ラリーガ EA SPORTS、夏の移籍市場総括
【(C)LaLiga】
2人の欧州王者、ラリーガへ
過去3シーズンのうちにチャンピオンズリーグを制し、主将としてトロフィー「ビッグイヤー」を掲げた2人のベテランがスペインへやってきた。昨季にチャンピオンズリーグ初制覇を含む三冠獲得を実現してほどなく、マンチェスター・シティーからバルセロナに移籍してきたイルカイ・ギュンドアンはその一人だ。バルセロナの中盤に創造性と得点力をもたらすことが期待されているドイツ代表MFは、加入直後のインタビューで「幼い頃からバルセロナに憧れてきた。チャンスが訪れた際には逃してはならないと、ずっと自分に言い聞かせてきたんだ」と語っている。
もう一人はチェルシーの主将として2020/21シーズンの欧州王者に輝いたセサル・アスピリクエタ。地元パンプローナのオサスナでプロキャリアをスタートした守備のオールラウンダーは、マルセイユとチェルシーで計13シーズンにわたって活躍した後、ラリーガ EA SPORTS へ帰ってきた。アトレティコ・デ・マドリーへの加入時には「重要なプロジェクトと感じた。偉大なクラブに貢献できるチャンスだとね」と語っている。
今夏バルセロナに加入したイニゴ・マルティネス、オリオル・ロメウの2人も経験豊富なベテランだ。前者はレアル・ソシエダとアスレティック・クルブでの豊富なプレー経験があり、後者は昨季ジローナの主力として活躍したばかり。いずれもラリーガ EA SPORTS での実績が十分にあるだけでなく、シャビ・エルナンデス監督が目指すフットボールにもスムーズに適応できる資質を持っている。
レアル・マドリーに加入したホセルも注目すべきベテランの一人だ。昨季エスパニョールで16ゴールを記録した33歳のストライカーは、11年ぶりに復帰した古巣でカリム・ベンゼマの穴埋めという大役を務めることになる。
イルカイ・ギュンドアン(バルセロナ) 【© FC Barcelona】
セサル・アスピリクエタ(アトレティコ・デ・マドリー) 【© Atlético de Madrid】
ホセル(レアル・マドリー) 【(C)LaLiga】
才能豊かな若手有望株も多数ラリーガ EA SPORTS のクラブへやってきた。レアル・マドリーはラージョ・バジェカーノで目覚ましい活躍を見せた左サイドバックのフラン・ガルシア、トルコの新星アルダ・ギュレルを獲得。さらに今夏最大の目玉補強、ジュード・ベリンガムをスター揃いの中盤に加えた。
インテリジェンスと高いテクニック、恵まれたフィジカルを兼ね備え、2022/23シーズンのブンデスリーガのベストプレーヤーに輝いたイングランド代表MFは、20歳にしてベテランのように成熟したプレーを見せる。ラリーガ EA SPORTS ではデビュー戦から4戦連続で計5ゴールを量産し、8月の月間ベストプレーヤーに選ばれている。
第4節終了時点で2位タイにつける好調のジローナにも期待の若手が加入している。パブロ・トーレはバルセロナからレンタル移籍してきた20歳のメディアプンタ。サビオ・モレイラはフランスのトロワからやってきた19歳のブラジル人サイドアタッカーで、前線には26歳のウクライナ代表FWアルテム・ドフビクも加わった。
レアル・ソシエダが獲得したアルセン・ザハリャンにも注目だ。20歳のロシア代表MFはヨーロッパ有数の若いタレントとして多くのクラブが熱視線を送っていた逸材であり、久保建英やブライス・メンデス、マルティン・スビメンディらとの共演が楽しみだ。
アルダ・ギュレル(レアル・マドリー) 【(C)LaLiga】
ジュード・ベリンガム(レアル・マドリー) 【(C)LaLiga】
パブロ・トーレ(ジローナ) 【© Girona FC】
同じく27歳のチャーラル・ソユンジュは、レスター・シティーからアトレティコ・デ・マドリーへ移籍。トルコ代表として50試合以上のプレー経験を持つセンターバックはプレシーズンから好パフォーマンスを発揮し、レギュラー候補に名乗りを上げている。
多数の新戦力が加わったベティスでは、新天地での出直しを図るマルク・ロカとイスコが加入直後から欠かせない存在となっている。とりわけイスコは4節終了時点で3度のマンオブザマッチに選出されており、完全復活を印象付けつつある。
ベティスと同じ町のライバル、セビージャにはジブリル・ソウが加入。26歳の経験豊富なスイス代表MFは2019年から昨季までアイントラハト・フランクフルトでプレー。2021/22シーズンには奇しくもラモン・サンチェス・ピスフアンで行われた決勝でヨーロッパリーグを勝ち取っている。
ビジャレアルは昨季までライプチヒからレアル・ソシエダにレンタル移籍していたアレクサンダー・ソルロートを完全移籍で獲得。27歳のノルウェー代表ストライカーは昨季のラリーガ EA SPORTS で12ゴールを記録し、レアル・ソシエダのチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献している。
ビジャレアルの前線にはベン・ブレアトン・ディアスも加わった。イングランドで生まれ育った彼はU21までイングランド代表でプレーしていたが、最終的に母親の母国であるチリ代表でのプレーを選択。そのために週3回の授業を受けるなどして習得したスペイン語は、新天地でも大いに役立つはずだ。
ジョナタン・バンバ(セルタ) 【© RC Celta】
イスコ(ベティス) 【© REAL BETIS BALOMPIÉ.】
ジブリル・ソウ(セビージャ) 【(C)LaLiga】
アレクサンダー・ソルロート(ビジャレアル) 【(C)LaLiga】
初恋の相手を忘れることは決してないとよく言うが、それは古巣クラブへと復帰する選手が多いことにも当てはまるのかもしれない。今夏で言えばバルセロナに復帰したロメウ、同じくカスティージャ出身でレアル・マドリーに加入したフラン・ガルシア、ホセルらがそうだ。
ベティスには2021/22シーズンのコパデルレイ優勝メンバーであるエクトル・ベジェリン、マルク・バルトラが復帰。レアル・ソシエダにはアルバロ・オドリオソラが5年ぶりに帰還し、ジローナにはポルトゥが戻ってきた。
9月4日にはセルヒオ・ラモスのセビージャ復帰も実現した。6月にパリ・サンジェルマンを退団して以降、トルコやサウジアラビアのクラブから破格のオファーを受けていた彼は「お金では買えないものがある。魂がホームへの帰還を求めていたんだ」とコメント。18年越しの地元への凱旋を「これ以上望めることはない」と喜んでいる。
エスパニョールからマジョルカに移籍したセルジ・ダルデルのケースは古巣への復帰とは異なるが、マジョルカ島出身の彼は29歳にして地元クラブでプレーする夢を叶えることになった。
レンタル先のクラブに完全移籍したケースも多い。セビージャのヨーロッパリーグ制覇に貢献したフランス人DFロイク・バデ、アルメリアを残留に導いたコロンビア代表FWルイス・スアレス、バレンシアのトルコ人DFジェンク・エズカジャル、ベティスのFWアヨセ・ペレス、セルタのFWカルラス・ペレスらはレンタルで加入した昨季に重要な役割を果たし、今季も引き続きそれぞれのクラブでプレーする権利を勝ち取った選手たちだ。
オリオル・ロメウ(バルセロナ) 【(C)LaLiga】
アルバロ・オドリオソラ(レアル・ソシエダ) 【© Real Sociedad】
セルヒオ・ラモス(セビージャ) 【© Sevilla F.C.S.A.D.】
セルジ・ダルデル(マジョルカ) 【(C)LaLiga】
ラリーガ EA SPORTS が開幕した後にも、移籍期間の終了までには多くの動きが見られた。開幕直前に長期離脱を強いられたティボ・クルトワの穴埋めとして、レアル・マドリーが獲得したスペイン代表GKケパ・アリサバラガはその一例だ。レアル・ソシエダは8月27日にアーセナルのスコットランド代表DFキーラン・ティアニーを1シーズンのレンタル契約で獲得している。
移籍期間の最終日となる9月1日にはバルセロナが大きく動いた。アトレティコ・デ・マドリーのジョアン・フェリックス、マンチェスター・シティーのジョアン・カンセロがそれぞれレンタル契約で加入した一方、エリック・ガルシアはジローナ、アブデ・エザルズリをベティスへと放出している。
他にもメキシコ代表DFセサル・モンテスがエスパニョールからアルメリアへ、レアル・マドリーを退団していたマリアーノ・ディアスがセビージャへ、メイソン・グリーンウッドがマンチェスター・ユナイテッドからヘタフェへの駆け込み移籍を実現している。
ケパ・アリサバラガ(レアル・マドリー) 【(C)LaLiga】
ジョアン・フェリックス(バルセロナ) 【(C)LaLiga】
マリアーノ・ディアス(セビージャ) 【© Sevilla F.C.S.A.D.】
メイソン・グリーンウッド(ヘタフェ) 【© Getafe C.F. S.A.D.】
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