【ソサイチ日本代表】Road To F7 WORLD CHAMPIONSHIP ~ソサイチ世界イチへ~

チーム・協会

世界一を目指す新生・日本代表 【Photographer/Shoko Tsujimoto】

9月7日~10日の4日間、メキシコ・プエブラで「FOOTBALL 7 WORLD CHAMPIONSHIP 2023」が行われます。日本ソサイチ連盟は、今年2月に本大会を主催する世界的7人制サッカー組織「The Football 7 Federation(FIF7)」と提携。4月にマレーシアで開催されたソサイチのアジア大会「ASIA7S」で優勝を収めた成績が評価され、今回の出場が決定しました。

北南米や欧州から多くのチームが出場する中、日本はアジア唯一のチームとして出場します。全16チームが4グループに分かれて戦う予選リーグでは、日本はAグループに属しメキシコ、コスタリカ、ウルグアイと対戦。各グループの上位2か国がプレーオフに進出します。

本大会の優勝を目指すソサイチ日本代表は、アジア制覇を達成したコスタ・ケラー監督、徳永健介アシスタントコーチの続投が決定し、6月初旬にセレクションを実施。約100名のソサイチリーグ所属選手の中から書類選考を通過した約70名がセレクションに参加し、15名の代表選手を選出しました。国内最終合宿には1名が追加召集を受け、全16選手が世界一を目指します。

新生・日本代表が始動! トレーニングマッチでは17得点をマーク

初回のトレーニングマッチで先制点を挙げた福田朔良選手 【©️Japan Football 7】

新たに選出された15名の選手たちは、7月23日に東京・多摩のJ-SOCIETY FOOTBALL PARK 多摩で初顔合わせを行いました。2017年から代表に選ばれ続けている選手、アジア制覇を経験した選手、今回初選出となった選手とさまざま選手がそろい、活発にコミュニケーションを取る姿が見られました。

ソサイチ関東リーグ1部所属「Shalom SC」とのトレーニングマッチでは、初選出の福田朔良選手がオープニングゴールを挙げると、ソサイチ関東リーグ初代得点王の大熊竜生選手が4得点、圓乘健介選手がハットトリックを達成するなど得点を量産。17-8で勝利を収めました。

8月11日には、2度目のトレーニングを実施。この日は午前中のセッションでチームトレーニングを行い、午後はソサイチ関東リーグの強豪チームである「LAZO.FC」、「P_LEAGUE」、「エルアグア東京」の3チームのメンバーとのトレーニングマッチに臨みました。酷暑でのトレーニングの疲労も影響したのか、課題の残るトレーニングマッチとなりました。

コスタ・ケラー監督「世界大会に行くならゴールはひとつ」

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

8月20日には国内最後の代表活動を実施。冒頭にコスタ・ケラー監督から「アジア大会でフィリピンに行くときにも『フィリピンに行くのであればゴールはひとつ』と話した。今回も、ワールドカップに行くならゴールはひとつ。ベスト8やベスト4、トップ3ではない。世界一になることしか考えていない。全員がそのスタンスで臨み、100%の気持ちで戦いにいく。世界でもソサイチのリーグがある国はブラジルやロシアなど数少なく、やはりリーグのある国は強い。(リーグのある)日本も期待されているので、それに応え、日本の力を世界に見せよう」と世界大会に臨むマインドの統一が行われました。

また、アジア大会「ASIA7S」でもキャプテンを務め、腓骨遠位端骨折という大けがを負いながらもチームをサポートするためにメキシコに帯同する山田樹選手がキャプテンに、関根友弥選手と加部未蘭選手が副キャプテンに任命されました。

多摩市・阿部裕行市長がソサイチ日本代表を激励! 「多摩はソサイチの聖地」

選手たちに激励のメッセージを送った阿部裕行 多摩市長(中央) 【Photographer/Shoko Tsujimoto】

トレーニングマッチの前には猛暑の中、日本代表の活動拠点である「J-SOCIETY FOOTBALL PARK 多摩」のある東京・多摩市の阿部裕行市長が、ソサイチ日本代表を激励するために急遽駆けつけてくださいました。

「多摩は今、ソサイチの聖地となっています。今日は『世界大会に臨むソサイチ日本代表をぜひ応援したい』と、駆けつけました。日本代表として日頃の成果を発揮し、華々しく活躍してほしいと思います」と心強いメッセージをいただき、記念撮影を行いました。

国内最後のトレーニングマッチは本番を想定! 外国人選抜チームとの対戦で完成度を高める

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

大会前最後のトレーニングマッチでは、世界大会を想定し、ソサイチ関東リーグやソサイチ東海リーグの南米出身選手を中心とした外国人選抜チームと対戦。25分×3本の変則マッチに挑みます。キックオフを前に、徳永健介アシスタントコーチからは「(山田)樹が出場できないのは大きいが、ディフェンスを補う形でトレーニングマッチを行う。FPは2つ、3つのポジションをこなすことを前提に選出しているので、可変する戦術に対応してほしい」と戦術についての話があり、立ち上がりは基本の2-3-1のフォーメーションで前プレをかけることや10分経過時のスコアに応じて戦術を切り替えることが説明されました。

日本ボールでキックオフを迎えると、積極的に攻撃を仕掛ける日本はハーフウェイラインの手前から船木良太選手がファーストシュートを放ちます。その後も自陣からビルドアップし相手ゴールに迫ると、大熊竜生選手が先制点をマーク。さらに追加召集を受けこのトレーニングから合流した岸正寿選手が追加点を挙げ、リードを広げます。10分が経過し給水タイムとなると、当初の予定どおりフォーメーションを変え、残りの15分を戦いました。終盤にはゴールクリアランスから船木選手が追加点。1本目を3-0で終えました。

2本目では、初選出で副キャプテンに任命された加部未蘭選手がベンチから「メキシコはもっときついぞ!」とピッチの選手を鼓舞すると、その加部選手が交代でピッチに立ち、こぼれ球に合わせて追加点を挙げます。さらに圓乘健介選手のアシストから加部選手が連続得点。しかし、終盤には自陣右サイドで相手にボールを奪われると、独走を許してシュートを突き刺され、2本目を5-1で終えました。

2本目終了後、監督からは「リードをしていると『失点しても負けないだろう』という考えからゴールを取り行きたくなる。本番ではその1失点が響き、得失点差で上に上がれない可能性もある。ひとつの失点の重みをもっと感じてほしい」「指示は外に聞くのではなく、ピッチに出ている選手同士で連携を取ることを意識してほしい」と改善点が伝えられました。

3本目ではコンスタントに得点を重ね、圓乘選手が2得点、加部選手、大熊選手がそれぞれ1得点を挙げると、終了間際に中川貴晴選手が10点目をマークし試合終了。10-1と大勝し、世界大会前最後のトレーニングマッチを終えました。

試合後、山田樹キャプテンから「国内での代表活動はこれで終わりなので、本大会までの2週間がとても大事。日本が一番強いということを証明するために、いい試合をしましょう」とメッセージがあり、活動を締めくくりました。

コスタ・ケラー監督「世界一を取れるように全力で戦いたい」

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

―アジア制覇を達成し、新しい日本代表の活動が始まりました。3回の国内活動を終えての総括をお願いします。

アジアでは非常に大きな経験を得ました。僕はアジア大会の前に初めてチームを作りましたが、2017年には僕たちの先輩が日本代表を作り、そのときの選手も数名います。やはりアジアチャンピオンになって、みんなに意識をしてほしいのはそこで満足をしないように。世界を狙うのだから「これでいいだろう」ではなく、自分たちが限界だと思ったところの上を狙う。3回の代表活動ではすごく色々なことを試して勉強にはなりましたが、正直に言うともう少し練習の時間がほしかったと思っています。ただ、あと2週間でメキシコに行くことになっているので、あとは一人ひとりを選んだ理由に任せます。スタッフも一緒に、世界大会を全力で戦いたいと思います。

―アジア制覇を経験した選手、今回選出された選手、さらに追加で招集を受けた選手と様々な立場の選手が集まりましたが、チームのまとまりや雰囲気はいかがですか?

すごくいいです。思ったよりも(笑)。みんなそれぞれのチームでプレーしていますが、やはり代表選手になると外から見られる部分も多くなります。いい見本になり、いいイメージを作り、そのイメージを守るため、という思いが強いです。それを選手たちがすごく理解していて、新しい選手も前からいる選手もチームの力になるためにチームをビルドアップしてくれています。

―国内最後のトレーニングマッチでは10-1という結果でした。スコアだけでなく、事前ミーティングで話していた「2-3-1で前プレをかけ、序盤で点を取る」という目標も達成できました。トレーニングマッチを振り返って感想をお願いします。

今日は新しいフォーメーションも試しました。ただ、相手によって戦い方は変わらないといけないので、最初に試したことがうまくいったことで雰囲気も見ながら判断をしました。それが10得点に繋がったと思います。今日の新しいパターンでは(ベーシックな)2-3-1以外、3-1-2で後ろを固め、前でのプレッシャーのかけ方を試したかったので、そういったところに集中しながらトレーニングをしました。

―では、今日の結果には満足していますか?

うーん、もうちょっといけたかな(笑)。でも、この厳しい暑さもあったので、もう少し涼しければもっと点が取れたと思います。前回の活動の悔しさも少し残っています。午前中に練習をして、フィジカルの疲れがあった中で、日本代表として初めてトレーニングマッチで負けました。トレーニングマッチではありますが、その痛みがまだ少し残っています。今日も相手チームに交代できる選手がもう少し多ければ違ったかもしれません。相手チームにはトレーニングマッチに来ていただいて尊敬もしていますが、日本代表としてはもうちょっと点を見たかったかな、と思います。

―冒頭のミーティングでも「メキシコで目指すことはひとつ」という話をされていました。長時間の移動や気候、選手のコンディションなどいろいろなことがあると思いますが、そういったことを乗り越えて世界一を目指す意気込みを教えてください。

世界一を目指すにはやっぱり気持ちから。生活だけじゃなく、うまさやテクニカルだけじゃなく、すべてを含めたものにプラスして「あなたはそれ(結果)をどれだけほしい?」と。僕もそうだったけど、南米の選手たちは子どものときから、分かりやすい例えをすると「ボール=食べ物」(という価値観でいる)。生きたければボールをもらわないといけない。その試合に勝たないと生きられない。その気持ちを日本人に分かってもらうために、僕は言葉だけじゃなく気持ちを出しながら活動しています。選手たちは(アジア大会で)フィリピンに行く前から、そういったことを理解をしてくれて、苦しみながら全部をグラウンドに残しました。だから、優勝したときに涙を流したと思います。だからこそ今回もそれで満足しないように、世界一を取れるように、全力でいきたいと思います。絶対に優勝します。

関根友弥選手「スタッフの支えを胸に、ピッチでしっかり表現したい」

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

―まずは、3回の国内活動を終えての感想をお願いします。

強度の高いトレーニングやトレーニングマッチができて、すごく有意義な時間になりました。

ーアジアチャンピオンを経験し、新たに日本代表が生まれ変わりました。経験のある選手、新たに選出された選手とさまざまな選手がいますが、チームのまとまりはいかがですか?

新しく入った選手も1回目の練習からしっかりとチームになじんでいました。その中でそれぞれの選手が自分の色を出して、またパワーアップしたと感じています。

ー関根選手ご自身は所属チームのLAZO.FCで全国大会を優勝し、アジアチャンピオンも経験しました。次に目指すのは世界一のみだと思いますが、ここまでのソサイチのキャリアの中で、現在はどのような選手生活を送っていますか?

これまで諦めずに続けた結果が、やっとここ最近、運よく出ていると感じています。この勢いをしっかりメキシコに持っていき、世界を取りたいと思います。まだまだ続けたいという気持ちでいますが、年齢的にもここがピークだと思うので、しっかりとそこも考えながらここで結果を出し、今年一年を締めくくれるようにがんばりたいと思います。

ーキャプテンの山田樹選手は残念ながら負傷でピッチに立つことはできませんが、ベンチから選手たちに声をかけ続けてくれています。関根選手は副キャプテンとして、どのように選手たちをまとめてあげていきたいと考えていますか?

樹さんの存在は自分の中でもすごく大きくて、同じディフェンスのポジションとして組んでいる仲間でもあり、キャプテン・副キャプテンの関係としても負傷はすごくショックでした。その代わりをするのはおこがましいし、違う役割だと思っていますが、新しいメンバーも増えたので、しっかりとコミュニケーションを取ることは同じ関東リーグで戦っている自分にできることだと思っています。そのつなぎ役もそうですし、アジア大会の雰囲気などもしっかりと伝えながら、ピッチ内ではゲームキャプテンとしてがんばっていきたいと思っています。

ー9月7日には世界大会が始まります。長時間の移動や気候、選手のコンディションなどいろいろなことがあると思いますが、そういったことを乗り越えてチームとしてどのようなプレーを見せたいと思いますか?

移動時間やアウェイでの環境になることは今、既に分かっていることなので、コンディションの調整などは一人ひとりがしっかり準備をすることが重要だと思っています。何らかのアクシデントがあっても、選手はピッチでしっかり表現することが大切ですし、スタッフがどれだけ支えてくれているのかをしっかりと胸に置いてプレーしていきたいな、と思います。

ー最後に、いろいろな方のサポートを受けて臨む世界大会に向けて、世界一への思いをお願いします。

まず、サポート、ご支援をしていただいてるみなさん、本当にありがとうございます。9月7日にはメキシコで、ソサイチ日本代表としては初めての世界大会に臨みます。現地で応援していただけないことは残念ですが、日本での応援もすごくこちらに届いているので、引き続き応援をよろしくお願いします。

加部未蘭選手「結果で恩返しをできるように」

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

―ここまで3回の活動を終えての感想をお願いします。

僕自身はアジアの大会には参加できず、今回からの参戦となりました。チームへの合流が少し遅くなってしまった部分はありますが、日本代表としてこのチームで世界を目指す、世界を取りにいく、という思いで「自分がチームを引っ張っていく」という意識を持ちながら3回の練習を終えました。(山田)樹くんが怪我をしてしまい、悔しい思いを僕も持っています。その分、チームとして樹くんを含めた全員で世界を取りに行くという気持ちで、いい状態にあると思います。

―最後のトレーニングマッチでは10-1と、大差がつきました。加部選手は前でプレーをし、点を取るタイプの選手ですが、本大会では長時間の移動や気候、コンディション面であったり、相手も真剣に世界をとりにきたりと厳しい戦いになると思います。どのように大会に臨んでいきたいと考えていますか?

僕たちにとってはレギュレーションも含め、アウェイな環境になりえるということを視野に入れながらコンディショニングをしていく必要があります。そうなったときにもブレずに「日本代表は強い」ということを表現しなければいけないと思っています。難しい環境にはなると思いますが、精一杯がんばりたいです。

―日本代表は結果を求められることの多い立場ですが、ソサイチ日本代表のアジア大会での活躍はどう見ていましたか?また、今回セレクションを受けるにあたり、日本代表が素晴らしい成績を残したことは影響しましたか?

アジアチャンピオンを取った、取らないという結果に関係なく、僕は今回から日本代表に挑戦しようと決意をしました。世界大会には日本を代表して、アジアを代表して、「僕たちが日本で一番強いチームだ」という思いで臨むので、責任感のある戦いをしなくてはならないと思っています。アジアチャンピオンになったという結果も含めて、世界でも「日本が強い」ということを示せるようにがんばっていきたいと思います。

ー今回の日本代表には2017年から続けて選出されている選手や経験のある選手、新たに選出された選手とさまざまな選手がいますが、3回の活動を通してチームの雰囲気やまとまりはいかがですか?

いろいろな経験を持つ選手がいますが、関西リーグのプラムワンの選手以外は関東リーグでよく顔を合わせていて、都内で一緒にフットサルをするなどよく集まっているメンバーなので、いい状態で気を使わずにプレーをできていると思います。その中での自分のタスクは、もっとチームを引っ張っていくことだと思いますし、後から入ったことは関係なく、さらにいいチームに引き上げていきたいです。

ー最後に、いろいろな方のサポートを受けて世界大会に臨みます。ミーティングの冒頭にも監督から「メキシコで目指すゴールはひとつ」というメッセージがありました。世界一に向けての思いをお願いします。

みなさんの応援があっての日本代表、メキシコでの世界大会だと思っているので、結果で恩返しができるようにがんばってきます!

【Photographer/Shoko Tsujimoto】

文・取材=しょうこ

FOOTBALL 7 WORLD CHAMPIONSHIP 2023

日 程:9/7~10
開催地:Puebla Mexico
参加国:
グループA:メキシコ、コスタリカ、ウルグアイ、日本
グループB:イタリア、ペルー、アメリカ、アルゼンチン
グループC:ロシア、エルサルバドル、グアテマラ、フランス
グループD:ブラジル、コロンビア、チリ、カナダ

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著者プロフィール

南米ブラジル発祥のフットボール、7人制サッカー=ソサイチの普及を進める一般社団法人 日本ソサイチ連盟です。全国各地でソサイチ公式リーグを開催中。ソサイチリーグに関する情報(日程、結果、順位表、試合の速報)はもちろん、ソサイチ日本代表や各種インタビュー記事、各地でのソサイチイベントなど、ソサイチにまつわる様々な情報・コンテンツを発信、掲載していきます。

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