新しくなった「モバフロ」。アプリ開発秘話と今後の展望を担当者に聞いてみた。

川崎フロンターレ
チーム・協会

新しくなった「モバフロ」のTOPページ 【©KAWASAKI FRONTALE】

2023年4月、クラブ公式アプリ「モバフロ」がリニューアルされた。新「モバフロ」は試合日程やチームのスケジュール、クラブからのお知らせやSNSの情報、さらにはオフィシャルWEBショップやチケフロが、アプリ一つで確認できるのが大きな特徴だ。今回のリニューアルに至った経緯やコンセプト、現状の課題と今後の展望について、営業部グッズ・地域パートナー・CRM担当マネージャーの小林幸太さんにお話を聞いた。

モバフロリニューアルを担当した小林幸太マネージャー 【©KAWASAKI FRONTALE】

―まずモバフロとしてアプリをリニューアルした経緯からお願いします。
「今のフロンターレに足りないところは何か、と考えたところから始まっています。我々のスタンスを見直した際に、ファン・サポーターの皆さんがフロンターレを好きでいてくれているから成り立っていると感じていたところがありました。そこにあぐらをかいていたつもりはないのですが、お客様ファーストのことができていないのではないか、と感じたのが大きいですね」

―もっとファン・サポーターのニーズに応えていきたい、と。
「はい。これまでも一部のニーズには応えられていたのかもしれません。しかし、我々がやらないといけないお客様サービスに時間を割けていなかったですし、そこのアクションもできていなかった。もっと知りたい、もっと足を運びたいと思いたくなるようなクラブになるためには、情報発信のコンテンツも時代環境に応じてブラッシュアップしていかないといけない。そのためには、まずコンテンツを集約させて一つのプラットフォームでお客様が情報を得ることができるような体制を作っていきたいと感じました」

―そこで新しいアプリの導入になったわけですね。
「インターネットだと誰が見たかはわからないのですが、アプリだとそのアクティブなところもダイレクトにわかります。それを機能的にやれるのが大きいですね」

日替わりでクラブハウスから写真を届ける「麻生の一枚」 【©KAWASAKI FRONTALE】

―リリースされたのは4月です。出来の感触としては?
「60点ぐらいですね」

―60点なんですか。
「目指すところである『もっとわかりやすい情報発信』というところにはまだまだ辿り着いていません。ただ最初から100点を目指すがあまり、作り込みに時間をかけてしまうと、お客様のニーズに即してないものができてしまうことがあるんです。まずはプラットフォームを一つにすること、購買行動の情報発信をわかりやすくする。そこに注力しました」

―情報発信を一つのプラットフォームに集約すると。
「これはフロンターレの良いところでもあるのですが、クラブとしていろんなことをやっています。ただいろんなことを提案するあまり、『どの情報の鮮度が高いのか』、『どの情報をまず届けるべきなのか』など、そこの優先順位がつけられていない印象があります。そこは、もう少し自分たちでも整理しないといけないと思ってます」

―最新の情報が網羅されているのは、使っていて便利だと感じます。
「アプリだからこそ、SNSであったり、チケットグッズの購入情報、新しいお知らせなど、アプリで全てが網羅されています。まだまだスタートラインですが」

―ファン・サポーターの反応はどうでしょうか。
「情報が一つになってよかったとの声をいただいてます。これまではツイッターを開いたり、ECサイトを開いたり、お知らせはホームページを開いたりしていたのが、アプリを開けばいいだけなのは楽になりましたと。もちろん、『画像を増やしてほしい』、『細か過ぎるので、拡大できるようにしてほしい』などの要望もたくさんいただいてます。最初の1ヶ月で多くの声を聞けたのはありがたかったです」

―現状のダウンロード登録者数というのは?
「まだ1万500人ほどです。現在、ファンクラブ後援会会員が約4万8千人いるのですが、その中のほとんどの方がまだダウンロードしていないことになります。我々の販促やアプローチがまだできておらず、後援会会員にリニューアルしたことが伝わり切れていません。そこは広報部とも課題を共有していて、ファン感や夏休みには実装してもらえるようにしていきたいと思っています」

―後援会会員であれば、もれなくダウンロードしていると思い込んでいました。
「アプリの会社からは『そんなに簡単じゃないですよ』と言われていました。他のクラブの事情を聞くと、1万人のダウンロードまで1ヶ月や2ヶ月かかることがほとんどのようです。ターゲットは3万人を考えていますが、ファン・サポーターの数が多くても簡単ではないと実感しています」

―意外と苦戦するものなんですね。
「うちのファン・サポーターはブラウザで情報を見ることに慣れているので、『今さらアプリ?』と思われているのかもしれません。旧モバフロが終了し、今回新しく始まってようやく同じ土俵に立ったのだと思います」

―後援会に入るよりもアプリをダウンロードする方がハードルは低いと思うのですが、そう簡単でもない。
「年齢層もあると思います。後援会会員は50代から60代の方々がメインになってきています。40代、30代、20代と年齢が下がっていくと、少なくなるんですね。例えば横浜F・マリノスさんは30代、20代が多いんです。そこはスタジアムのキャパシティの問題もあると思います。ウチはシーズンチケットがキャパの半分を占めていますし、固定化したお客さんが多くなってきています。クラブは27年目ですけど、新しいお客さんが入りやすいようなチャネルを作らないといけません」

―アプリ導入は20代や30代のファン・サポーターの獲得に力を入れたツールでもあると。
「そうですね。次の5年、次の10年を一緒に応援してくれるファン・サポーターを増やしていくツールでもあります。というのも、2030年の等々力陸上競技場の改築後、3万5千人を収容できるようになる予定です。今のままではスタジアムを満員にするのは難しいです」

―なるほど。
「もっと近い話で言えば、2年後に等々力で改築工事が始まった際、国立競技場を使うとなると、キャパが2倍以上になります。今の40代、50代を繋ぎ止めながら、新しいファン層を獲得していく必要があります。そこも含めて今から逆算してやらないと間に合わないなという危機感もあります」

アプリ内からオンラインでグッズ・チケット・マッチデープログラムの購入サイトにアクセス可能 【©KAWASAKI FRONTALE】

―新規ファンの増やしていく計画としては?
「約25万人登録しているJリーグIDのメールと連携させて、フロンターレ自体に興味がある方に向けてアプリを知ってもらうようにしています。後援会には入ってないけれど、アプリはダウンロードしている層もいますからね。ダウンロードしてくれたら、クーポンを発行したりして試合にも来てもらえるような仕組みに繋げていきたい。どうやってそこの層を一つずつ押し上げていけるのか。そこはとにかくトライアンドエラーです」

―アプリではお気に入りの選手を設定すると、待受画面にできますよね。今年の人気選手に傾向はあったりするんですか。
「これまでは余程の選手でなければ、新人選手の人気は出なかったんですよ。それこそ三笘薫とか。ただ4月と5月で言うと、高井幸大や名願斗哉が人気でした。高井幸大は試合に出ているというのもあるのですが、名願斗哉はそれほど試合に出ていない選手の中ではすごいです。プレーが三笘薫に似ているという期待もあると思いますが、積極的にSNSなどで広報した影響もあったかもしれません。若い女性を中心に、ユニフォームの枚数も新加入選手としてはたくさん売れています」

―やはり生え抜きが人気あるんですね。
「自分たちが育てていく感覚があるんだと思います。フロンターレのサポーターはユニフォームを2枚買う人が多いです。いわゆる『推しメン』を1人だけではなく、長く応援している選手と、もう1人若い選手を応援したりするみたいです。アプリではお気に入りの選手も随時変えられるのですが、『今月、この選手のお気に入りが多いな』と思うと、そのユニフォームが売れていたりするんですよ。お客さんの声や動きがダイレクトにわかりますし、それを機能的にやれるのがアプリの良さですね」

―課題としては?
「有料だと思われているところが多分にあります。有料コンテンツもありますが、無料でも活用できるアプリなんだよということをしっかりプロモーションしていき、ダウンロードしてもらいたいですね」

「お気に入り選手」を設定するとトップページに表示される 【©KAWASAKI FRONTALE】

―無料会員でもかなり網羅されてますが、その上で有料会員のメリットも。
「各種コンテンツだけではなく、コーチングスタッフやトップチームのブログも10種類以上用意していますし、そこに動画も紐づけています。選手が練習の後にどういう行動をしているのか。どういうご飯を食べているのか。そういったマニアックなところも含めて、普段は知られていない世界は有料コンテンツで掘り下げています。旧モバフロでもやってましたが、もっと深く知ってもらう。もっと興味を持ってもらう。それがさらに応援することにつながると思っています」

―有料会員の特典コンテンツに関しては、説明ページだけではなく、具体的なサンプル画像や動画があればイメージが湧きやすいように感じました。
「おっしゃる通りで、『何がお得なんだろう?』が伝わりにくく、もう一歩の深掘りに繋がらないのかなと感じています。そこは広報とCRM部門のせめぎ合いです(笑)。こちらとしては、まずアプリダウンロードしたら、こうなるんだよというのを見せたいし、なるべく文字をなくしたい思いはあります。ただ広報は文章を発信したいというのがあります。そこはファン感あたりから、うまく切り替えられればと思ってます」
 
―有料会員に向けた今後の展望などは?
「クラブハウスからの練習見学など、スペシャルなコンテンツを考えています。リアルな体験やプレゼント企画をやっていきたいですね」

―今後の展開にも期待しています。
「今のフロンターレの現状に誰も満足していません。まだまだ課題だらけでクラブスタッフも危機感を持ってやっています。アプリはその入り口になるものなので、もっと皆さんの声を頂けたらと思います。ニーズに応えられるようにしていきたいですし、ずっと応援してもらえるクラブになっていくように頑張ります」

(取材・構成:いしかわ ごう)

モバフロプレミアム(有料版)では毎日ブログ更新中!! 【©KAWASAKI FRONTALE】

新企画、続々と実施中!!

本日、6月26(フロ)日からクラブスタッフのベトナムみやげのプレゼント企画を実施中!
また、明日6月27日午前10時からは麻生グラウンドからの生配信「モバフロライブ」も実施予定。
ぜひ、まずは無料で新しくなった公式アプリ「モバフロ」のダウンロードを!!
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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