【女子W杯】チャンスは準備された心に降り立つ。 ベンチワークが、なでしこジャパン世界一への鍵を握る

FIFA+
チーム・協会

2023女子ワールドカップの初戦ザンビア戦、なでしこジャパンは5得点と勝利した。そのピッチの側でチームを支える選手たちの姿に勝利の法則を見た

【@FIFA+】

 7月20日から行われている、FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023。日本はザンビアを相手に、5-0の圧勝で初戦を制した。

 この勢いのまま勝利を重ねていきたいなでしこジャパン。長期間のワールドカップを闘い抜くには総力戦が必須となる。控え選手の在り方が、今後の結果を左右するといっても過言ではない。

 ザンビア戦、途中出場の選手たちは、それぞれの持ち味を発揮。後半は、先発出場の選手たちが作った攻撃の流れを加速させ、前半を大きく上回る4得点の結果につなげた。66分に出場した植木理子も、積極的な仕掛けからPKを獲得すると、ワールドカップ初得点を飾っている。

 また試合後には、控えの選手たちが、ピッチで闘った選手たちを思い思いに称えた。ベンチの選手の中には真っ先に嬉し泣きをする選手もいるなど、自分の出場有無にかかわらず、結果を自分事として捉えている様子がうかがえた。

 そんな中、初戦で特に目を引いたのは、GK平尾知佳のピッチ外での行動だ。

 前半21分、田中美南が最初にゴールネットを揺らしたが、VARによりオフサイドの判定に。会場が騒然とする中、タッチライン間際まで身を乗り出し、ピッチ向かって声を張り上げる数人の控えの選手たち。手をたたき、チームを鼓舞する選手の中に、平尾の姿があった。

 また、ゴールが入ったときは、誰よりも先に得点した選手を迎え、その喜びを共有する。左サイドから4得点目をあげた遠藤純も、2度目のキックでPKを決めた植木も、ベンチに駆け寄ると、一番に平尾に飛びついた。

 笑顔を絶やさず、チームの雰囲気づくりに徹する平尾。日本代表がニュージーランドへ飛び立つ前に行われたなでしこジャパン壮行会で、好きな言葉を問われた際、平尾はこのように答えている。

 「チャンスは準備された心に降り立つ、という言葉が好きです」
 2011年のドイツ大会で、なでしこジャパンが世界一に輝いた。準決勝のスウェーデン戦で2得点をあげチームの決勝進出に貢献したのが、川澄奈穂美。決勝でも先発出場を果たし、日本の優勝の立役者の一人となった。

 しかし川澄は、その大会での出番は決して多くなく、準々決勝のドイツ戦には出場もしていない。それでも川澄は準備を続け、大事な場面で結果を残すことができたのは、常に練習からチームのために行動するGK、福元美穂の姿を見ていたからだという。

 「大会中はなかなか出場できなかったけれど、福ちゃん(福元)の背中を見て、腐っちゃいけないと思っていました。このチームのために何かしたいと常に思っていて。その役に立ちたいという思いが、出場したときの活躍につながるのだと思います」

 試合に出ている選手だけが、ワールドカップを闘っているわけではない。ベンチワークが良いチームこそ、最後の最後で勝ち切ることができることを、なでしこジャパンは一度証明してみせている。

 今大会も、チームへ貢献し続ける選手たちが試合に出場したとき、必ず川澄のようにチームを勝利に導いてくれるのだろう。

 12年ぶりの世界一に向けて、準備されたなでしこたちの心に、チャンスは降り立つはずだ。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

FIFAが世界中のファン向けに、無料のサッカー総合エンターテイメント「FIFA+」のサービスを開始。FIFA+では、世界中の国内リーグのライブ中継、マッチスタッツ、国際サッカー界の最高峰のアーカイブ、プレミアムオリジナルコンテンツ、没入型グローバルストーリーテリングなど豊富なコンテンツが利用できます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント