クラブ×地域×スポンサーで、社会貢献活動の「輪」を広げたい。
【HEROs AWARD 2021 チーム・リーグ部門受賞】
千葉ジェッツふなばし 代表取締役 田村征也氏 【HEROsAWARD】
同クラブの代表取締役である田村征也氏に、活動がもたらす効果や選手たちの意識の変化についてお聞きしました。
「課題解決のハブ」になることを目指す「JETS ASSIST」
千葉ジェッツふなばしというクラブは、地域の皆様に支えられて活動していますが、一方的に支えられるだけであってはなりません。逆に我々が地域の皆様を支えるような活動ができないか、と前社長である島田(島田慎二氏・現Bリーグチェアマン)が考えたことから始まったプロジェクトです。
幸いにして千葉ジェッツふなばしは、クラブのブースター(バスケットボールにおけるファンを意味する)を中心に多くの人々に注目してもらえる存在でもあります。その我々が地域の様々な課題に取り組むことで、「課題解決のハブ」になることができるのではないか、と考えています。
千葉ジェッツふなばし 代表取締役 田村征也氏 【HEROsAWARD】
地域・チーム・スポンサーにとって「三方よし」の活動に
そうした枠組みを超えた活動をしていくために、まず地域・行政の皆様に、「今困っていることはなんですか?」という課題感をヒアリングして、一緒に課題を解決するための活動をやらせてもらっています。「千葉ジェッツふなばしが主体」というよりも、自治体やNPOなどをサポートするという形が結果として幅の広い活動につながっているのではないでしょうか。
たとえば、「JETS ASSIST」の一環として行った活動に、地域の子どもたちの交通安全を目的に船橋市の新小学1年生へ「千葉ジェッツふなばしオリジナルランドセルカバー」を寄贈するというものがありました。
地域の皆さんにチームの存在を知っていただく機会となっていますし、交通安全協会様にとっては啓発活動の一環に、サポートしていただいた企業さまにとっては地域貢献や企業PRに、といったように、いわゆる「三方よし」の仕組みができていると思います。
「JETS ASSIST」の活動に参加していただける方の数も着実に増加していますし、「こういう活動をやったらどうですか」という提案をいただく機会も増えていて、意識の変化を感じます。すべてを実現することは難しいかもしれませんが、提案していただいたものは内容を確認して、実現可能性について検討していきたいですね。
社会貢献活動が選手の心を磨き上げる
バスケットボールというスポーツは身体同士のぶつかり合いもありますし、プレー中に感情的になる瞬間もあるかもしれません。しかし、社会貢献活動に取り組み、様々な方にサポートしてもらっていると、「人に見られている」「自分たちがお手本になるんだ」といった意識があることで対応が変わります。今のチームには、そうした「自分たちは子どもたちにとって憧れの存在なんだ」という社会的な責任や影響力に対して自覚をもった選手が増えていると思います。
千葉ジェッツふなばし 代表取締役 田村征也氏 【HEROsAWARD】
また、自身も指定難病とされる潰瘍性大腸炎になったことをきっかけに、長期療養児へのメンタルケア等を目的にオンラインプログラムを実施する「ハラの輪プロジェクト」などの社会貢献活動を行っている原選手を筆頭に、選手主導の活動事例ができてからは「自分たちも社会貢献活動をしたい」という選手も増えています。
社会貢献活動の「ハードル」を下げる役割を
実際に、行政やスポンサーからも、「自分たちが単独でやるよりも多くの人が参加されている」という声をいただくことが多いです。「個人でやるのはハードルが高いけど、千葉ジェッツがやるなら参加しやすい」といった役割を果たすことが、クラブが介在する意味かなと。我々の持つ影響力を生かして、よい活動や課題解決のための拡声器になると同時に、「千葉ジェッツふなばしがやっているなら、私もやってみよう」と、参加のハードルを下げるような役割も果たせればと思っています。
そのため、自分たちが関わることで、輪が大きくなるような活動を今後も行っていきたいと思います。誰でもできるというよりは、「千葉ジェッツふなばしだからできること」を積極的にやっていきたいですね。
千葉ジェッツふなばし 代表取締役 田村征也氏 【HEROsAWARD】
コートの内外で選手を輝かせる「JETS ASSIST」
●養護施設へ「元気120%」を届けていると語る大宮宏正選手
自分が熊本のチームに所属していた時に、養護施設の存在を知る機会があり定期的に通うようになったことが、社会貢献活動に関心をもったきっかけです。
千葉ジェッツふなばしに来てからは、「JETS ASSIST」というプロジェクトを通じて様々な活動を行っていますが、選手の「こういうことをやりたい」といった思いをしっかりと受けとめてくれて、非常にありがたいです。個人の力では限界がありますが、チームがサポートしてくれることで多くの人に活動を広めることができます。一人でも多くの人が興味・関心をもつことで「世の中が優しくなる」と思っているので、千葉ジェッツふなばしを通じて社会貢献活動が広がるのはうれしいですね。
僕の場合、児童養護施設や特別支援学級などを訪問させてもらうことが多いのですが、「元気120%」を届けに行くことが仕事だと思っています(笑)。
大宮宏正選手 【HEROsAWARD】
他の選手たちも、僕の活動を説明すると多くの選手が「地域のためにこういうことしたいね」「子供たちのためにこういうことしたいね」といったことを考えています。自分が積極的に活動することで、いままで社会貢献活動に興味がなかった選手たちが新たに活動を始めるきっかけになるといいなと思っています。
●自分が元気をもらうことも多いと語る原修太選手
3年ほど前に自分自身が難病になった時に、同じ病気を持った人たちにすごく支えてもらったんです。そうした経験から、社会貢献活動に関心を持つようになって、特別支援学校や養護学校に訪問したり、オンライン交流会をしたりといった活動をするようになりました。コロナの影響でできていない部分もあるのですが、今後も積極的に行なっていきたいと考えています。
原修太選手 【HEROsAWARD】
だからこそ僕自身が、活躍して、強気なプレーを見せることで、「お返し」をしなければいけないと考えています。そうした気持ちを常に意識することで、ポジティブにプレーできていますし、よい影響があるなと感じています。今では、活動の日が来るのが楽しみですし、「なんでもっと早く始めなかったんだろう」と思っているぐらいです。
僕自身、こうした社会貢献活動を始めたいという気持ちは以前からありましたが、実際に病気になって周囲に支えられるという経験をするまで、行動に移すことはできませんでした。
「何から始めたらいいかわからない」「どうやっていいのかわからない」という選手も多いと思います。「JETS ASSIST」のような仕組みがあることは、非常にありがたいと思いますね。千葉ジェッツのような環境がさらに広がっていくことを願っていますし、僕らも引き続き頑張っていきたいです。
※本取組はアスリートの社会貢献活動を表彰する『HEROs AWARD』の2021年度、チーム・リーグ部門で受賞されました。
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