早大競走部 全日本駅伝 序盤は好走も、まさかの10位に終わる

チーム・協会
第55回全日本大学駅伝対校選手権 11月5日 愛知・熱田神宮西門前~三重・伊勢神宮内宮宇治橋前
【早稲田スポーツ新聞会】記事 出口啓貴、写真 戸祭華子、高杉奈々子、會川実佑、草間日陽里

 大学三大駅伝の開幕を告げた出雲から約一ヶ月、早くも二度目の戦いの舞台がやってきた。全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が愛知県の熱田神宮から三重県の伊勢神宮までをつなぐ、全8区間を結ぶコースで行われた。総合三位以内を目標に伊勢路に挑んだ早大。1区、2区では先頭争いにも絡むなど前半は上位でレースを進めていった。しかし4区で大きく順位を落してしまうと、その後は8位以内に与えられるシード権争いへと巻き込まれる展開に。終盤までシード圏内でレースを進めたものの、最終8区でシード圏外の9位へと転落してしまう。そのままフィニッシュ地点までシード圏内に戻ることはかなわず、10位でフィニッシュ。15位だった2018年以来5年ぶりに全日本のシード権を失うこととなった。

スタート直後の間瀬田 【早稲田スポーツ新聞会】

 スタート区間の1区を任されたのは間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)、二年連続での1区起用となった。スタート直後は中央大の吉居駿恭がひっぱり最初の1キロを2分45秒で入るなどややハイペースな入りとなったものの、その後はやや落ち着いたペースで集団でレースは進んでいく。レースが動いたのは4キロ過ぎ。緩やかな上りを活かして青学大の若林宏樹が仕掛けて、集団から抜け出す。間瀬田はここでついていくことはせず、集団の中でレースを進める。若林が集団から最大16秒差をつけるなどそのまま押し切るかに見られたものの、ここで待ったをかけたのが間瀬田だった。残り2キロを過ぎたあたりからペースをあげて集団の前に出ると、若林との差を一気に詰めていく。そのまま追いつくと間瀬田が先頭へ、その後は駒澤大の赤津勇進、吉居駿との激しい区間賞争いを繰り広げる。激しいスパート合戦の中で、一時は間瀬田が前に出たものの、最後はわずかに赤津にかわされてしまい2位でのタスキ渡しとなった。それでも1位と1秒差とスターターの務めは十分に果たした走りとなった。

 続く2区は山口智規(スポ2=福島・学法石川)が起用。前半は駒澤大の佐藤圭汰とレースを進めていく。3キロを8分10をきるようなハイペースでレースを進めていく佐藤に対して山口をついていくものの、5キロ過ぎに徐々に山口が佐藤から遅れをとってしまう。その後は単独走となった山口だが、徐々に後ろから迫ってくる青学大の黒田朝日、東国大のアモス・ベットに徐々まに差を詰められて、9キロ付近でついに追いつかれてしまう。しかしここでおいてかれることなく粘った山口。その後はむしろアモスをおいていき黒田と集団でレースを進めた。最後まで黒田には大きく離されることはなく、粘りを見せた山口。トップの駒澤大から20秒、青学大からは5秒差で3区の石塚陽士(教3=東京・早実)へとタスキをつないだ。

 石塚は、5秒前でスタートした青学大の佐藤一世にすぐに追いつくと、佐藤をそのまま引き離し、前を走る駒澤大との差を徐々に詰めていく。一時は16秒差までその差を詰めることに成功したものの、逆に離されてしまい、7.4キロ付近ではその差は36秒にまで広げられてしまう。その後は一度は離した佐藤に徐々に差を詰められていってしまう。結局中継所手前で追いつかれてしまい、壮絶なデットヒートを繰り広げ青学大とほぼ同時の3位でのタスキ渡しとなった。

力走する3区の石塚 【早稲田スポーツ新聞会】

 4区を任されたのはルーキーの工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松蔭)。出雲では区間10位と悔しい思いをしており、全日本でそのリベンジを果たしたいところ。しかし、スタート直後こそ青学大、そして後ろから追いついてきた中央大と集団を形成していたものの、徐々に遅れていってしまう。すると後ろから迫ってきた城西大や東農大、さらには東国大にも抜かれてしまい、順位は一気にシード圏ギリギリの8位まで落ちてしまう。その後はなんとか粘りを見せて東国大からは5秒差の8位でタスキ渡し。区間13位と大学駅伝二戦目も苦しい走りとなってしまった。

 5区は菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)が出走した。菖蒲にとっては4年連続での出走、そして3年ぶりの5区での出走となった。スタート直後こそわずかな差だった東国大と並走していたものの徐々に引き離されてしまう。単独走となるも、苦しいながらも粘りの走りを見せる。すると中継所では30秒ほど前を走っていた東農大との差を詰めていき、かわすことに成功。7位に浮上した。その後は後ろから迫ってきた大東大、創価大から逃げる形となる。最後はさを詰められたものの、かわされることはなく7番目で中継所へとやってきた。

 6区を任されたのは当日エントリー変更での起用となった菅野雄太(教3=埼玉・西武学園文理)。3年目で初めての伊勢路出場となった。序盤に大東大からは離されてしまい、創価大と集団を形成する形でレースをすすめる。その後創価大を引き離すことに成功し、単独走でのレースとなった。苦しいながらも自分らしい走りを目指した菅野だったが、最後まで本調子の走りを見せることは出来ず、8位でのタスキ渡し。区間11位と悔しい結果となってしまった。

白子駅前を走る5区の菖蒲 【早稲田スポーツ新聞会】

 流れを変えたい7区にはこちらも当日変更で伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)が起用された。単独走での走りとなったが、自分のペースをしっかりと刻んでいき、少しずつではありながらも確実に前との差を詰めていく。10キロ地点までに、中継所で1分10秒の差があった東国大との差を26秒差にまで詰めることに成功する。さらその後も前との差を詰めていき、中継所手前でついに東国大をとらえることに成功した。しかし逆に後ろから迫ってきていた創価大との差は詰められてしまい、東国大、創価大とほぼ並ぶ形の8位で最終8区へとタスキをわたした。

 アンカーを任されたのは伊福陽太(政経3=京都・洛南)。こちらも初めての伊勢路となった。シード権獲得に向けて負けられない区間だったが、序盤、アクシンデントもあり東国大、創価大の選手のペースについていくことができず、順位をシード圏外の9位へと落としてしまう。その後も必死に前を追った伊福であったが、苦しいレースが続く。最後は東海大にも抜かれてしまい10位でゴール。10位でのフィニッシュとなった早大は5年ぶりに全日本のシード権を失うこととなった。

力走する伊藤大志 【早稲田スポーツ新聞会】

 三位以内を目標にしていた早大を待っていたのは、シード圏外というまさかの結果だった。正月の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に向けて多くの課題が浮き彫りとなったレースとなってしまった。それでも序盤3区間では上位校と比べても遜色ない走りを見せるなど確かな収穫があったのも事実だ。大学駅伝シーズンを締めくくる箱根は約2カ月後の来年1月2日、3日に行われる。「このままで終わるわけにはいかない」と伊藤が語るように、早稲田のプライドにかけてこのまま駅伝シーズンを終えるわけにはいかない。残り2カ月でそれぞれがやれる準備を尽くして、箱根の舞台ではエンジにWのユニフォームが躍動することを期待したい。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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