イチロー、田中幸雄、初芝清…1995年に打点王となった3名のその後
イチロー氏 【写真:時事】
3名がタイトルを分け合うケースは、1995年の打点王以来28年ぶりの出来事に
今回は、1995年に打点王を分け合った3名の選手の球歴をあらためて紹介。さらに、1995年シーズンと2023年シーズンの共通点についても確認することによって、今季に揃ってタイトルを獲得した3選手の今後の活躍にも期待を寄せたい。
イチロー氏(元オリックス・ブルーウェーブ)
イチロー氏 年度別打撃成績 【(C)PLM】
続く1995年は打率.342、25本塁打、80打点、49盗塁を記録し、2年連続の首位打者、最多安打、リーグMVPに加え、自身初の打点王と盗塁王も獲得。さらに、主要3部門で唯一獲得できなかった本塁打王にも3本差と、三冠王まであと少しに迫る圧巻のシーズンを送った。
イチロー氏はその後も他の追随を許さない成績を残し続け、1994年から2000年まで7年連続で首位打者を獲得。2001年からは大リーグに活躍の場を移し、MLB初年度の2001年に首位打者、盗塁王、新人王を受賞した。2004年にはMLB記録となるシーズン262安打を記録するなど、世界最高峰の舞台でも衝撃を与える活躍を見せた。
MLBでは19年間にわたって活躍を続け、通算3089安打というレジェンド級の数字を記録。NPBと合わせたプロ通算の安打数は4367本という途方もない数字であり、球史に残る安打製造機として、日米の双方で比類なき実績を積み上げ続けた。
田中幸雄氏(元日本ハム・北海道日本ハム)
田中幸雄氏 年度別打撃成績 【(C)PLM】
1995年は全130試合に出場してキャリア最高の打率.291を記録し、25本塁打、80打点、出塁率.368、OPS.874と、守備の負担が大きい遊撃手を務めながら見事な成績を記録。ベストナインとゴールデングラブ賞に加え、キャリアで唯一の打撃タイトルとなる打点王にも輝いた。
その後も日本ハムの大黒柱として長きにわたって躍動し、キャリア全体で4度のベストナイン・5度のゴールデングラブ賞を獲得。30代後半を迎えた2003年以降は出場機会が減少したが、その後もチームの精神的支柱となり、2006年と2007年のリーグ連覇に寄与した。
ファイターズ一筋22年間の現役生活を送り、通算2012安打、287本塁打、1026打点という素晴らしい数字を記録し、現役最終年に名球会入りも果たした。1997年に史上3人目の全打順本塁打を達成するなど、あらゆる役割でチームを支えた田中氏は、まさに「ミスター・ファイターズ」の称号に相応しい存在だった。
初芝清氏(元ロッテ・千葉ロッテ)
初芝清氏 年度別打撃成績 【(C)PLM】
そして、1995年には自身初の打率.300超えを達成し、キャリア最多タイの25本塁打を記録。出塁率.358、OPS.903とハイレベルな成績を記録し、キャリア唯一の打撃タイトルとなる打点王も獲得。三塁手部門のベストナインに輝きチームの2位躍進にも貢献する、充実のシーズンを送った。
その後も千葉ロッテの主砲として活躍を続け、1998年には打率.296、25本塁打、86打点、OPS.922と大活躍。ホームランラグーン設置前で、本塁打が出にくい時代の千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)を本拠地としながら、通算232本塁打・879打点を記録し、和製大砲としてチームをけん引した。
千葉ロッテ一筋17年の現役生活で通算1525安打を記録し、「ミスターロッテ」と称された初芝氏。現役を引退する2005年にチームは31年ぶりの日本一に輝き、初芝氏は三塁手としてリーグ優勝の瞬間をグラウンド上で迎える、文字通りの有終の美を飾った。
1995年と2023年は、ともに投高打低の傾向が強いシーズンでもあった
また、イチロー氏と近藤選手はともにアベレージヒッターとしてキャリアを築いたが、ともに長打力を大幅に向上させ、イチロー氏は首位打者・打点王、近藤選手は本塁打王・打点王と打撃2冠に輝いた。さらに、イチロー氏は本塁打王まで3本差、近藤選手は首位打者まで打率.004差と、三冠王まであと僅かに迫った点も共通している。
また、1995年のリーグ平均打率は.248で、3割打者はイチロー氏と初芝氏を含む4名のみ。一方、2023年のリーグ平均打率は.241、3割打者は頓宮裕真選手と近藤選手の2名だけと、いずれも投高打低の傾向が強かった点も共通している。
それに付随して、2023年の本塁打王は26本、1995年の本塁打王(小久保裕紀氏)28本と、ホームラン数そのものが少なかった点も同様だ。裏を返せば、今回取り上げた1995年や2023年に好成績を残した選手たちは、非常に大きな称賛に値するという考え方もできよう。
球団のレジェンドとなった先達たちと同様、3名のタイトルホルダーの今後も期待大
1995年に打点王を獲得して以降も息の長い活躍を続けた先達たちと同様に、熾烈な本塁打王争いの末にタイトルを分け合った3名の本塁打王たちも、今後のキャリアでさらなる活躍を見せることができるか。1995年とさまざまな面で共通点を持つ「3名のタイトルホルダー」たちのこれからに、大いに期待したいところだ。
文・望月遼太
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