【大学野球】悲願のリーグ初優勝のためには必要なこととは?開学20周年を迎えびわこ成蹊スポーツ大学が本気で優勝を目指す「神宮プロジェクト」本格始動!Vol.1

びわこ成蹊スポーツ大学
チーム・協会

【©びわこ成蹊スポーツ大学】

 京滋大学野球連盟に所属するびわこ成蹊スポーツ大学。2003年の開学以降、Ⅰ部リーグで優勝争いをするものの「あと一歩」が届かずにいる。2023年春季リーグ戦は、6勝6敗勝ち点2の4位でシーズンを終えた。優勝した花園大学との開幕節では2連敗したものの、昨秋優勝の京都先端科学大学、全国常連の佛教大学にそれぞれ1勝を挙げた。優勝するための「あと一歩」に向けた取り組みが、次シーズンの初優勝に向けて動き出したスポーツを専門とする大学ならではの取り組みである「神宮プロジェクト」。教員の様々な専門分野を活かしたバックアップを大学が主導して行う。開学20周年の節目の年に「創部初優勝」を目指すびわこ成蹊スポーツ大学の歩みをシリーズで追いかける。第1回は、「神宮プロジェクト」について紹介するとともに、「リーグを戦い抜く体力がない!?」という課題を抱える、びわこ成蹊スポーツ大学硬式野球部の現在の活動について取材を行った。

1. リーグ初優勝を大学全体で後押しする「神宮プロジェクト」-

 「In it to win it!」と書かれた横断幕が、びわこ成蹊スポーツ大学のキャンパス内ベースボールフィールドに掲げられている。選手が決めた神宮プロジェクトのスローガンには、「勝つためにやる!」という想いを込めた。そのために、コンディショニングやトレーニング、栄養学などに関するフィジカル、映像分析などのゲーム分析、戦術・テクニックなど、あらゆるスポーツ科学研究の成果を部員に浸透させる。現在は、春季リーグ戦を終え、フィジカル面や技術面に関するデータを収集し、客観的なデータをもとに、課題解決に向けた練習に取り組んでいる。硬式野球部で部長を務める黒澤毅教授(スポーツ学部学部長)は、「スポーツ科学に関する専門家の全面的サポートに感謝するとともに、選手一人ひとりには、その科学的知見を活かすことに加え、野球ができることに感謝する気持ちを忘れず日々の練習に取り組み、悲願の優勝を本学にもたらしてくれることを期待します」と期待を寄せる。

ベースボールフィールドに掲げられる神宮プロジェクトの横断幕 【©びわこ成蹊スポーツ大学】

2.リーグを戦い抜く体力がない!?-

 フィジカル面の測定が行われ、結果のデータがチーム内で共有された。同大学硬式野球部の江見亮輔トレーナーは「平均値で見れば高校生と変わらない」と言う。これまで、ウエイトトレーニングは、学生が自主的に取り組んできた。「スポーツを専門に学ぶ大学生だから、自分自身で考えて取り組んでほしいのが本音。ただ、今回の数値を見ると、チームとしてトレーニングに取り組む必要がある」と山田秋親監督はチームの現状に目を向ける。ソフトバンクホークスなどで活躍した山田監督は、「大学生当時を振り返ると、自分自身で課題を見つけ、課題克服に向けてトレーニングや練習を行ってきた。ただ、今の大学生には、情報が溢れている。ある程度、道筋を示してあげる必要性を感じている」と3年目を迎え心境に変化が表れている。また、江見トレーナーは「正直物足りない数値だが、体力面ではまだまだ改善の余地があるということ。学生の力を引き出せる可能性があるとプラスに捉えている」と前を向く。これからもあらゆる項目の測定が行われる。客観的な数値に基づいて課題と向き合うことになり、今年の夏は、学生たちにとってハードな夏になりそうだ。

3.学生が映像分析の作業を行い「考える力」を身につける―

 春季リーグ戦では、撮影した試合映像をチームのミーティングで活用した。コーチング・情報工学を専門とする吉川文人准教授が中心となり、チームが求める情報へと変換する取り組みを進めている。吉川准教授がプログラムで作ったアプリで切り出したコンテンツを対象に、選手や学生コーチが授業や練習の合間を縫ってデータ分析に時間を費やした。「実際の作業を学生が行うことは、学生たちにとって学びの機会になる。撮影した映像を必要な情報として活用するためには、様々な視点で物事を捉える必要がある。学生たちには、日々考えて野球に取り組んでほしい」と吉川准教授は話す。

春季リーグ戦後に行った体力測定の様子 【©びわこ成蹊スポーツ大学】

 「平均値が高校生と変わらない」という事実と向き合うことになった学生たち。今後は、球速や回転数などの測定が行える「ラプソード」を用いた測定が行われる。フィジカル面の測定だけでなく、スポーツ大学ならではの専門的な測定も本格化する。学生たちにとって、新たな発見の機会となりそうだが、現実も数値となって現れることになる。スポーツを専門的に学ぶ学生たちが、数値(結果)と向き合いながら、それを野球の競技力向上に活かすのか楽しみだ。春季リーグ戦を4位で終えたが、開学20周年の節目の年に「創部初優勝」を目指すびわこ成蹊スポーツ大学。大学全体で後押しする結果が秋に実るのか…。今後もシリーズでびわこ成蹊スポーツ大学硬式野球部の活動を追いかける。
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著者プロフィール

2003年に開学した我が国初で唯一の「スポーツ」を大学名に冠したパイオニアが、その役割を全うすべく、「スポーツに本気の大学」を目指し「新たな日本のスポーツ文化を創造する大学」として進化します。スポーツを「する」「みる」「ささえる」ことを、あらゆる方向から捉え、スポーツで人生を豊かに。そんなワクワクするようなスポーツの未来を創造していきます。

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