幻のノーヒットノーランに「マダックス」の達成も。金子千尋の功績を映像で振り返る

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金子千尋氏 【(C)PLM】

オリックスの大エースとして、幾度となく驚異的なピッチングを見せた

「HOKKAIDO 20th MEMORIAL SERIES」期間中の7月1日(土)に、北海道日本ハム対オリックス戦に、金子千尋氏と糸井嘉男氏が登場する。 オリックスと北海道日本ハム、2球団の歴史を彩ってきた2人がエスコンフィールドで対決することとなる。

 その金子千尋氏は、現役時代に沢村賞をはじめとする数々のタイトルを受賞。押しも押されもせぬオリックスの大エースとして、幾度となく圧巻の投球を披露した。

 今回は、金子投手の球歴に加えて、その投球によって生み出された数々の名場面を、パーソル パ・リーグTVの映像とともに紹介。七色の変化球と抜群の制球力を武器に卓越したピッチングを披露した金子投手の活躍を、当時の映像を交えながら振り返っていきたい。

金子千尋投手 年度別成績 【(C)PLM】

2008年からの7年間で6度の2桁勝利を記録し、球界屈指の好投手として活躍

 金子千尋投手は長野商業高校、トヨタ自動車を経て、2004年のドラフト自由枠でオリックスに入団。プロ入り当初は故障に苦しめられたが、3年目の2007年途中から先発に定着する。翌2008年には自身初の開幕投手を務めて10勝を挙げ、そこから4年連続で2桁勝利を記録。2010年には最多勝のタイトルにも輝き、エースの座を確固たるものとした。

 2013年には沢村賞の選考項目7つを全て満たすという快挙を達成したが、同年に田中将大投手が24勝0敗を記録した巡り合わせもあり受賞はならず。しかし、翌2014年にも再び圧倒的な投球を披露し、最多勝、最優秀防御率、リーグMVPを獲得。前年は惜しくも逃した沢村賞にも、満を持して選出を果たしている。

 2015年からはケガもあって2年連続で7勝に終わったが、2017年は12勝を挙げて復調を示した。しかし、2018年は再び故障に見舞われて4勝を挙げるにとどまり、同年オフには14年間在籍したオリックスを離れ、北海道日本ハムに新天地を求めた。

 北の大地で迎えた2019年は先発と中継ぎを兼任するフル回転の活躍を見せ、8勝を挙げて防御率3.04と幅広い起用に応えて好投。同年4月18日に古巣のオリックスから白星を挙げたことにより、史上18人目となる全12球団からの勝利という快挙も達成した。

 移籍1年目から大いに存在感を発揮した金子投手だが、2020年以降は調子を取り戻すことができず、登板機会も減少。2022年は二軍で14試合に登板して7勝3敗、防御率2.49と好投したものの、一軍での登板はわずか3試合にとどまっていた。

 ここからは、2017年以降の実際の映像をもとに、金子投手の活躍を振り返っていきたい。

2安打無四球、わずか92球で完封の“マダックス”達成(2017年4月17日)

《THE FEATURE PLAYER》 Bs金子千尋 92球2安打無四球で完封!! 全27アウトまとめ

 100球未満で完封勝利を記録することを、MLBの大投手になぞらえて「マダックス」と呼ぶ。この日の金子投手は多彩な球種をゾーン内で巧みに操り、この年優勝したホークス打線を手玉に取る。2安打無四球、わずか92球で完封勝利を記録し、希少な記録である「マダックス」を見事に成し遂げた。

史上18人目となる全12球団勝利を達成(2019年4月18日)

2019年4月18日 オリックス対北海道日本ハム 試合ダイジェスト

 オリックス時代に11球団から勝利を挙げていた金子投手は、移籍後に古巣から白星を記録すれば全12球団勝利を達成できる状況だった。移籍後初登板でそのオリックス相手に5回を2失点にまとめながら勝ち星は逃したが、2度目の対戦となったこの試合でも5回無失点と好投。かつての本拠地・神戸の地で、史上18人目の12球団勝利を達成した。

古巣相手に現役最後の白星(2022年5月11日)

【多彩な変化球】金子千尋『5回1失点で古巣から2年ぶり勝利』

 シーズン2度目の先発となったこの試合で、金子投手は序盤から5点の援護を受ける。そして、金子投手は自らの現役生活を支えてきた多彩な変化球を駆使し、打たせて取るピッチングを展開。この年リーグ連覇を果たす古巣を相手に5回1失点と好投し、現役最後となる130個目の白星をマークした。

傑出した投球を見せた全盛期の輝きは、今もなお色褪せることがない

 金子投手は2008年から2014年までの7シーズンで6度の2桁勝利を挙げ、球界を代表する先発投手として活躍した。2度の最多勝に加えて、最優秀防御率、最多奪三振、リーグMVP、沢村賞という華々しいタイトル獲得歴が、その傑出度を物語ってもいるだろう。

 山本由伸投手が台頭する前のオリックスにおける大エースとして一時代を築き、苦しい時期のチームを支えた金子投手。チームが優勝を争う原動力にもなった2014年の圧倒的なピッチングをはじめとする、まばゆいばかりの輝きを放った全盛期の投球は、今後も決して色褪せることなく、ファンの心の中に残り続けるはずだ。

文・望月遼太
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