【柏レイソル】山田康太、新時代の司令塔へ「2023Reysol Report Vol.16」

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後半戦からトップ下のポジションで活躍を続ける山田康太 【©️J.LEAGUE】

 中断明け初戦の天皇杯4回戦、北海道コンサドーレ札幌戦以降、トップ下のポジションでスタメン出場を続ける山田康太は、細谷真大との連携で、前線からプレッシャーを繰り出すことにより、チームの守備のスイッチを入れる役割を担う。そればかりではなく、プレスバックなど献身的な守備を見せて相手の攻撃の芽を摘む場面も多い。

 ただ、山田の最大の魅力は攻撃面である。セレッソ大阪戦に続き、前節のヴィッセル神戸戦の先制点の起点となったのは山田のドリブルとパスだった。
 山田が、あの場面を振り返った。
「右のサチくん(戸嶋祥郎)からパスをもらったときに、山口蛍選手が近くにいたので、自分の感覚的には山口選手の前に入りながら、ドリブルしていくイメージを持っていました」
“ドリブル”という言葉を聞くと、ほとんどの人は、自分の前にいる相手選手を抜きにかかるというイメージを持つと思うが、山田は「抜きにいくというよりは、後ろにいる選手をプレッシャーに来させないドリブル」と自分のプレーを表現する。
「セレッソ戦でも後ろからのプレスバックを来させない感じでドリブルをしていきましたけど、ああいうのは昔からやっていた形で、ようやくその感覚が戻ってきました。後ろから相手のプレッシャーを来させないようにしながら、最終ラインに対して自分が圧力をかけていく。僕とサヴィオで相手のサイドバックにうまく向かっていけたので、イメージどおりでした」

C大阪戦、神戸戦と2試合連続の「セカンドアシスト」をマークした 【©️KASHIWA REYSOL】

 中断前のガンバ大阪戦では、細谷がトップ下のポジションに入った。細谷は得点を決めるだけではなく、トップ下として出場するのであれば、チャンスメークを向上すべきテーマに掲げ、ボックス付近での自身の判断や、ラストパスの精度を課題に挙げていた。だが細谷の強みは相手の守備陣の背後を突き、得点を決めることである。ヴィッセル戦の先制点は、細谷がボックス内で駆け引きをしながらサヴィオのパスを呼び込んだ。トップ下を本職とする山田がそのポジションに入ることで、細谷はFWとして得点という本来のタスクに集中ができた。
 山田は改めて自分自身のストロングポイントを語る。
「局面で相手の嫌がるプレーをやったり、しっかり相手の間に取って、自分にボールが入らなくても相手が気になるような立ち位置を取る。ボールが入った後には失わないで前に運んでチャンスメークすることが武器だと思ってやってきていました。それが、ここ数試合は安定して出せるようになったという感覚があります」

 セレッソ戦もヴィッセル戦も、追加点を奪えるビッグチャンスがあった。そのチャンスを仕留めておけば、2試合とも勝点3が手に入った可能性は高かった。守備面は安定し、先制点を取れるようになってきた。あとは2点目を奪い、より優位な状況で試合を進められるかが、この先は問われる。

【©️J.LEAGUE】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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