捕手陣の話

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたしろくまさんによる記事です。】
今回は「キャッチャー陣について」書いていく。鶴岡慎也大野奨太の2人がFA移籍して以降はなかなか固定出来ず、SSと共に長らく補強ポイントと言われ続けていたポジションである。

しかし、FA・助っ人・トレードと昨オフからあらゆる手段でテコ入れを行った結果、大きなプラスとまでは言わないものの以前よりもかなり見栄えのする顔触れになった。

来週にはドラフト会議が行われ、おそらく捕手も1人は指名されるだろう。その前に現在在籍している捕手8人について「今季の簡単な振り返り」と「来季への期待」を書いた。

ちなみに、リードに関しては言及するつもりはない。結局のところ「打たれたら悪い・抑えたら良い」になるし、スコアラーがデータを収集してコーチ・投手と打ち合わせしている以上、捕手だけの責任になるとは思っていないからだ。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

故障などもあり中日時代は3シーズンで計169試合の出場に留まっていたが、移籍初年度で初めて100試合に出場して規定打席に到達。HR数はリーグ10位OPSはリーグ8位と打線を牽引した。

WBC出場のため春季キャンプで投手陣とコミュニケーションを取れなかったので今季マスクをかぶる機会は少ないかと思われたが、スタメンで29試合・途中出場でも1試合と予想以上に起用されている。

スタメンマスク時は打率.283/OPS.872と打撃に悪影響が出るどころかむしろ良い結果が出ており、肝心の守備も凄く上手い訳ではないが破綻してはいない。「1B/DHメインで3番手捕手を兼任してくれれば」くらいに思っていたが嬉しい誤算である。

▶2024年に向けて

本人がSNSで「I will be a Fighter for a long time」と投稿し、一部メディアが「両者は24年シーズンの契約にも既に合意していることが判明」と報じてはいるものの…キューバ案件は不透明な事が多いのでまずは1日も早く正式発表される事を祈るばかりだ。

彼が離脱すると打力が一気に落ちてしまうので、来季もまずは「健康第一」である。ただ、1B/DHと捕手の候補を比較するとどうしても前者の方が使いたい選手が多いので、40~50試合程度スタメンマスクをかぶってくれると非常にありがたい。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

将来の正捕手”と期待されながら気付けば9年目になった。17-21年の5シーズンで計414試合に起用されたもののポジションを掴み切れず、昨季は宇佐見真吾のプチブレークにより、今季は伏見寅威の獲得により2年連続で30試合程度の出場に留まっている。

今季は開幕一軍こそ果たしたものの、約2カ月半でスタメンは10試合のみと完全に控え扱い。6月8日にインプレー中にミットを外して失点を喫するという“やらかし”で翌日に問答無用の二軍落ちとなった。

それでもシーズン最終盤の9月26日に再昇格を果たすと、出場5試合のうち4試合でスタメン起用されて打率.286/OPS.643と打撃でまずまずのアピール。良い形で終われたのは良かった。

▶2024年に向けて

長年期待し続けているファンの1人として彼には不満な事がある。SNSで長年議論になっているリード?ミットを外すなどのやらかし癖?そんなものはどうでも良い。「なぜもっと打たないんだ」、これである。

清水は高卒3年目の18年に札幌ドームを本拠地に86試合で7HRを放ちOPS.643、4年目の翌19年には98試合でOPS.686を記録している。最近は小さく纏まっているきらいがあるが、打撃の才能が無い訳が無いのだ。

ブロッキングなど捕手としての技術は問題ないと思っているし、守備に関する“些細な事”を突っ込まれないくらい打ち続けて欲しい。来季こそは「打てる捕手・清水優心」が見たい。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

地元北海道出身にして、稲葉篤紀・鶴岡慎也に次ぐチーム史上3人目のFA戦士。今季は(規定以上の12人で)NPBワーストの盗塁成功率.151とほぼフリーパスだったものの、NPBトップクラスのフレーミングなどで投手を献身的に支えた。

一方の打撃では古巣オリックス相手に打率.327/OPS.800を記録したものの、他のパ4チームに対しては打率.180/OPS.450未満とボロボロ。来季は流石にOPS.550は超えて欲しいところだ。

中島卓也や谷内亮太といったベテランが二軍にいる時間が多かったため、自身も移籍1年目ながら若手のメンター役を担ってくれたのは有り難かったものの、同時にファンながら申し訳なさも感じてしまった。

▶2024年に向けて

とりあえず最大のネックは盗塁成功率だ。春季キャンプで腰に違和感という報道があり、オフにはアキレス腱炎の治療(20年にアキレス腱断裂の経験有)へ行ってるのでコンディション不良だったのだろうか?

21年は.415・22年は.324とむしろ優秀な部類だったので、しっかりケアをして少しでも戻して欲しい。今のフレーミングでそこそこ刺せれば、仮に打撃が戻らなくても何とかなる。伏見寅威と北海道で優勝したい。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

昨季は二軍で打率.253/OPS.814を記録し、一軍ではコディ・ポンセと共にノーヒッターを達成するなどトッププロスペクトと目されていたが…試合数・打席数共に昨季の半分未満と足踏み。

一軍では打率やOPSが低調なだけではなく、47打席/1四球/15三振とアプローチも壊滅的な数字に終わっている。昨季も108打席/8四球/23三振と良くなかったものの、それでもまだ平均をやや下回る程度に収まっていた。

ポンセとのバッテリーでは今季4勝のうち3勝が古川とのバッテリーで相変わらず相性は良かったものの、今季ベストピッチだった最終登板が清水とのコンビだったのも不安材料である。

▶2024年に向けて

上武大4年時に1BやSSを守るなど指名時から捕手に留まれるかは懐疑的だった事を思えば、むしろここまでは良い意味で想像以上に守れている印象。ただ、こちらは悪い意味で想像以上に打撃が伸びてこないのが辛い。

今季二軍では1B/OFでも多く起用されているが、打てるなら捕手に拘る必要はないと思う。将来的にはコンバートも視野に入れて良い。上位打線を任せられるだけの打撃ポテンシャルは秘めていると思っている。

※成績は日本ハム時代のみ 【しろくま】

▶2023年を振り返り

中日では過去3.5シーズンで73試合の出場に留まっていたが、6月19日に2対2のトレードが成立して日本ハムへ。30日にさっそく一軍昇格すると8月終了時点で打率.294/OPS.760と打線に欠かせない存在になった。

しかし、9-10月で打率.183/OPS.452と閉幕直前に大ブレーキ。ここまで一軍で起用される事が無かったので疲労が出たか、それとも9月に入ってLFや2Bを就くなど守備の負担が増えた事による影響なのかは不明だが、最終的に平凡な打撃成績に終わったのは残念である。

とはいえ、僅かではあるがチーム平均OPS(.641)は超えているし、ボール球に滅多に手を出さずコンタクトに優れている打撃は数字以上に評価すべきだろう。現在のメンツなら松本剛と共に数少ない1番打者候補だと思っている。

▶2024年に向けて

昨季時点で既に二軍でやる事はないので、今季の一軍成績からどれだけ上積み出来るか。15本も20本もHRを打てるタイプではないので、安定感はあっても打撃優先の1B/LFとしてはどうしてもインパクトに欠ける。

となると、やはりセンターラインを守って欲しい…もちろん2Bではない、捕手だ。せめて3番手クラスの守備力があって週1スタメンで出られれば充分なので、まずは「1B/LFも守れるOPS.700の打撃型捕手」になって貰いたい。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

高校時代から捕手だけでなく内外野こなすユーティリティ性能を発揮してきたが、ここ数年は多くの捕手が同じ様な起用をされているのでどうしても影が薄くなっている。

今季は二軍では投手以外の全8ポジションをこなしてチーム最多の101試合に出場したものの、捕手としての出場は3試合/7.0回だけ。一軍では途中出場ですらマスクをかぶらなかった。

一方の打撃では二軍でキャリアベストの4三塁打・9HRを放ったものの、OPSは平凡な数字に終わっている。ただ20年以降改善しているBB/Kは今季も0.56と平均以上。

▶2024年に向けて

前述の様に複数ポジションを守れる捕手はチームに多いが、コーナーではなくセンターラインを全て守れるのは球界全体で見ても稀有だ。イニング数を見ると捕手の7.0回が一番少ないのでもはや「捕手も出来るユーティリティ」に近い。

郡といえば21年4月に特例で抹消されるまで打率.282/OPS.667を記録して1番3Bで起用されたのが印象的である。あれくらい打てれば日本ハムOBで広島や読売で活躍した木村拓也の様になれるのでは?

【しろくま】

▶2023年を振り返り

例えるなら「9回裏2死からの同点HR」の様なシーズンだった。二軍では自己最多の91試合に出場したがお世辞にも良い成績とは言い難く、守備も捕手以外を守る事が増えた。

しかし、9月22日に今季初の一軍昇格を果たすと10試合で猛アピールに成功。球場が狭い鎌スタを本拠地に二軍通算977打席で3HRしか打てなかった彼が、僅か31打席で2HRを放ってみせた。

守備でも現在行われているフェニックスリーグも含めて盗塁阻止を連発(昨年は肘を痛めていたらしい)。一気に来季の正捕手候補に躍り出たと言って過言ではないだろう。

▶2024年に向けて

とはいえ今季チームが戦った143試合のうちアピール出来たのはたった10試合である。(同じ年齢の)大卒ルーキーなら1年目はそれで充分だが、二軍で通算977打席立って打率.223/OPS.553という積み重ねはやはり大きい。“逆転サヨナラHR”ではなく“同点HR”と書いたのはそこだ。

来春キャンプは野球人生のターニングポイントになるだろう、まず初っ端で「秋の姿は偶然じゃないんだな」と首脳陣に思わせて欲しい。狙うポジションはもちろんLFではなく捕手だ。

【しろくま】

▶2023年を振り返り

昨季も二軍で39試合ながら打率.275/OPS.714を記録していたが、今季も(打席数が2.5倍以上に増えて)数字こそ落としたものの守備型捕手としては及第点の打撃成績を残した。

特に開幕直後は打撃が絶好調だったので、若手捕手陣では頭ひとつ抜けた存在になるかと思われたが…終わってみれば一軍での出場試合数は捕手陣で(郡と並び)最少で、この起用に関しては疑問が残る。

打撃の調子が落ちてきた頃に一軍昇格したのは実績が無いので仕方ないにしても、6月9日から7月28日の1カ月半も帯同して出場は7試合のみ。6月28日にようやくスタメン起用されて上原健太を7回無失点の好投に導いたものの、2度目のスタメンは巡ってこなかった。

▶2024年に向けて

一軍でも僅かな出場機会で攻守に悪くないアピールをしていたので、本来なら今季のうちに「一軍で何が出来るのか・何が出来ないのか」を見定めて欲しかったが出来なかったものは仕方ない。

昇格後すぐにスタメンマスクで起用された古川や田宮とは何が違ったのか…“打席での期待感”だろうか?“選手としての華”だろうか?おそらく守備では無いだろう。ひとまず彼に出来るのは、声がかかるまで二軍で結果を残し続ける事だけだ。

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