ー ベルギー2部リーグの新シーズン開幕に際して、KMSKデインズやベルギーリーグについて紹介する特別記事を連載形式でお届けします ー

近年多くの日本人選手が所属し注目のベルギーリーグ。今までに合計50選手近くがベルギーリーグでプレーしており、2023-24シーズンは欧州最多となる9クラブ合計16選手がベルギー1部リーグでプレーすることになっています。（2023年8月14日現在）

今季のベルギー1部は7月29日に5大リーグより一足先に開幕。2022年2月よりACA Football Partnersがオーナーを務めるKMSKデインズが所属するベルギー2部リーグ（チャレンジャープロリーグ）は8月12日に開幕しました。

前回は特別企画第1弾としてベルギーリーグの特徴などについてご紹介をしましたが、今回はACA Football Partnersがオーナーを務めるKMSKデインズの対戦相手となるベルギー2部所属の各チームについて、3回に分けてお届けします。（本記事の情報は全て2023年8月14日時点）

サッカー強豪国ベルギーの国内リーグということで、ここで活躍をした選手がベルギー1部や他のリーグへステップアップしていく可能性があります。過去に日本人選手が所属したチームや、デインズ現所属選手の古巣チームもあり、見どころ満載です！

・2022-23シーズン成績：2部4位
・2022-23シーズンデインズとの戦績：1勝1敗
・ホームスタジアム収容人数：9,653名
・チーム平均年齢：18.4歳
・外国籍選手：7名

トップチームのクルブ・ブルッヘはベルギーを代表する強豪クラブの一つで、国内リーグ18回の優勝はアンデルレヒトに次ぐ2番目。欧州カップ戦の決勝にも2回進出している他、UEFAチャンピオンズリーグ決勝に進出したことのあるベルギー国内唯一のクラブとなる。2015-16シーズンには日本のダイキン工業が胸スポンサーを務めていたこともある。2021-22シーズンは見事プレーオフを優勝し、連覇を達成した。現在の所属選手を見ても、ベルギー代表GKシモン・ミニョレ選手やデンマーク代表FWスコフ・オルセン選手を筆頭に代表選手がずらりと並ぶ。

主に20歳以下のクルブ・ブルッヘの下部組織出身メンバーが所属するクルブNXTには、ベルギーやデンマーク、ベネズエラなど世代別代表選手も数多く在籍。2022-23シーズンはレギュラーシーズンを上位で終えて昇格プレーオフに進出、最終的には4位と良い成績を残した。

2022年夏にアルビレックス新潟からクルブ・ブルッヘへの電撃移籍が話題となった本間至恩選手は、セカンドチームに当たるクルブNXTの一員として昨シーズン公式戦25試合に出場し5得点5アシストを記録。2022-23シーズン終盤のヘンク戦でベルギー1部リーグでのトップデビューを飾ると、プレーオフ最終節では0-1でリードを許す88分から途中出場すると、1ゴール1アシストでチームを逆転勝利に導く衝撃的な活躍を見せた。本間選手はクルブNXTの開幕戦に先発で出場すると、早速アシストを記録するなど今季も活躍が期待されている。

クラブの名前は世界的人気を誇るアメリカのプロレス団体「WWE」の下部組織「NXT」にちなんで付けられた。KMSKデインズ所属選手の中では、DFファンスターンキステ、FWラントショート、DFレモワン、MFユル・シュリベルスがクルブ・ブルッヘのユース出身。

ロイヤル・フランクス・ボワン
・2022-23シーズン成績：3部3位（昇格）
・2022-23シーズンデインズとの戦績：なし
・ホームスタジアム収容人数：8,500名
・チーム平均年齢：26.1歳
・外国籍選手：14名

近年、クラブの合併などのニュースが騒がれたが、2020年に新会長となって以降比較的安定したクラブ運営を行い、2022-23シーズンに3部で3位となり今季から2部で戦うこととなった。ベルギー南西部フランスとの国境にある街ブッスをホームタウンとする。

かつてRFCスランのSDやバースラント・ベフェレンの監督を務めたフランス人アーノルド・メルシアーを監督に迎えて3年目のシーズンとなる。注目選手はフランス1部クレルモン・フットからローン移籍で今季加入したGKディヨゴ選手とルクセンブルク代表FWアレッシオ・クルシ選手。KMSKデインズ所属選手の中では、GKウィリアム・デュトワが過去に所属した。

・2022-23シーズン成績：2部3位
・2022-23シーズンデインズとの戦績：デインズ2勝
・ホームスタジアム収容人数：12,771名
・チーム平均年齢：23.5歳
・外国籍選手：10名

ベルギーの主要都市アントワープ南部を本拠地とするベールスホットの前身となるヘルミナル・エケレンが設立されたのは1921年。エケレンの下部組織はヴィッセル神戸にも所属していた元ベルギー代表DFフェルマーレン氏を輩出している。

2013年に吸収合併を経て新生クラブとしてリスタートすると、2014年の5部リーグ優勝決定戦には12,000人がスタジアムに集まり、当時の地域リーグの最高観客数を更新した。当時既に1部リーグ並みの観客動員数となっていたため、本拠地を移転し、12,000人規模のスタジアムを所有することになった。その後も順調に昇格を繰り返し、2017-18シーズンに2部昇格、2020年からは2年間1部で戦った。

現ガンバ大阪所属の元日本代表鈴木武蔵選手が2020年から2年間所属（当時は1部）し、背番号10を着けてレギュラーとして活躍したクラブとして日本でも名前が広まった。鈴木選手はベールスホットに所属した2年間で通算53試合に出場し、7得点を上げた。

2022-23シーズンは1部からの降格チームとして1年での1部復帰を目指して中村敬斗選手が所属するオーストリア1部LASKの監督だったオーストリア人の青年監督アンドレス・ウィーランドを迎え一時は首位になるなど昇格争いに絡んだが最終的には3位でシーズンを終えたため、今季は再度1部復帰を目指した戦いとなる。

また、2018年2月にはイングランドのシェフィールド・ユナイテッドFCのオーナーであるサウジアラビアのアル・サウード王子がベルギーの建設会社DCAとともにベールスホットへ投資することを発表した。

オフシーズンにイタリアの強豪ユベントスからフランスU-20代表の有望DFをフリー移籍で獲得した他、ベルギー人エースFWバエテン選手は昨シーズンオランダのクラブからレンタル移籍で公式戦13得点の活躍を見せると、今季から完全移籍へ移行となった。KMSKデインズ所属選手の中では、守備の要DFプリチネンコが2016-2021年の5年間に渡って活躍した。

・2022-23シーズン成績：2部5位
・2022-23シーズンデインズとの戦績：1勝1敗
・ホームスタジアム収容人数：14,538名
・チーム平均年齢：25.3歳
・外国籍選手：3名

ベルギー北部リール市に本拠地を構える1943年設立のクラブ。川島永嗣選手が所属し、主将を務めたチームとして日本でも知られるリールセSKが2018年に破産、解散となった後、その後継のチームとして、リールセ・ケンペンゾーネンがリールセSKのスタジアム(14,538人収容)やユースチームを買収し、再スタート。そんな歴史からも、スタジアムにはリールセSKのミュージアムがある。

2020-21シーズンよりベルギー2部に所属し、昨シーズンはリーグ最小規模の予算ながら12チーム中5位と健闘を見せた。2022年6月にはスタジアムの拡張がリール市に承認され、2023年中の大きな改装が予定されている。

歴史的に地元選手を中心にクラブを作ることをベースにしており、2022-23シーズン終了時の所属選手は全てベルギー人選手。2022-23シーズンからデインズに加入したDFシューマンスが主力としてリーグベストイレブンに選ばれる活躍していた他、FWラントショートも過去に所属したことがある。

注目選手はベルギー1部での経験も豊富で、昨季もリーグ戦全32試合に出場し13ゴール2アシストの成績を残したキャプテンのMFヴァン・アッカー選手。

RFCリエージュ
・2022-23シーズン成績：3部2位（昇格）
・2022-23シーズンデインズとの戦績：なし
・ホームスタジアム収容人数：2,500名
・チーム平均年齢：25.4歳
・外国籍選手：3名

ベルギー第5の都市リエージュをホームタウンとし、過去には1896年の初代優勝など、国内リーグを5度制覇した経験もある古豪。1990年、欧州サッカー界の構造に大きな変化をもたらしたことでも世界的に有名なボスマン判決はRFCリエージュが契約満了後のジャン＝マルク・ボスマンの放出を拒否したことで生まれた。1995年の破産以降クラブは下位リーグでの戦いを強いられてきたが、昨年3部で2位となり、今季から2部へ昇格した。

監督は現役時代に主に国内の名門クルブ・ブルッヘで長らくプレーをし、ベルギーU-15代表のアシスタントコーチも5年務めたガエタン・エングラバートが2年目となるシーズンに挑む。

これまで2回に渡ってベルギー2部チームを紹介してきましたが、いよいよ次回が2部チーム紹介の最終回。
日本代表選手所属チームも含む残り5チームを一挙ご紹介します。