【大学ラグビー】関東対抗戦Bグループの日体大、全勝1位で入れ替え戦へ

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あと1つ。復活めざす日体大ラグビー、苦しみながらも、Bグループ全勝1位で入れ替え戦へ

 あと1つ。目標のAグループ(1部)復帰まであと1つである。ラグビーの関東大学対抗戦Bグループ(2部)の日本体育大学が明治学院大学との全勝対決を49-22で制し、7戦全勝のグループ1位を決めた。A復帰を懸けて、入れ替え戦(12月17日・熊谷)でAグループ8位チームに挑む。
 11月26日。寒波襲来の府中・AGFフィールド。凍てつく寒さの中、日体大は苦しんだ。キックオフ直後、センターの小林勇太朗がタックルの際、頭部を強打して負傷退場した。「あれで苦しくなりました」とゲームキャプテンを務めたSH小林峻也副将は打ち明けた。
 「あのアクシデントもあって、自分たちのカタチに持っていけませんでした。緊張して…。いつもと違う感じになって、相手の勢いに飲み込まれてしまいました」

 ◆ペナルティー続発でリズム崩す

 敵陣に入ったと思えば、不用意な反則を犯し、エリアを戻されてしまう。相手の深いライン攻撃から大外、大外と振られてしまった。前半7分、左オープン攻撃から左隅に先制トライを許した。
 日体大はFWが前に出て、徐々にリズムを取り戻す。ブレイクダウンからテンポよくボールが出れば、バックス陣のスピードが生きてくる。前半18分、スポーツカーの「フェラーリ」の異名をとるウイング辰己一輝が快足を飛ばして左隅にトライを返した。小林副将が難しい位置からのゴールを蹴り込んで、7-5と逆転した。
 なおも小林副将がPGを手堅く重ねたあと、ゴール前のラインアウトからのドライビングモールを押し込み、トンガからの留学生の190センチロック、テビタ・タラキハアモアがトライした。テビタは試合後、「勝ててよかったです」と漏らし、笑顔でこう続けた。
 「トライ、気持ちよかったです」
 前半を20-8で折り返した。日体大は前半だけでペナルティーを8つも犯した。ハイタックル、オフサイド…。これではリズムに乗れない。後半も明治学院大に最初にトライを与え、5点差に詰め寄られた。

 ◆湯浅HC「ここで経験できてよかった」

 この日の「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)」に輝いたセンター勝目龍馬らが2トライを奪うも、後半30分には、ゴール前直前のハイタックルの反則で認定トライを献上してしまった。32-22と詰め寄られ、勝敗の行方はわからくなった。
 あえて勝負のアヤをいえば、ラスト5分のトライだろう。自陣で、後半から交代出場した伊藤拓哉主将が猛タックルでターンオーバーした。すかさず逆襲。左右に振り、交代出場のセンター齋藤弘毅がビッグゲインし、ウイング辰己がトライを加えた。37-22とし、勝利をほぼ確実にした。
 さらに2トライを加え、終わってみれば、大差となったが、課題の残る試合だった。湯浅直孝ヘッドコーチ(HC)は厳しい表情で試合をこう、振り返った。
「緊張もあり、会場の雰囲気もあり、練習でやってきたことと違うことをやっていたのでこういう試合になったのでしょう。コミュニケーションの声も少なかった印象です。でも、(入れ替え戦に向け)ここで経験できてよかったと思います」

 ◆POM勝目「入れ替え戦、絶対勝ちます」

 くるくるスペインカールの頭にPOMの濃紺キャップをかぶった勝目はピッチでマイクに言った。覚悟が寒風に乗った。
 「課題がたくさん見つかったので、入れ替え戦に向けて修正していきたいと思います」
 その後、こう言葉を足した。
 「(チームメイトの)けがとか、予想外のことが起きた時にどう対応するのか。自分たちのやってきたことをどれだけ早く取り戻せるのか。そういったことが、入れ替え戦では大事になってくると思います」
 ひと呼吸おいて、声に力をこめた。
 「入れ替え戦、絶対、勝ちます」
 フェラーリこと、辰己がはだしでロッカーから出てきた。足がでかい。サイズを聞けば、「29センチ」もある。
 「フェラーリなんて、全然、おそれおおいです。昨年の入れ替え戦はラスト5分ぐらい出ました。今年はリベンジです。トライゲッターのウイングなので、トライをどんどん取っていきたい」

 ◆秋廣監督「気持ちを引き締め直す」

  昨年度のシーズンは成蹊大との入れ替え戦に敗れ、Bグループに降格した。屈辱だった。その悔しさが多くの部員の心に残る。
 課題を言えば、まずは規律だろう。ペナルティーが後半は5つで、トータル13個も犯した。とくにハイタックル。入れ替え戦ではレフリーの厳しい笛にも対応しなければなるまい。目標が「反則ゼロ!」
 そして、ゲームの入りか。前半、後半の序盤で受けてしまった。
 秋廣秀一監督もまた、「課題が見えたことが収穫」と言った。
 「入れ替え戦では、もう一回、全員、一人ひとりができることを出し切って、やり切ることです。学生も、僕ら指導陣も、これまでの大勝続きで、どこかに油断、慢心があったのかもしれません。気持ちを引き締め直すためにはいい試合でした」
 同感である。入れ替え戦に向け、よきレッスンとなった。明治学院大とレフリーには感謝しかない。勝負事は何が起こるかわからない。油断大敵なのだった。

 ◆最後のBATTLEへ

 あと3週間。入れ替え戦に勝つために1年間の努力の積み重ねがあったと言っても過言ではあるまい。秋廣監督は言葉に熱をこめた。
 「全員がベストを尽くす。ベストを尽くす、それだけです」
 あと1つ。あと1つ。ことしのスローガンの『BATTLE』である。(松瀬学)

ひとつになって全勝1位となった日体大フィフティーン=26日・AGFフィールド 【撮影:渡邊 祐子】

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著者プロフィール

本学は、「體育富強之基」を建学の精神とし、創設以来、一貫して、スポーツを通じ、心身の健康”を育み、あわせて世界レベルの優秀な競技者・指導 者の育成を追求し続けてきたことに鑑み、「真に豊かで持続可能な社会 の実現には、心身ともに健康で、体育スポーツの普及・発展を積極的に推進する人材の育 成が不可欠である。」と解釈し、科学的研究に裏付けされた競技力の向上を図りつつ、スポ ーツを文化として幅広く捉え、体育・スポーツを総合的・学際的に探究する大学を目指し、 各学部、各研究科がそれぞれ目的を掲げ、教育研究を行なっている。

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