26日に最終日を迎えたABEMAツアーの「太平洋クラブチャレンジトーナメント」で、首位と３打差、５アンダーの５位タイからスタートした富村真治（とみむら・しんじ）が、2013年の同「everyone PROJECT Challenge Golf Tournament」以来10年ぶりのABEMAツアー２勝目を飾った。

表彰式の優勝スピーチで出た「色々あった10年」という表現から、どれだけ苦しい時間を過ごしてきたかがわかる。

そんな時間を経て、ようやく自分のゴルフに対して「楽しみです」と言えるまでになった。 

沖縄県出身で東北福祉大を経て2013年にプロ転向。
その年にいきなりABEMAツアーで初優勝を飾っている。
2015年には初シードを獲得して『全英オープン』に出場したが、そこで悲劇が待っていた。

パッティングが崩壊し、ゴルフ自体が長いトンネルに陥ることに。散々悩み、いろんな人からアドバイスをもらった結果、出した答えが長尺パターだった。

「最初は抵抗があったんです。本当にバッグに入れているのを隠して歩きたい気持ちでした。（笑）」。
 勝つために自分に何が足りなくて、何が必要なのか。長尺パターの選択もその一つだが、富村自身のゴルフ観を大きく変えるきっかけを与えてくれたのは大学の先輩でもある池田勇太だ。

先輩、後輩の関係から交流は以前からあったものの、昨年から本格的に行動を共にし、チーム勇太として合宿などにも参加。
そこで感じたのは池田のゴルフに対する向き合い方だ。「ゴルフに対してあれだけ情熱を持っている人はなかなかいないと思います。本当に感謝していますし、彼の勝ちに対する執着、準備を間近で感じられたのは、今のゴルフにつながっているし、今回の勝ちの要因だと思っています」。 

昨年からメンタルトレーニングも開始し、勝つために必要なピースを揃え、万全の準備で試合に臨んでいる。

今回の優勝のその気配は十分にあった。
２週前の『JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI』では３位タイに入り、前週の『ゴルフパートナーPRO-AM トーナメント』ではレギュラーツアーで久々に予選を通過するなど、自身のゴルフの変化に手応えを感じていた矢先の優勝となった。

「今回の優勝は本当に自信になります。今年はABEMAツアーに専念することは決めていましたし、目標は賞金王になることです。そこに向かって２勝、３勝と勝ち続けることを目指したいです」。師匠の池田に最高の報告ができる喜びを噛み締めつつ、すでに気持ちは次の試合に向かっている。