史上最高の体験入部

チーム・協会

【大阪府高校ラグビーカミングデー 懇親会より】

このゴールデンウィークに一社スポーツを止めるなでは、「史上最高の体験入部」イベントを実施しました。このイベントは約1年半前に北野高校OBから相談を受け、スタートしました。とても長い道のりでしたが、大変勉強になる充実した時間を共に過ごせたので、ここで皆さんにお伝えしたいと思います。
北野高校ラグビー部は2023年に100周年を迎える伝統あるラグビー部です。
文武両道を地で行くこのラグビー部は橋下徹さんやスポ止め共同代表の廣瀬俊朗などたくさんの素晴らしい人物を輩出しています。
しかし、そのような名門が100周年を迎える2023年には部員が15人に満たない見込みである、その上でどのような100周年にしていけば良いか、と相談を受けたのです。

【当日は多くのチームが参加した花園ラグビー場】

大阪府は全国でも有数のラグビー激戦区、何度も全国制覇を成し遂げ、代表クラスの選手は多数輩出しています。
しかし、全国高等学校ラグビーフットボール大会大阪府予選の参加チーム数は1990年代から下降傾向が続いています。44チームまで減少した2021年度は、府立12校と市立1校が単独でチームを編成。府立33、市立1、私立8の合計42校が7つの合同チームに分かれて大会に参加しました。私立の単独参加は24校。
2020年時点で大阪府には256の高校があり、公立高校(府立135校と市立24校)が学校数も生徒数も総数の約6割を占めています。しかし、単独チームで大会に参加した高校のうち公立校の数は35%にとどまります。さらに、他校と合同チームを組んで大会に参加した42校の8割が公立校。1992年に205万人を数えた日本の18歳人口は今年2022年に112万人、2040年には88万人と予測されています。大阪の公立高校に通う高校生のラグビー環境は厳しい状況です。もちろん私立も厳しい状況のところは多いです。ラグビーを楽しめる環境を維持するには工夫と変化が必要なのは間違いありません。
そのような大阪という地域において、公立高校のラグビー部が何を目指すのか、文武両道の中で何を得るのか。
特に印象的だったのは「北野高校ラグビー部にとって天王寺高校との試合は特別なもの。もしかしたら一年で一番大事な気持ちの入った一戦かもしれない」というもの。
秋の花園大会予選以外に、大切にする北野ラグビー文化を垣間見た瞬間でした。
そこで更に我々がリクエストしたのは「学生当事者が何を思っているか、何を考えているかをとことん聞いてみてほしい」ということでした。
指導者の先生方、文武両道に挑む学生たちに向き合って話を聞いてもらいました。また、我々スポ止めも、直接北野高校のラグビー部の皆さんと実際に訪問し、講義形式での交流を通じて、生の声に触れる機会を頂きました。
そのような時を積み重ね、スポ止めと北野OBのみなさんで辿り着いたアクションが以下2点でした。
1同じ境遇の仲間とともに、切磋琢磨し、ラグビーができる環境を創ること
2北野高校100周年を点で終わらせず、線となり面としていくこと
情熱的な北野高校ラグビー部のOBはこの2つのアクションに対して積極的にアプローチに動きました。
1つ目の取り組みには大阪府に橋本知事時代に生まれたグローバルハイスクール構想の枠組みを活用。その結果、天王寺、北野、茨木、四條畷、高津、生野など公立の同じような文武両道を目指す境遇にある学校のラグビー部にコミュニティ化していきました。昨年12月には合同練習会を実施し、部員不足で少人数での練習しかできなかった学生たちは、多くの人数が集まる本来のラグビーの楽しみを満喫しています。また通常では縁の持ちにくい他校のラグビー部との交流を通じ、仲間を増やしています。
2つ目は100周年事業に合わせて大阪という単位の取り組みに挑戦しました。当初スタートした6校の取り組みに留まらず、東大阪市さんにもご協力いただき、花園ラグビー場を借りて2023年5月3日に大阪府の高校ラグビーのためのイベントの開催を目指したのです。
スポーツを止めるなからはこのイベントに対して、1つのコンセプトを提示しました。
「史上最高の体験入部」
部員が少ないことに悩む高校が集まり、合同で練習、試合をし、そしてはじめてのラグビー体験を提供する。OBや周辺の大人、トップ選手たちも支援することで、決してひとつの部活だけでは実現できない特別な機会をつくり、新たにラグビーに取り組む仲間を一人でも増やしていくことを狙いました。関係者の努力が実り、東大阪市にも協力頂くことで聖地花園での実施も実現できました。
当日は、地元メディア、ラグビーメディアのみなさんに報道して頂いている通り、素晴らしい時間となりました。「史上最高の体験入部」が実現しました。
あの日、花園で初めてラグビーに触れた子たちには大きな変化が訪れていると思います。前を向いて挑戦することに繋がっていることを願います。
(個人的には、高校時代に神奈川代表のチームメイトだった佐藤幹夫(現花園近鉄ライナーズコーチ)と、大阪なみはや国体の舞台、花園で再会したことが嬉しかった。25年振りに一緒に花園のグラウンド立ったのは感慨深かった)
2020年に立ち上げたスポーツを止めるなは成長機会を失った学生アスリートのサポートに取り組んできました。
コロナから復調をする社会において、課題は常に変化しています。
当然、我々の打ち手も変化しています。
「ラグビーを止めるな」から始まった我々の活動は、今や「ラグビーをやろうぜ」と活動を変化させたのです。

【スポ止め代表 野澤武史・廣瀬俊朗・最上紘太】

今回の取り組みは、スポーツを止めるなの代表3人がラグビー競技出身だから実現したことでは決してありません。北野を中心とする大阪高校ラグビー関係者の努力の賜物です。大阪内の横のつながりを仕組み化し、花園を使った大きなイベントまで育てあげました。この取り組みは今回を起点として工夫を重ね、大阪ラグビーの礎として根付くことを願います。
また、この取り組みは、他の地域、他の競技、でも転用できるロールモデルです。
スポ止めの活動領域である、学生アスリートの成長支援において、部員減には向き合うことは不可避です。今回の経験を糧に、新たな学生アスリート支援スキームとして展開していければと考えています。
1つの学校1つの部活。そこで抱えている課題・悩み、これらを取り除いていくためには、地域単位で学生スポーツを捉えることが、今この時代には必要です。
1つのソリューションロールモデルとして、今回の取り組みは様々な方に知っていただき、議論を重ね、ブラッシュアップしていきます。
史上最高の体験入部、今後の展開は多くの皆さんのサポート、特に実施する地域の関係者の努力が必要になります。賛同を頂ける方々、引き続きご指導ご支援お願いします。同志が繋がり、アクションを重ねることでスポーツの裾野は広がっていきます。グラスルーツの成長なくして、トップの成長はありません。当然、スポーツ産業の成長にも欠かせません。

【トークショー前の1コマ 神戸山下選手、近鉄佐藤コーチも参加】

変化する課題に、柔軟に対応し、新たな打ち手で、次世代の成長を支えることこそが、スポーツを止めるなの存在意義だと思っています。
これからもご支援よろしくお願いいたします。
史上最高の体験入部、大阪府高校ラグビー関係者の皆様ありがとうございました。
そして北野高校ラグビー部100周年おめでとうございました。

【懇親会では新入生に芸を披露するチームも。これぞ大阪!】

スポーツを止めるな共同代表 最上紘太
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著者プロフィール

コロナを機に、競技を止めてしまう学生アスリートを一人でも食い止め、スポーツを通じて“未来”を創りたいと考えております。 デジタルを手段にして彼らが競技継続できるように進路支援やモチベーション向上支援を行い、また、その活動を通じて公平で透明な環境を整備致します。 「スポーツをやってきて良かった」という実感や「これからもスポーツを頑張っていきたい」という張り合いを創り、Nextステージで輝く自立した人財育成を目指します。

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