パリ2024大会へ夢の力を信じて「オリンピックコンサート2023」開催

日本オリンピック委員会
チーム・協会

【「オリンピックコンサート2023」を開催(写真:フォート・キシモト)】

 日本オリンピック委員会(JOC)は6月30日、東京芸術劇場コンサートホールで「オリンピックコンサート2023」を開催しました。

 「オリンピックコンサート」は、オリンピック映像とオーケストラ演奏を融合させ、スポーツファンのみならず、普段スポーツやオリンピックに親しみのない方にもオリンピックの価値や素晴らしさを実感してもらうことを目的に、JOCが1997年より毎年開催しています。

 パリ2024大会まであと1年となった今回は、「夢の力を信じて。」 をテーマに、指揮は中田延亮さん、演奏はTHE ORCHESTRA JAPANが担当。ナビゲーターは、オリンピアンで俳優の藤本隆宏さん(水泳/競泳、ソウル1988オリンピック、バルセロナ1992オリンピック出場)が12年連続で務めました。

また、これまでのオリンピックや昨シーズンのスポーツシーンで目覚ましい活躍を遂げたアスリートらが参加し、今後の目標や夢を語りました。同時に「令和4年度 JOCスポーツ賞」の表彰も行われ、受賞アスリートらの栄誉を称えました。

【第1部】

 コンサートは東京2020大会の表彰式のために作曲された佐藤直紀作曲『TOKYO2020 VICTORY CEREMONY』で第1部が開幕。アスリートを称えるメロディーに乗せて、「令和4年度 JOCスポーツ賞」受賞アスリートらが入場し、盛大な拍手で迎えられました。

 2曲目は、チェコの国民的作曲家ベドルジハ・スメタナの代表作である連作交響詩「我が祖国」より『モルダウ』。スメタナの故郷ボヘミアを流れる川のうねりや煌めき、雄大さがドラマティックに表現され、スクリーンではアテネ1896大会から東京2020大会までの夏季オリンピックの軌跡が映し出されました。

 3曲目は現代イギリスを代表する作曲家のひとりウィリアム・ウォルトン作の『スピットファイア 前奏曲とフーガ』が演奏されました。気品にあふれ、美しく壮大な曲に乗せ、スクリーンではシャモニー・モンブラン1924冬季大会から、昨年の北京2022冬季大会までの冬季オリンピックを振り返りました。

 第1部のラストである4曲目は、スメタナの『歌劇「売られた花嫁」序曲』。華やかで疾走感あふれる曲に合わせ、一番記憶に新しいオリンピック、北京2022冬季大会でのTEAM JAPANの勇姿が映し出されました。

【第2部】

 第2部は「令和4年度 JOCスポーツ賞」表彰で幕を開け、受賞したアスリートらが登壇。山下泰裕JOC会長より各賞の授与が行われました。また、続いて行われたアスリートトークコーナーでは、登壇したアスリートらが受賞の喜びや今後の目標などを語りました。
■橋本大輝(体操/体操競技)最優秀賞
「昨年に引き続き素晴らしい演奏を聴くことができ、また素晴らしい賞を受賞することができて、大変嬉しく思っています。東京2020大会を終え1年経った年だったので、自分自身、シーズン最初の方はうまくいかないことも多く、つらいこともありました。そこからうまく立て直して、最後は世界選手権で個人総合金メダルを獲得することができたのは、いろいろな人の支えがあったからだと思っています。来年、パリ2024大会がありますが、年内には世界選手権も控えています。私は、多くの人を魅了する、もしくは感動であったり、何か一つ心を動かせる東京2020大会を超えた演技を目指していきたいと思います。それに向けて私だけではなく、他の体操選手やスポーツ選手が来年やその先に向けて準備していると思いますので、応援よろしくお願いします」

【写真:フォート・キシモト】

■宇野昌磨(スケート/フィギュアスケート)特別栄誉賞
「昨シーズンは結果として、本当に素晴らしいシーズンでした。モチベーションが下がることなく1年を送れたかなと思います。自分のやりたいことが成し遂げられたからこそ、また新たな自分を見つけ出し、新たな成長に向けてこれからも頑張っていきたいと思います。今後は、結果を目指したスケートではなく、小さい頃から思い描いていた憧れのスケートをどのように表現していけるのか、頑張っていきたいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■坂本花織(スケート/フィギュアスケート)特別栄誉賞
「昨シーズンはオリンピックでメダルをとって、世界選手権で初めて金メダルをとった次のシーズンだったので、どうしてもモチベーションが下がってしまい、思うようにいかない試合がたくさんありました。何とかシーズンの真ん中あたりで気持ちを取り戻し、最後の世界選手権では金メダルを獲得でき、2連覇することができました。最終的に結果は良かったのですが、シーズンを通してとなると悔いの残るシーズンでしたので、来シーズンはスタートダッシュから良いシーズンにしたいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■山口茜(バドミントン)優秀賞
「昨年は自分が想像していた以上の結果がたくさん出て、とても良い1年でした。オリンピックは自分の持っている以上の力が出せたり、逆に出せなかったりして、たくさんのことを経験させてもらって、学びがあった場だなと思いました。今後も良いプレーができるように、パリまで成長していけるよう、一つひとつ頑張っていきたいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■江村美咲(フェンシング)優秀賞
「世界選手権には2014年から出場させていただいているのですが、なかなか勝ちきれない時期が続いて、今年になって少しずつ安定して結果を残せるようになってきたので、一つ殻を破れた年になったと思います。7月に世界選手権が控えているので、そこで2連覇を目指してしっかり戦い切って、最終的にはオリンピックでも金メダルがとれたら良いなと思いますので、応援よろしくお願いいたします」

【写真:フォート・キシモト】

■長谷川帝勝(スキー/スノーボード)新人賞
「今シーズンはワールドカップで2回勝てて、世界選手権も初めて出たのですが、落ち着いてできて、勝ち方と自分の気持ちの抑え方がすごく安定した年だったと感じました。今はまだこの競技の認知度が低くても、自分が先陣を切って良い滑りをしてかっこいいと思ってもらえるように頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします」

【写真:フォート・キシモト】

■馬場咲希(ゴルフ)新人賞
「私は将来、アメリカで戦いたいと思っています。去年は全米女子アマや全米女子オープン、全米女子ジュニアと、いろいろな海外の試合に出場することができて、自分の目標に近づいた年となりました。今後の目標は、まず全米女子オープンに向けてアメリカへ、このコンサートの翌日に出発しますが、そこで良い結果を出したいという気持ちと、あと全米女子オープン含めて海外メジャー大会が3試合残っているので、良い結果を残したいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■三木つばき(スキー/スノーボード)特別功労賞
「世界選手権までのワールドカップは全戦全敗という個人的には全滅というような結果でしたが、それから世界選手権の前に練習を一度立て直して、積み重ねていって、それで獲得できた金メダルだったので、私としてはすごく感慨深い気持ちでした。なかなか日本ではこの競技をテレビ放映していただけることが少ないのですが、世界選手権は放映をしていただきまして、日本で応援してくださった皆さんの前で金メダルをとれてすごくよかったです。3年後のミラノ・コルティナ2026冬季大会では優勝を目標としています。これからも勝ちを重ねていって、安定した結果が出るように頑張っていきたいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■栗山英樹(野球・ワールドベースボールクラシック日本代表チーム前監督)特別貢献賞
「今回のワールドベースボールクラシック(WBC)では、オリンピックの皆さんやサッカーワールドカップの皆さん全てが日の丸で繋がって、その力をいただいたと感じていたので、本当に感動しました。これだけ世界で活躍している若い人たちにお会いできて、結構感動しています。今日皆さんのお話を伺って、これだけトップレベルで戦っているとプレッシャーがあるだろうなと思っていたのですが、やっぱりそれぞれ自分の競技を楽しんでいる印象を受けました。今回の侍ジャパンも日の丸のプレッシャーというよりも、『いい野球をするんだ』という選手の思いが伝わってきましたし、世代も変わってきたなと思いました。これからは野球だけでなく、全てのスポーツが手を繋ぐときだと思っています。今回WBCで一緒に選手と戦って、本当に一流の選手たちが本当に必死な姿を見せるのは、すごく多くの人を元気にできるというのを改めて感じました。野球でもどんな競技でも若い人たちが本当に人生や命をかけてスポーツをしてくれているので、その姿を我々もしっかりと感じてしっかりと伝えて、日本が元気になれるよう、私も力になりたいです。皆さんも頑張ってください」

【写真:フォート・キシモト】

■山下良美(サッカー・2022FIFAワールドカップ審判員)女性スポーツ賞
「2022FIFAワールドカップのフィールドに女性である私が立てるとは、そんな夢を追えるとは、そんな可能性があるとは本当に思っていなかったので、そこから見た景色というのは本当に素晴らしいものでした。本当にスポーツの力というのを感じました。東京2020大会では審判員として参加したのですが、そのときのドキドキ、ワクワク、緊張だったり、選手の情熱だったり、そういうものが再度呼び起こされて、やっぱりスポーツって素晴らしいな、スポーツって人の心を動かせるものなのだなと改めて感じました。スポーツで女性が活躍できる場所は、まだまだ可能性があると思います。私自身は今いただいている機会を継続できるように、目の前の一試合一試合を全力で取り組むことが、そこに繋がっていくと信じていますので、これからも頑張っていきたいと思います」

【写真:フォート・キシモト】

■渡部暁斗(スキー/ノルディック複合)
「ここまで長く競技を続けられたモチベーション、原動力となったのは、好奇心や探究心だと思います。人体はなぜここまで成長できるのか。また、競技技術力や戦術だとか、本当にいろいろなことに興味を持ち続けられたことだと思います。若い選手たちには、本当にパワーをもらえますね。やっぱり若い選手たちの勢いというものをオーケストラの演奏と一緒に映像で観ると、本当に自分の心が動かされて頑張ろうと思いますので、本日はありがとうございますと言いたいです。今、子育てに積極的に参加するようにしていたり、環境問題にも取り組むようにしています。競技者として結果を出すこと以外のことを少しずつ始めていて、本当に自分の無力さをたくさん感じますが、そういう取り組みを通じて人間としても一回り大きく成長したいと思います。ミラノ・コルティナ2026冬季大会は、私が初めてワールドカップで優勝した会場で行われます。そこでもう一度、一番高いところに立って、競技を締めくくりたいというのが私の目標です」

【写真:アフロスポーツ】

■水田光夏(射撃/パラスポーツ)
「私はパラリンピアンの田口亜希さんのお話を聞いて、射撃という競技の存在を知りました。実際、射撃という競技はみなさんもあまり見る機会がないかと思いますが、私も実際に見ることなく競技を始めました。射撃は身体の力をできるだけ抜いてリラックスした状態で、銃を持って構えて、的に向けて撃っていく競技です。自分自身の身体の状態に意識を向けて練習するのですが、日常生活ではあまり感じることのない、自分自身と向き合うような感覚が射撃の面白いところだと感じています。東京2020大会では、とにかく楽しむということを目標にやっていました。自分自身の持てるパフォーマンスが発揮できず、少し悔しい気持ちもありましたが、選手村だとか、普段できない経験は楽しかったです。今後の目標は、今年の世界選手権や国際大会で、自分のパフォーマンスをしっかりと発揮できることなので、引き続き練習を続けていきたいと思います。応援よろしくお願いいたします」

【写真:アフロスポーツ】

フィナーレへ

 トークコーナーが終わり、5曲目、6曲目に選ばれたのは、2曲続けてポップスの名曲。まずは、映画音楽の名匠として知られるスコットランド出身の作曲家、パトリック・ドイルによるディズニー映画「シンデレラ」より『Courage & Kindness』。続いて、ゆず・北川悠仁作曲の『栄光の架橋』オーケストラバージョンが演奏され、長く人々の心に刻まれたメロディーが会場を大きく盛り上げました。スクリーンでは、コロナ禍により異例ずくめの開催となった東京2020大会で活躍したTEAM JAPANと、それを支えた人々の姿を振り返りました。

 7曲目は、スメタナと並ぶチェコのもう一人の国民楽派、アントニン・ドヴォルザーク作曲『交響曲第9番「新世界より」第4楽章』が奏でられ、来年に迫ったパリ2024大会、そしてその先の未来を見つめ、挑戦を続けるアスリートたちが映し出されました。

 最後の8曲目は、オリンピックの精神と理念を高らかに歌ったスピロ・サマラ作曲『オリンピック讃歌』。東京2020大会の開会式、閉会式でも歌われたこの曲を、日本のオペラ界第一線で活躍を続ける8人の実力派シンガーたちが歌い上げ、華やかにフィナーレを迎えました。

 鳴り止まない拍手の中、アンコールで演奏されたのは『栄光の架橋』ボーカルバージョン。再び8人のシンガーたちが美しいアンサンブルを聴かせてくれました。そして、最後に会場からは今回参加したアスリートたちに盛大な拍手が送られ、約2時間半に渡るコンサートは盛況のうちに幕を閉じました。

令和4年度 JOCスポーツ賞表彰式 【写真:アフロスポーツ】

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著者プロフィール

日本オリンピック委員会(JOC)は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」を長期ビジョンとして掲げ、オリンピックの理念に則り、スポーツ等を通じ世界の平和の維持と国際的友好親善、調和のとれた人間性の育成に寄与することを目的に活動しております。 JOC公式ウェブサイトでは、各種事業の活動内容をはじめ、オリンピック日本代表選手団や、世界で日本の代表として戦う選手やそのチームで構成されるTEAM JAPANに関する最新ニュースや話題をお届けします。

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