【柏レイソル】井原正巳新監督の挑戦「2023Reysol Report Vol.10」

柏レイソル
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 5月18日、三協フロンテア柏スタジアム内で、布部陽功GMと井原正巳監督が取材に応じた。布部GMからネルシーニョ監督の退任と、井原監督就任の経緯が説明されると、続いて井原監督はこれからの巻き返しへ向けて、チームの方向性を説明した。
 まず、井原監督が第一に挙げたのが、守備の強度や勝負に対するこだわりというネルシーニョ監督がレイソルに植え付けてくれたものを継承し、そこに現チームに必要とされる部分を付け加えていくということである。「溌剌とした、思い切ったアグレッシブなプレーができるように変えていくことでチームは良くなる」と言い、そこで主に特化したのが、現在リーグワーストの総得点8という攻撃面への言及だった。
「レイソルにはアカデミーから多くの選手がトップに上がっていますし、伝統的にボールを大事にするサッカーをやっている。それは今のチームにも必要な部分です」

11シーズンに渡りネルシーニョ前監督をヘッドコーチとして支えてきた 【©️KASHIWA REYSOL】

 さらに井原監督は、攻撃面の具体的なイメージを語った。
「ゴール前にどれだけ侵入できるかはゴール数に比例するものもあるので、相手のゴール前に入る回数を増やしたいというのと、得点のシーンもカウンターのような速い攻撃に頼っている部分があるので、もう少し押し込んだ中でのチャンスの数を増やしていきたい。また、セットプレーの得点がルヴァンカップを含めて1、2点と少ない。そこも改善していきたい」
 自分たちがボールを保持して押し込む時間を作るということは、今季のチームがキャンプから取り組み、ネルシーニョ監督のもとでの新たなチャレンジでもあった。布部GMも「1節ガンバ大阪戦と2節FC東京戦は、どちらも引き分けでしたが、内容的にはキャンプでやってきたことが出せていました」と、その点を評価した。

 また、古賀太陽も状況に応じて縦に速く攻める攻撃と、自分たちがボールを持って押し込む攻撃の使い分けの重要さを以前からチームには提言しており、第7節の鹿島アントラーズ戦以降は古賀、立田悠悟を中心に、相手を見ながら、簡単に蹴らずにしっかり繋いでいく意思は見えていた。したがって、チーム内で課題として共有されていた部分が、井原監督になってからは、よりその克服に努める傾向が強くなると言った方が適切だろう。そして、栗澤僚一コーチ、大谷秀和コーチという、現役時代はネルシーニョ監督指揮下で“VITORIA”を具現化してきたコーチ陣が、井原監督をどうサポートしていくかも楽しみである。

昨年4月、ネルシーニョ前監督の負傷不在時には采配を振るった。隣の栗澤僚一コーチが新監督をサポート 【©️KASHIWA REYSOL】

 今後の目標を問われると、井原監督はこう明言した。
「今の状況で勝点を少しでも積み上げていくことが大事だと思っているので、一戦一戦とにかく勝点を積み上げていく。それで下を見ない状況であったり、自分たちの立ち位置が変わってきたところで、新たに目標を立てていきたい」
 16位という状況から脱すること、まずはそれが先決である。
井原監督は「また新たに競争がスタートしたと選手は思っていると思いますし、日々全員が前向きに競争して、その競争に勝った選手が試合に出ていく雰囲気を作りたい」と競争の活性化を示唆。ネルシーニョ監督指揮下の序列は、ある程度は引き継がれると思うが、それが全てではない。出場のチャンスは全選手にある。
 ネルシーニョ監督が構築したものを受け継ぎ、井原新監督のもとで発展させる。全員の力で、今の状況から必ず這い上がろう。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

先日Jリーグ30周年ベストイレブンに選出された。名選手から名監督をめざす挑戦が始まる 【©️J.LEAGUE】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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