【神戸スティーラーズ特別連載第9回/RWC2023フランス大会〜神戸から夢の舞台へ】 FB山中 亮平、W杯日本代表追加招集。「やったれ、やまちゃん」盟友・前川 鐘平氏からのメッセージ

チーム・協会

【コベルコ神戸スティーラーズ】

9月8日に開幕した「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」。コベルコ神戸スティーラーズからはPR具 智元、LOサウマキ アマナキ、SO李 承信が日本代表メンバーに選出されているが、9月18日、日本ラグビー協会からイングランド代表戦で負傷したセミシ・マシレワ(花園L)に替わり、FB山中 亮平の追加招集が発表された。
ともに大阪出身で、高校時代と神戸スティーラーズでチームメイトとしてプレーした前川 鐘平氏から「やまちゃん」こと山中へエールを送ってもらった。

腰パンのやまちゃんが、2度目のワールドカップへ!

「マシレワ選手が怪我をしたので、やまちゃんが呼ばれるかもしれないと思いましたが、それが現実のものになるとは。マシレワ選手の怪我は残念ですけど、やまちゃんの追加招集は嬉しかったですね!」と声を弾ませる。

前川氏は、2022−23シーズンをもってユニフォームを脱ぎ、今年8月から母校・東海大学ラグビー部のFWコーチに就任。現在、チーム初の大学日本一に向かって、関東大学リーグ戦を戦っている。

前川氏と山中は、大阪市内の中学同士でよく練習試合をしており、選抜チームでも一緒にプレーしていた。中学時代にBKでのプレー経験がある前川氏は、当時の山中のことを今でもよく覚えているという。
「僕らが中学生の時は、ユニフォームのパンツがテロテロの素材で、それを腰まで下げて“腰パン”で履くのが流行っていたんですけど、もちろん、やまちゃんは腰パンをしていました(笑)。背が高くて、ラグビーがうまい。けど、腰パンで、ちょっとチャラい感じだったなって(笑)」

高校は、共に東海大学付属仰星(現・東海大学付属大阪仰星)へと進み、3年の時に日本一を達成。卒業後は、前川氏が東海大学、山中は早稲田大学へ進学し、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(当時)で再びチームメイトに。

2014年春には二人ともチームが提携するスーパーラグビーのチーフスへ派遣され、武者修行。

「高校の土井先生も当時から『山中は世界で活躍できる』と言っていましたし、チーフスへ行った時も、ウェイン(・スミス。現在コベルコ神戸スティーラーズのラグビーコーチメンター/チームアンバサダー。当時はチーフスでコーチを務めていた)は、やまちゃんのことをスーパーラグビーで通用する選手だと見ていたように思います」とポテンシャルはずば抜けていたと振り返る。

髪の色のようにド派手に暴れてほしい!

神戸スティーラーズでは、前川氏は社員選手、山中はプロ契約ということもあり、常に行動を共にするという関係ではなかったが、前川氏は中学時代から一緒にプレーし、気心の知れた山中に対して特別な思いを抱いている。

今年4月下旬に行われた退団会見では、
「2019年のラグビーワールドカップや2021年のブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ戦でプレーしているやまちゃんを見て、ただただ、すごいなと思っていました。テレビや雑誌でしか知らない世界で活躍する、やまちゃんは、同級生なんですけど、僕は1ファンとして応援していることに気づきました。これからも頑張ってほしいですね」と語っていた。

もちろん、今もその気持ちは変わらない。

7月から行われた日本代表の国内試合も観戦し、サモア代表、トンガ代表とのテストマッチに出場した山中のプレーを見て、
「パフォーマンスはめちゃくちゃ良かったという感じではなかったですけど、これからワールドカップに向けて調子を上げていくんだろうなと思っていました」と前川氏。

だからこそ、8月15日、W杯メンバーから外れた時は、「嘘やろう…」と自分のことのようにショックを受けた。ただ、山中の気持ちを慮って連絡するのは控えたと話す。

年齢的にもフランス大会を代表活動の集大成にすると公言していた山中は、その後、自身のX(旧Twitter)に「このまま諦めるのは性に合わないので、2027年のワールドカップ目指します」と投稿。
前川氏は「僕はSNSをしていないので、投稿を直接読んではいないのですが、代表引退撤回は、やまちゃんらしいなって思いましたね」とうなずく。

追加招集発表後も、前川氏はまだ山中に連絡をしていないそうだが、試合メンバーに入ったら「おめでとう!」とすぐにメールをするつもりだ。

「あいつが諦めずに掴み取ったチャンスです。試合に出たら一瞬一瞬を全力で楽しんでほしいですね。誰もがワールドカップの舞台に立てるわけではありませんし、それを2大会連続で経験できるなんて、本当にすごいことです。金髪はあんまり似合っていないなと思いましたけど(笑)、ワールドカップでは、髪の色のようにド派手に暴れてほしいです!」

イングランド代表との一戦に敗れ、現在、プールD組1勝1敗の日本代表は、9月28日(日本時間29日)にサモア代表、10月8日にアルゼンチン代表と対戦。自力で1次リーグを突破するためにも、負けられない試合が続く。

やったれ、やまちゃん!

前川氏だけでなく、神戸スティーラーズのチームメイトが、Steel Matesが、やまちゃんの活躍を期待している。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

前川氏の現役最後の試合となった「NTTリーグワン2022-23」最終節終了後。昨シーズンをもってチームを退団した有田 隆平(現・トヨタV)と山中を囲んで、同級生トリオのスリーショット。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

今後の日本代表スケジュール
●9月28日(日本時間29日朝4時キックオフ)vsサモア代表(フランス・トゥールーズ)
●10月8日(日本時間夜8時キックオフ)vsアルゼンチン代表(フランス・ナント)

代表合流後に行われた記者会見では「呼ばれたからにはチームにコミットして、しっかり貢献したい」と話していた山中。飛距離が出る左足のキックに、得意のカウンターアタックで日本代表に勝利をもたらしてほしい。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

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著者プロフィール

兵庫県と神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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