルは「1200pt」となり、2レース平均でのボーダーラインと予測されるポイントを稼げることになる。
このところの世界大会では、「27番目と28番目」の2レース平均のポイント差は、1点差とか同点で少数点以下の勝負で決まることも……。「0秒01差」が晴れの舞台に出場できるかどうかの明暗を分ける場合もある。

なお、今回の日本選手権で内定者が出なかった場合、あるいは優勝者が27分00秒00をクリアして内定した場合は2人目以降の選考は 【24年5月3日に袋井(エコパ)で行われる】 「第108回日本選手権10000m」に持ち越されることになる。


2015年以降の世界大会の日本代表とその成績
2015年以降の世界選手権と五輪の代表と本番での成績は以下のとおり。

<至近7世界大会の代表と成績>
「★」は、今回の日本選手権出場者。

【JAAF】

【JAAF】

上記のとおり、今回の出場者で世界大会代表の経験があるのは、高島(15・16年)、山ノ内(19年)、廣中(21・22・23年)、五島(22・23年)の4人。


至近8年間の日本選手権での入賞歴
・今回の出場者に限る。掲載順序は、直近年の順位順

【JAAF】

廣中が2連勝中。この種目での連覇は、5人。
・鈴木博美(リクルート)1995・96年
・福士加代子(ワコール)2002~07年(6連覇)
・西原加純(ヤマダ電機)2014・15年
・松田瑞生(ダイハツ)2017・18年
・廣中璃梨佳(JP日本郵政G)2021・22年

廣中が「V3」となれば、福士についで連勝記録の単独歴代2位に進出する。
今回のレースでも中心となりそうな廣中の10000mでのこれまでの成績は以下のとおり。

<廣中璃梨佳の10000m全成績>

【JAAF】

1988年5月12日生まれの高島由香(資生堂)は、上の表以外に14年にも7位に入賞している。日本選手権の10000mには2011年が初出場(12着)、17年にも9着となっていて今回が7回目の出場となる。


全日本実業団女子駅伝での走りは?
11月26日の仙台での全日本実業団女子駅伝では、廣中がエース区間の3区10.6kmで区間賞を獲得。7.5km付近でトップを走っていた佐藤早也伽(積水化学。ブダペスト世界選手権マラソン代表)に追いついた。中継時点ではトップの資生堂とは52秒差、佐藤とも26紗差があった。佐藤に追いついてからの3kmは互いに譲らないデッドヒートを展開。ラスト300mからスパートした佐藤が廣中を3秒突き放したが、区間タイムは廣中が佐藤(区間2位)を23秒上回った。10.6km33分04秒は、10km換算31分12秒にあたる。
今回よりも0.3km長かった前回の3区(10.9km)では10000m日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)の3秒前にタスキを受けてから10.9kmの間、互いに一歩も譲らないデッドヒートを展開した。最後に廣中が新谷を突き放したが、その差は2秒。区間賞を1秒差で逃すことになった。これによって、中学生の時から継続していた「出場したすべての駅伝で区間賞獲得」の記録が途切れた。今回からまた新たに「区間賞」の連続獲得記録の一歩を踏み出すことになった。

高島も後半のエース区間である5区10.0kmで区間賞(31分48秒)。同じ区間を走った新谷を9秒抑えた。なお、高島と新谷は岡山・興譲館高校の同窓生。新谷が高島の1学年上で、05年の全国高校女子駅伝では1区・新谷がトップに立ち、高島が優勝テープを切った。実業団女子駅伝での高島の区間賞は、3区(10.9km)で14年から16年に3年連続獲得して以来7年ぶりで4回目。この駅伝には、デンソー時代の08年~15年、資生堂に移った16年からも20年以外は毎回出場し計15回。10km以上のエース区間の担当がほとんどで、3区9回に5区4回で計13回。アンカーの6区(6.795km)が2回。実業団2年目で初めて出場した08年の3区こそ区間16位だったが、残る14回はすべて区間順位をひと桁(3位以内8回)でまとめている。
今回担当した5区は、この駅伝の中で最も過酷なコースといわれている。タスキを受けてからの10kmの標高差は35mあまりの上りで。最初の約2.5kmで25mを上って4km過ぎまでに約20mを下る。後半の約5kmは上り坂中心でトータル30mあまりを上っていくが、終盤の1kmあまりは急な上り下りを繰り返すというタフなコースだ。
よって、5区でのタイムよりもトラックでは速く走れる可能性が高そうだ。
それを調べたのが下記である。
駅伝の5区が現在のコースとなった2012年からの区間賞獲得者のタイムとその年と翌年の10000mの記録を比較した。ただし、5区を担当する選手にはマラソンをメインとしている人も多く、10000mを走っていないこともある。この、データからするとトラック10000mとの比較では5区でのタイムよりも当年と翌年では20秒~40秒前後、自己ベストとの比較では1分以上もトラックが速い選手もいる。

<全日本実業団女子駅伝5区の区間賞獲得者の区間記録と10000mの当年・翌年・自己ベストとの比較>

【JAAF】

【JAAF】

この他、今回の実業団女子駅伝の主要区間で元気な走りを見せたのは五島莉乃(資生堂)。
1区7.0kmのスタート直後から先頭で引っ張り、1.5kmあたりから差を開き独走態勢に。最終的には、2位・小海遥(第一生命グループ)に39秒もの大差をつけ、廣中が持っていた区間記録(21分32秒)を5秒更新した。7km21分27秒は、5km換算15分19秒。細かなアップダウンが次から次にやってくる難しいコースで、日本選手権10000mに向けての勢いをつける走りだった。
五島の区間賞は、5区を走った前回、前々回に続き3年連続。5区(10.0km)の区間記録31分28秒(21年)も保持しているので、今回の1区での区間新によって2つの区間の記録保持者となった。


新谷仁美の日本記録(30.20.44)の時のペース
20年12月4日の日本選手権(長居)で新谷が30分20秒44の日本記録をマークした時の400m毎は下記のとおり。2000m手前まではチームメイトの佐藤早也伽が先導したが、下記はすべて新谷の通過タイムである。
・以下、筆者による非公式計時

【JAAF】

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スタートからチームメイトの佐藤が引っ張ったが1000mからややペースダウン。それを感じ取って、1950m付近から新谷がトップに立って3000mまでを2分57秒0にペースを上げた。以後も1周を72~73秒台で刻み最終的には3位以下の選手を周回遅れにし、従来の日本記録(30分48秒89/渋井陽子/三井住友海上/2002.05.03)を一気に28秒45更新。2020年の世界2位、この時点での世界歴代21位の記録だった(現在は、歴代40位)。


廣中璃梨佳の自己ベスト(30.39.71)の時の1000m毎
2022年7月16日のオレゴン世界選手権で廣中が30分39秒71(12着)の自己ベストを出した時の1000m毎は、以下のとおり。通過記録の前のカッコ付き数字はその地点の通過順位を示す。

【JAAF】

新谷の日本記録(30.20.44)を更新できれば万々歳ではあるが、非常に高いハードルではある。パリ五輪代表を目指す選手たちにとっては、まずは五輪参加標準記録「30分40秒00」をクリアすることが大きな目標であろう。その点で、廣中のベストはそのターゲットとピタリ同じで、ペースの参考になりそうだ。
この時の廣中は世界の大舞台で5000mまでを3分03~04秒の安定したペースでトップをいった。5000m過ぎに先頭を譲ったが、5000~6000mは集団のペースがダウン。廣中は7000mまでトップ集団に食らいついたが、そこからトップが1000m2分57~58秒にアップしたことで次第に離された。廣中は8000m~9000mに3分06秒52を要し、9000mでは11番目で先頭と12秒37差、8番目とも11秒37差となって入賞は厳しくなった。9600mでは19位の位置にいたが残り1周を踏ん張った。ラスト400m69秒29、最後の100mを16秒87でカバーして12着でフィニッシュ。翌年の2023ブダペスト世界選手権の参加標準記録30分40秒00をギリギリのところでクリアしたのだった。

この時の廣中は、前半15分19秒28に対し後半15分20秒43。その差は僅か1秒15しかなかった。
新谷の日本記録(30.20.44)の時も前半15分06秒8で後半15分13秒6で落差は6秒8だった。
これまでの世界や日本での様々な競技会の10000mで好記録が出た時のペースを調べると、前後半の落差が数秒、あるいは後半の方が速かったということが多い。
「前半で貯金を作って……」とハイペースで突っ込むと、踏ん張りどころの6000mあたりから苦しくなって終盤に大きくペースダウンしてしまうというケースをよく見かける。そうなると、ラスト1000mや残り1周のスピードも上がらずに、結果的には、「前半の貯金」を大きく取り崩してしまい目標にほど遠い結果に終わってしまうことも多いようだ。

レース当日の気象条件にもよるが、「30分40秒00」がターゲットであれば、そのイーブンペースは、1000m「3分04秒0」、400m「73秒6」だ。
そこから大きく外れることなくスタートから安定したペースを刻み、苦しくなってくる6000mから8000m過ぎでペースダウンせずに踏ん張れるかどうかがポイントだろう。5~10秒くらいの「遅れ」は、残り1000mや400mの「最後の底力」のキックで、十分に取り戻せる可能性がある。

5000m14分50秒20の資格記録でオープン参加のジェプングティチ・ジュディ(資生堂)は、自身2度目の10000m。今年7月8日に標高約1600mのナイロビでの世界選手権ケニア選考会の33分04秒20(12着)が初レースだった。5000mの走力からして、30分台の実力があることは間違いなさそうで、日本人選手にとって「いいペースメーカー」になってくれるかもしれない。

「ペースメーカー」といえば、日本選手権で初めて導入されるのが、「電子ペーサー(ウェーブライト)」である。トラック内側の縁石のところに1m毎にLEDライトを設置し、設定したペースで発光していく機器だ。7月の北海道でのディスタンスチャレンジ、11月25日の八王子ロングディスタンスでも使用された。
ライトは何色かに色分けができ、いくつかの目標記録別に点灯させることができる。
今回の日本選手権での設定ペースは、11月末時点では明らかにされていないが、「日本記録の30分20秒」「パリ五輪参加標準記録の30分40秒」に設定される可能性が高く、その他にも2種類くらいのペースが設定されることになるだろう。


日本の層の厚さは?
以下は、今回のレースとは直接関係ないお話である。
今回の日本選手権申込資格記録「32分30秒00以内」をクリアした2022・23年の人数を他国のそれと比較し、日本の層の厚さなどについて調べた。
22年の1年間と23年の11月26日現在の日本の「32分30秒00以内」は、22年が23人、23年が14人。
同じ条件で人数が多いのは以下の国々だ。

<32分30秒00以内の国別人数上位国>

【JAAF】

各年の「世界100位」の記録は、2022年が「32分12秒11」。23年は11月26日現在で「32分30秒56」である。

22年も23年も32分30秒00以内の人数では、日本はアメリカについで2位。
アメリカと日本が世界の長距離界を席巻するエチオピアとケニアを上回ったり、対等の人数なのには少々「意外」と感じるかもしれない。

地域(州)別の人数は、

<32分30秒00以内の地域別人数>

【JAAF】

トータルでは、やはりアフリカの人数が多い。国別でトップのアメリカにカナダの1人が加わった北アメリカがこれに続く。アジアは、22年は25人中23人、23年は18人中14人が日本人選手で「孤軍奮闘」といったところだ。
ヨーロッパには54の国があり、7億5千あまりの人口を有するが、「32分30秒以内」の人数は、日本の2~3割増し程度。6分の1程度の人口の日本「32分30秒以内」の人数は「すごい」ともいえよう。

「32分30秒00以内の人数」では、アメリカに遅れをとり日本ともいい勝負のエチオピアとケニアではあるが、29分台からの30秒毎のタイム別の人数では、やはりこの2国が「ワンランク上」の力を持っている。
それを示したのが下表である。

<2022&23年の女子10000mの30秒毎のタイム別の国別累計人数>
・「<30.00」は「30分00秒00以内」、「<32.30」は「32分30秒00以内」を示し、「○/△」は「2022年/23年の累計人数」を示す。

【JAAF】

表の見方を日本を例に説明すると、「30分00秒00以内」も「30分30秒00以内」も22年・23年ともに1人もいなくて、「・/・」。「31分00秒00以内」は、22年に30分39秒71の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)1人で23年は0で「1/・」。「31分30秒以内」は22年に31分22秒38の五島莉乃(資生堂)が加わり廣中と合わせて累計2人、23年は0で「2/・」。「32分00秒以内」は、廣中と五島を含めて22年が累計9人、23年は5人で「9/5」という表記になる。

日本は、上記のとおりだが、「30分00秒以内」「30分30秒以内」になるとエチオピアとケニアの強さが目立つ。
23年のデータでは、「32分30秒以内」の人数ではともに「14人」で日本と並んでいる。日本のトップが廣中の「31分35秒12」なのに対し、エチオピアは29分台4人、30分00~30秒2人、30分30~31分00秒3人。廣中の記録は、エチオピアでは13位相当、ケニアでも9位相当だ。

上の表と似たようなものだが、2022年と23年の「1分毎の人数」を国別に示したのが下表である。
上表は、速い方から順に「32分30秒」までを「30秒毎」で区切った「累計人数」を示したが、下の表は「1分毎の人数」を示している。日本の22年のデータでみると、「30分台が1人」「31分台が8人」「32分台39人」「33分台44人」「34分台54人」だ。
ただし23年は、まだ競技会が残っているので、今後変動する可能性がある。

<2022・23年の1分毎の国別人数>

【JAAF】

上表の通り、日本やアメリカではタイムが下がるに従って人数が増えている。
しかし、エチオピアは32分台まではそれなりにいるが、34分台の選手は22年も23年も1人しかいない。ケニアも34分台になると人数が減る。この両国、とりわけエチオピアでは34分台の選手が陸上を続ける環境がないということなのであろう。5000mで調べてみても、23年のエチオピアは14分台が16人、15分台前半6人、15分台後半4人、16分台前半3人、16分台後半3人で、15分台後半以降は人数が減る。日本では、16分30秒以内の選手はトータルで毎年300人を超えるがエチオピアでは22年35人、23年29人と日本の十分の一くらいに過ぎない。世界陸連に記録の報告がなされている5000m17分台前半までの選手は、エチオピアが40人前後、ケニアが百数十人といったところ。世界陸連へ未報告を含めると日本には17分台前半までの選手は、毎年800人あまりもいる。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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