誰も来なかったドラフト会見 早大OBの阪神・大竹、育成指名から4万人を熱狂させる投手へ

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10勝目のウイニングボールをクローザー・岩崎優選手から受け取る大竹投手。左は早稲田の大先輩・岡田彰布監督 【共同通信】

2017年10月26日のドラフト会議、ソフトバンクホークスから育成選手4巡目で指名された当時・早稲田大学スポーツ科学部4年の大竹耕太郎投手。東京・西東京市東伏見の野球部室内練習場で行われた記者会見に訪れたのは学生新聞『早稲田スポーツ新聞会』だけで、報道関係者は誰も来ませんでした。

2015年の六大学野球秋季リーグ戦で慶應相手に完封し、45度目の優勝に導いた大竹投手 【共同通信】

野球部のエースとして早稲田を支えて2015年春・秋連覇を達成、全日本大学選手権での日本一の立役者となった大竹投手でしたが、3年生以降は苦しみ、何とか辿りついたプロ指名でした。「厳しい選択をすることが自分の為になる。まずは支配下登録されるように、全力で、泥臭くやっていきます」と語っていました。

2017年に行われたドラフト指名後の記者会見。取材に来たのは学生新聞『早稲田スポーツ新聞』のみで、報道関係者は誰も来なかった 【早稲田大学】

あれから6年近くたった2023年9月9日、阪神甲子園球場には「キラキラと輝く」(小宮山監督)、阪神タイガースのユニフォームを着た大竹投手の姿がありました。4万2000人の声援を受けて6.2回を投げて1失点の力投、プロ初の二けた勝利を達成しただけでなく、打つほうでもプロ初のタイムリーヒットを放ちました。

2022年の暮れに行われた現役ドラフトで阪神タイガースに移籍。奇しくもこの年に就任した野球部の大先輩・岡田彰布監督(1976年教育学部入学)のもとで再起を図ることになりました。

プロ初のタイムリーヒットを放つ大竹投手 【共同通信】

10勝目を目前に岡田監督は言いました。「初めてローテーションに入って、今年なあ、大竹も、こんな成績は初めてと思うし、やりがいはあると思うしな。何ていうかなあ、個人的にそういう目標があるというのは頑張ってきた証拠やもんな」(日刊スポーツ)。このコメントを見て大竹投手は発奮、「こんなふうに思ってくれてるんだな」とその期待に応えました。

150キロを投げるのが当たり前のようになっているプロ野球で、多彩な変化球と緩急を生かした的を絞らせない「技巧派」。泥臭く、雑草のような逞しさで、岡田監督にとってもタイガースにとっても、18年ぶりとなる優勝に多大な貢献を果たしました。

祝勝会では「最高です!!! 1試合、1試合必死で頑張ってきました。9月までどうにか1軍にいることができて、いい経験になっていると思います。CS、日本シリーズと続きますし、それに向けて1試合1試合、いい投球ができるように、来て下さるファンのみなさまのためにも一戦必勝で頑張っていきたいと思います」と語りました。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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