【ラグビー】春の陣、復活めざす日体大の収穫と課題とは

日本体育大学
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春の陣、復活めざす日体大ラグビーの収穫と課題とは

 ◆収穫は「フォワードのこだわり」

 雨のち晴レルヤである。再生をめざすラグビーの関東大学対抗戦Bリーグ(2部)の日体大が、同リーグ戦Aリーグ(1部)の大東大に19-63で大敗した。でも、持ち味は出した。ゲームキャプテンを務めた3年生SHの伏見永城は言った。透明のビニール傘の下で。
 「収穫は、フォワードのこだわりです」
 11日の日曜日。埼玉県東松山市岩殿の大東大ラグビーグラウンド。激しい雨が人工芝を濡らしていた。観客が200人(公式記録)。大東大のファンがメインだが、九州から日帰りで駆け付けた日体大選手の父親の姿もあった。
 日体大は、主将の伊藤拓哉ら約20人が教育実習で不在だった。メンバーが代わっていたこともあっただろう、組織ディフェンスがうまく機能しなかった。大東大のトンガ出身の強力な両センターに再三、大幅ゲインを許した。結局、9トライを献上した。

 ◆課題は「前に出る組織ディフェンス」

 日体大の秋廣秀一監督は前年度まで、大東大のヘッドコーチを務めていた。その古巣に完敗。「悔しいですね」と言葉に実感をこめる。
 「ディフェンスのところで受けに回ってしまった。課題としては、メンバーが代わっても、ディフェンスではみんなで前に出てしっかり止めることです」
 この日のテーマのひとつがディフェンスだった。とくにワイドブレイクダウン。ワイドに展開したポイントでターンオーバー(攻守交代)を狙う。前の青学大戦で9本を記録したそれは、この日、2、3本に終わった。受け身になる分、二人目の寄りが遅れた。

 ◆スクラムでは圧倒

 もっとも、春の強化ポイントのひとつであるスクラムでは大東大を圧倒した。スクラムは「起点」であり、ラグビーの「基点」でもある。
 白いヘッドバンドの左プロップ、築城峻汰、青色ヘッドキャップのフッカー、萩原一平、白色ヘッドキャップの右プロップ、久次米洸のフロントロー陣がそろってヒット。うしろのロック陣、ナンバー8の押しも前にのって、プロップの背筋が伸びる。両フランカーのくさびも効いて、押しを効果的に前に伝えた。
 スクラムをうまくコントロールしたフッカーの萩原は「今日はしっかり押せていました」と言葉に充実感を漂わせた。おおきな背中が少し揺れる。眉間の傷跡もしぶい。
 「まだまだ、です。まだまだ、チームとしてよくなれます。押している時にまだ、頭が上がったりしているので、そこを低く我慢すれば、もっと推進力が増すと思うんです。スクラムは(日体大の)武器になります」
 この日、マイボールスクラムでは6本も相手のコラプシング(故意に崩す反則)を誘った。前半の終了直前。スクラムでコラプシングを奪い、敵陣ゴール前のラインアウトの好機をつかんだ。攻めて、またスクラム。また連続攻撃。最後は、ラックの右サイドをフッカー萩原がついて、トライを返した。
 さらには後半中盤。スクラムで相手コラプシングのPKをもぎとり、タッチに蹴り出して敵陣ゴール前のラインアウト。ロックの岸佑融がナイスキャッチし、ドライビングモールをゴリゴリ押し込んで、フッカー萩原が左中間にトライを重ねた。その4分後も、PKからのラインアウトモールを押し込んで、今度はモールに加勢したCTB齋藤弘毅が右中間に押さえた。
 日体大は結局、3トライ。スクラムでペナルティーを得てタッチキック、ラインアウトからのモールでトライという武器ができつつある。攻守に活躍したロックの岸は少し笑みを浮かべ、こう言った。朴とつとした口調で。
 「スクラム、モール、いい感じです。ラインアウトも。自信をつかみました」

 ◆秋廣監督「50点」
 
 これで日体大は、関東大学春季交流大会Cグループを1勝4敗で終えた(優勝は大東大)。快勝、大敗、苦杯、惜敗、そして完敗。勝敗やスコアはともかく、随所に成長の跡はみえる。
 春の強化テーマは、スクラムとラインアウトのセットプレー、モール、そして前に出て止める組織ディフェンスである。春シーズンはまだ続くのだが、現時点の評価を聞けば、秋廣監督は手厳しかった。
 「100点満点としたら、50点ですか」
 でも、その表情は意外と明るい。“雨のち晴レルヤ”のごとく。もちろん、チームの成長に手応えを感じているからである。(松瀬学)

FW戦では優位に立った日体大。サイド突破を図る日体大フッカーの萩原一平=11日・大東大ラグビーG 【撮影:森屋朋子】

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著者プロフィール

本学は、「體育富強之基」を建学の精神とし、創設以来、一貫して、スポーツを通じ、心身の健康”を育み、あわせて世界レベルの優秀な競技者・指導 者の育成を追求し続けてきたことに鑑み、「真に豊かで持続可能な社会 の実現には、心身ともに健康で、体育スポーツの普及・発展を積極的に推進する人材の育 成が不可欠である。」と解釈し、科学的研究に裏付けされた競技力の向上を図りつつ、スポ ーツを文化として幅広く捉え、体育・スポーツを総合的・学際的に探究する大学を目指し、 各学部、各研究科がそれぞれ目的を掲げ、教育研究を行なっている。

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