川崎からベトナムに“輸出”される「ホームタウン活動」
【©KAWASAKI FRONTALE】
川崎フロンターレとベトナムの結びつきは強い。
最初のきっかけは日越外交関係樹立40周年となった2013年で、トップチームの国際親善試合を行った。その後、アンダー世代の国際サッカー大会や現地でのサッカースクール開校などの事業をベトナムで展開。現在では1週間で延べ200名以上の生徒がサッカースクールで汗を流している。
2021年からはJICAと連携し、Jリーグとともにスポーツを通じた開発途上国の課題解決を目指した事業を実施している。昨年11月にはトップチームがベトナムを訪れ、親善試合や児童養護施設の訪問なども行った。
昨年11月、ベトナムスクールの子どもたちとサッカーをする遠野大弥選手 【©KAWASAKI FRONTALE】
JICAの橘秀治青年海外協力隊事務局長によれば、「特にビンズオン省では、急速な経済発展により子どもの肥満や成人の運動不足というような健康に関する問題が顕在化してきている」とのことで、ベトナム南部のビンズオン省等で性別や年齢を問わず一般市民を対象に、パイロット版の健康増進プログラムを3回実施。
運動不足解消、介護予防を目的とした健康増進プログラムを提供し、延べ420人が参加した。参加者からは「運動の頻度を高めていきたい」、「正しい運動の仕方を学びたい」との声が寄せられ、参加者の半数以上から「有料でもこのプログラムを受けたい」との声があるなど好評を博したようだ。
6月のイベントではフロンタウンさぎぬまでも実施しているポールウォーキング教室をベトナムで実施 【©JICA】
海外での事業化にノウハウのあるJICAと連携しているのも特徴だろう。
JICA橘事務局長は「我々が感じたことは、スポーツの力。いろんなところで今、スポーツというのは、民族を超えたり、あるいは国籍を超えたりして、人々を一緒にしていく力がある」と話す。
そして、今回の連携の背景として、「JICAの中で新規事業アイデアのコンテストを数年前から始め、このアイデア募集の中で、JICAの若手職員が、Jリーグさんとの共同事業『SDGs及び社会課題に挑むスクール事業の海外展開―ボールでつなぐ、人、まち、信頼―』というアイデアを提案してくれました。これが2020年に採択され、21年度から調査を始めて今に至っています」と説明。
6月のイベントでは算数ドリル実践授業も実施した 【©JICA】
「ベトナムと川崎フロンターレさんだけに留まらず、他のクラブ、他の国といった事業展開も考えていきたい。フロンターレが川崎の街で欠かせない存在になっている中で、ベトナムあるいはアジアの中で欠かせない存在になっていけるように、活動展開を発展させていけたらと思っております」
富士通陸上部による走り方教室も行われた 【©JICA】
「フロンターレと同じような形で、その地域のインフラになるというところ。なくてはならない存在になるんだということで、ベトナムのサッカースクールをその意図で開校しましたし、そこを目指してやっていくという形になっています。根付いてやっていくんだというのが我々の今の方針です。ベトナムの方でも、日本と同じような形で活動をしていくという形で今は考えております」
2013年から始まった川崎フロンターレとベトナムの関係。日越外交関係樹立50周年を迎えた今年、新たな取り組みと今後の発展に注目していきたい。
(文・いしかわごう)
7月8日に開催された事業説明会 【©KAWASAKI FRONTALE】
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