未来のスターは誰だ!? 2024秋「プロ野球プロスペクトランキング」

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 将来、大きく羽ばたきそうな若手有望株のランキングだ。10月24日に行われた今年のドラフト会議では支配下69人、育成54人の合計123人が指名を受けたが、そのなかには1年目から主力級の活躍が期待できそうな選手もおり、また高校生でも2年後、3年後には一軍に定着してスターへの道を歩む可能性を秘めた逸材もいる。もちろん、すでにプロの世界で揉まれ、来シーズン以降が楽しみな若武者も多い。そうした次代のスター候補を「ポテンシャル」「完成度」「上昇度」の3項目で評価。2025年シーズンの新人王資格を持つ選手のみを対象とし、セ・パそれぞれ15位まで紹介する。
(監修:西尾典文)

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※各項目10点満点、合計30点満点。合計点が同じ場合は総合的な判断で順位を決定。「上昇度」は過去1年間の成長度、勢いを数値化したもの。所属などの情報は2024年11月4日時点。ドラフト指名順位は24年ドラフトの指名選手のみ記載。

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解説

今年のドラフトで楽天が射止めた宗山は、一級品と言われる遊撃守備に加え、東京六大学歴代7位の通算118安打を記録した打撃も高水準だ【写真は共同】

 パ・リーグのトップには、今年のドラフトで5球団が競合した宗山塁(明治大→楽天1位)を選出した。ショートの守備はすでにプロでもトップクラスと言われ、フットワーク、ハンドリング、スローイングの全てが高いレベルにある。さらにプレーに落ち着きがあり、あらゆる打球を冷静に、かつスピーディーに処理できるのが大きな強みだ。

 守備が取り上げられることが多いが打撃に関しても無駄な動きがなく、確実性と長打力を高いレベルで兼ね備えている。脚力も下級生の頃よりもアップしており、走塁に対する意識も高い。1年目からショートのレギュラーとして一軍で100安打以上も十分に期待できるだろう。

 来年のルーキーで宗山に続く存在となりそうなのが、同じく大学生野手の渡部聖弥(大阪商大→西武2位)と西川史礁(青山学院大→ロッテ1位)の2人だ。

 渡部は宗山と広陵時代のチームメイトで、大商大では入学直後からレギュラーに定着。2年秋にはリーグ新記録となるシーズン5本塁打を放つなど数々のタイトルを獲得し、4年間でチームを7度のリーグ優勝に導いた。広角に長打、ホームランを放つことができるバッティングは大学球界でも屈指のレベルにある。

 打つだけでなく強肩と俊足も備えており、打撃以外のプレーも見どころが多い。また本職のセンターだけでなく、この秋はサードでも安定した守備を見せていたのもプラス材料だ。ドラフト順位こそ2位だったものの、貧打に苦しむ西武にとっては救世主的な存在となる可能性もある。

 一方の西川も大学球界を代表する右の強打者。リーグ戦での通算本塁打数は6本ながら全国大会でも2本のホームランを放っており、そのいずれもが打った瞬間にそれと分かる当たりで、遠くへ飛ばす力は圧倒的なものがある。今年の秋は死球を指に受けて離脱となったが、厳しいマークのなかでもしっかり結果を残すなど対応力も高い。

 渡部に比べて足と肩は劣るものの、今年からセンターに回った外野の守備も問題なくこなしている。ロッテは日本人のホームラン打者不在が長年の課題だけに、1年目から外野のレギュラー争いに加わることが期待される。

 来年のルーキーでは藤田琉生(東海大相模→日本ハム2位)、柴田獅子(福岡大大濠→日本ハム1位)の高校生投手2人もランクインした。

 藤田は身長198センチという超大型左腕で、コンスタントに145キロを超えるストレートも魅力だが、それ以上に変化球などをうまく操る器用さが目立つ。スケールの大きさはなかなかいないレベルだけに、安易に技巧に走ることなく、しっかり球威アップに取り組んでもらいたい。

 柴田は野手としても高いポテンシャルを誇る大型右腕。変化球はほぼスライダーのみで、調子の波が大きいのも課題だが、フォームに目立った欠点がなく、好調時のストレートの勢いは目を見張るものがある。また打者としては左打席から左中間に放り込める長打力を備えており、長距離砲としての素質は十分だ。プロ入り後にどうしていくかはこれから話し合って決めていくとのことだが、二刀流で大成する可能性も秘めた逸材である。

2021年ドラフト4位で西武に入団した羽田は、身長191センチの大型左腕。球団の本拠地である埼玉県所沢市生まれの期待の星だ【写真は共同】

 今年のドラフトで指名された選手以外では羽田慎之介(西武)、寺地隆成(ロッテ)、柳川大晟(日本ハム)の3人を上位にランクした。

 羽田は3年目の今シーズンに一軍デビューを果たし、9試合で1勝3敗ながら防御率は2.76とまずまずの成績を残した。最大の魅力は常時150キロを超えるストレートで、指にかかったボールは打者を圧倒するだけの勢いがある。140キロ近いスピードで落ちるスプリットも空振りを奪えるボールだ。制球力と体力面にはまだ課題が残るものの、ボールの力だけを見ればすでに一軍でも通用するレベルにあることは間違いない。来年は1年を通じての一軍定着が望まれる。

 新人の寺地は明徳義塾からドラフト5位での入団だったが、1年目から二軍のレギュラーに定着。イースタン・リーグで2位となる打率.290をマークし、シーズン終盤には一軍にも抜擢されて早くもプロ初安打を放っている。特に素晴らしいのがコンタクト力の高さで、速いボールをしっかり捉え、変化球にもついていくことができる。選球眼も良く、二軍では.368という高い出塁率をマークした。

 高卒1年目でここまでの打撃を見せられる選手はなかなかいるものではない。捕手としての守備面は課題が多いものの、打撃はかなりの魅力があるだけに、捕手以外でのプレーを検討しても面白いだろう。

 柳川は2021年の育成ドラフト3位で入団。今年5月に支配下契約を勝ち取ると、夏場には調子を落とした田中正義に代わって抑えを任され、チーム2位となる8セーブをマークする活躍を見せた。8月下旬から9月上旬にかけては登板が続いたこともあって明らかに調子を落としたが、好調時のストレートは楽に150キロを超え、鋭く落ちるフォークも一級品だ。来年は1年を通じて投げられる体力をつけて、一軍定着を目指したい。

 リーグ優勝を果たしたソフトバンクからは前田純、前田悠伍、松本晴のサウスポー3人と大型外野手の笹川吉康がランクインした。ソフトバンクは投手も野手も主力はベテランが多いだけに、彼らがどこまで成長するかがチームにとって極めて重要になってくるだろう。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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