西村天裕、石川慎吾、坂本光士郎、澤田圭佑…… 千葉ロッテに移籍し活躍する選手が多い理由

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千葉ロッテマリーンズ・西村天裕投手、坂本光士郎投手 【写真:球団提供】

 近年、他球団から千葉ロッテに移籍してきた選手たちの活躍が目立つ。今季もその流れが続いた。3月に福田光輝選手とのトレードで入団した西村天裕投手はシーズン自己最多の44試合に登板し、4勝14ホールド、防御率1.44の活躍を見せ、昨年7月に山本大貴投手とのトレードで入団した坂本光士郎投手も同じく今季シーズン自己最多の51試合に登板した。

 さらに同じリリーフではオリックスを自由契約となり育成選手として加入した澤田圭佑投手は、7月27日に支配下選手登録されると、夏場以降は前田健太投手やバウアー投手のYouTubeを見て学んだ新球スプリットチェンジを武器に苦しいブルペン陣を支えた。

 野手でも7月にトレードで加入した石川慎吾選手が打率.348、得点圏打率は驚異の.474と、打線を活気付ければ、現役ドラフトでロッテに入団した大下誠一郎選手も、その声でチームを盛り上げ、バットでも左投手に打率.333をマークした。

 こうした移籍組の多くが活躍する理由を選手本人から探ったところ、オフの鍛錬や日々の練習の工夫という個の努力に加えて、 “千葉ロッテマリーンズ” というチームの環境が良い方向に作用しているということがわかる。

 西村投手は、昨季までの投球スタイルとして三振にこだわっていたが、今季阪神・青柳晃洋投手と自主トレを行い、「三振を狙いにいって力んでフルカウントになって自分で苦しくなるんだったら、簡単にアウトを1個ずつ取っていって簡単に終わったほうがいい」という話を受けて、“アウトの取り方”にこだわるようになったという。シーズン通して、少ない球数で抑えていくことを意識し、奪三振率はプロ入り後ワーストの8.52だったが、考え方の変化で新天地でのブレイクにつなげた。

 そして、「どこの球団もそうだと思うんですけど、来た人に対してやりやすくやってくれて、わからないことは丁寧に教えてくれるので馴染んでいけて、そのままいい感じで自分のやりたいことをやりつつ(チームに)入っていけるんじゃないかなと思います」と話した。

 坂本投手も、「トレーナーの方に親身になって治療してもらいましたし、個人的にも休みの日とかは治療、体(のケア)に時間を費やすようにしていたので、そこが今回50試合につながったと思います」と、50試合以上登板できた要因を分析。また、「移籍してきて誰もわからない状態の中だったんですけど、キャプテン(中村奨吾選手)や年上の人たちが気にかけて声をかけてくださったり、ご飯行こうかといって連れて行ってもらった。そこはすごく馴染みやすかったと言いますか、やりやすい環境だったと思います」と教えてくれた。

 石川慎選手も「入りやすさはもちろんあります。僕は声をかけてもらうことがすごく多かった。監督、コーチにしても、ピッチャーの方にしても、そういったところでやりやすさはありましたね」と野手のみならず、投手陣から声をかけてもらったそうだ。

 一方で技術的な部分については「(巨人時代と)何も変えていない」とのことだが、「強いていうならトレードしてもらったその日から一軍のベンチに入れてもらって、必要だと言ってくれたことに対して応えたいという気持ち。目に見えない力、期待されているんだと思うとそれに応えたいし、応えるためにどうしたらいいんだろうというところはデカかったと思います」と、期待されることに意気に感じ、新天地で躍動した。

 澤田投手も、「めちゃくちゃやりやすいですね。裏方さんを含め、球団スタッフの人たちは選手ファーストで選手にいかに結果を出させるようにいろんな配慮をしてくれるので、それが大きいと思います」と選手だけでなく、プレーしやすい環境をつくってくれた裏方スタッフに感謝。

“ムードメーカー”の大下選手は移籍後、試合前練習などで田村龍弘選手から声をかけてもらうことが多かった。「だいぶありがたいですよ。転校生みたいな感じじゃないですか、誰も知らない状況の中に入るから。知っている人が中には何人かいたけど、それでもちょっと違うじゃないですか」と声をかけてくれる田村をはじめとした先輩たちの存在は非常にありがたかった。

 さまざまな選手たちと普段からコミュニケーションをとる生え抜きの田村選手は「(大下)誠一郎にしてもオリックスから来て一人で寂しいと思うし、ブロッソ―もそう。孤独にならないようにと思って声かけとかやっていますけどね」と、チームに溶け込めるように心がけた。

 選手本人の実力ももちろんのことだが、移籍組が活躍しやすい環境がマリーンズにはある。だからこそ、これだけ多くの移籍組がマリーンズで活躍しているのだ。

取材・文 岩下雄太
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