Jリーグ30周年特別企画スペシャル対談 中田浩二×高橋由伸 2人が語るチームの「“強さ”の裏側にある真実」とは。

鹿島アントラーズ
チーム・協会

【©KASHIMA ANTLERS】

5月14日(日)に国立競技場で開催される「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」、鹿島アントラーズ対名古屋グランパス戦。「オリジナル10」同士の激突にして、1993年のJリーグ開幕戦と同じ対戦カードとなる一戦は、リーグの歴史に残る90分となるだろう。

そんなスペシャルマッチを前に、Jリーグ30周年特別企画としてスポーツ界のレジェンズトークが実現した。鹿島アントラーズで幾多ものタイトルを獲得し、日本代表としてW杯2大会で活躍した中田浩二と、読売ジャイアンツで4度の日本一に輝くなど、黄金時代を築いた高橋由伸。2人が語る、チームの「“強さ”の裏側にある真実」とは。

鹿島アントラーズ公式YouTubeチャンネルで配信中のスペシャル対談公開に合わせ、今回はこぼれトークを特別公開する。

シーズン前の宮崎キャンプは同じホテル サッカーと野球での過ごし方の違いは?

中田 野球だとキャンプは3勤1休じゃないですか。僕らは10日間、基本的に午前午後で2部練習をするんですよ。休みは合宿の最終日にあるかないかくらい。巨人の皆さんは定期的に休みがあるじゃないですか。よくホテルの1階にゴルフバックとサーフィンの板が置いてあって、うらやましいなあと思っていました(笑)。

高橋 (笑)。さすがに僕はキャンプの時期に海は入らないですけど、ゴルフは休みの日はみんなで行っていました。逆に、サッカーの午前と午後の2部練がすごく不思議で……。午前中に練習をしてホテルに戻りますよね? それでまた午後に練習へ出ていくのを見ていたので、サッカーってそういう練習の仕方なんだと。それってスタンダードなんですか?

中田 どこも一緒ですね。だいたい1時間半から2時間弱のトレーニングをして、一度ホテルに帰ってご飯を食べて、だいたい昼寝とかをするんですよ。それからまた、15時半くらいからみんなで練習場へ行ってという形です。実は僕、巨人の練習に行かせていただいたんですよ。

高橋 あ、本当ですか!?

中田 原監督のときに1度、午前中に行かせていただいて。見ていたら、野球は基本的に朝9時くらいから行ったら、15時くらいまで……。

高橋 そうですね、もっと遅いときもありますね。

中田 それこそ夕方まで。全然違うんだなって思いました。

高橋 逆にサッカーは1時間半とか2時間くらいで、終わりが見えるからうらやましいなと思っていました(笑)。僕らはいつ終わるのかなというよりも、終わりがあってないようなものだったので……。

中田 いや、もう1時間半しか持たないんですよね。特にキャンプではフィジカル練習が多いので、そこはちょっと違いがあるなと思って見ていました(苦笑)。

高橋 スポーツの特性なんですかね。サッカーも試合時間が決まっているじゃないですか。僕らは一応終わりが見えないので。時間的には。そういうのもたぶんあるのかなと。

【©KASHIMA ANTLERS】

勝てるときと勝てないとき どんな違いがチームにあるのか

高橋 バランスが大事だなと思います。僕が中心選手として出させてもらっていた2004年は、攻撃力がもの凄かったんですよ。シーズン259本のホームランを打って、20本以上のホームランを打った選手が6人もいたときがありました。それでもBクラスだったんです。10点を取って10対0で勝つけれど、1対2で負ける試合がある。良い選手はそろっていたのですが、そういった“極端に似たり寄ったりばかりでは勝てない”というのは意外でした。やっぱりいろいろな役割があってこそ、ひとつのチーム、強いチームができるというのはすごく感じましたね。

中田 そうですね。僕らなんかもサッカーは11人ですが、良い選手が11人いても多分ダメで、ベンチも含めて計18人がいるなかで、じゃあどの選手が出るのか。この相手であれば、どの選手が試合に出て戦うのか。全員がそれぞれの役割を持って戦えたのが良かったのかなという気がします。

高橋 サッカーでも先発でいくと良い選手と、後から交代で入ると良い選手がいたりするんですか?

中田 いますね。ジョーカーとしていたほうが良い選手もいて、ただ本人は不満なんですけどね。当然、最初から試合に出たいというのはあるんですが、これで最後の10分、20分で出てきたら絶対に点を取れるという選手はいますね。

高橋 そういった役割の選手がいてこそ、強いチームですよね?

中田 そうですね。そこをいかに監督がマネージメントするか。それによって選手がいかに気持ち良くプレーできるか。当然、スタメンで出たいというのがありながら、そういった選手が活躍するときは強いです。それこそ僕らのときは、同期の本山雅志選手が残り10分、20分で出てきたときは、本当に相手が嫌がっていて、それがピッチ上でよく分かりました。だからこそ、そこをどんどん使って仕掛けようというのがありましたね。本山選手はドリブルを武器に仕掛ける選手でしたが、他にも速い選手は非常に効果的です。

高橋 チーム状況によって変わってくるところもありますよね。どうしても経験ある選手を使わないといけないときもあれば、チーム状況によっても変わります。でも、野球では打ったり投げたり走ったり、いろいろとやることが多いので。じゃあ、全部できる選手が何人いるかというと、そんなにいるわけではない。そうなると必然的にその選手の良いところをもとに構成していくことが多くなるのかなと思います。

中田 サッカーもそうですね。11人でバランスを考えながら、ここは使ってもいいかな、若い選手がいいかな、この特長がある選手がいいかな。同じ特長の選手だとダメなので、良いところを引き出してくれるような組み合わせが多いですね。

高橋 僕も監督をやっていたときはそうでしたね。同じような選手ばかりになるとあまり良いときではなかったなあ。いろいろな選手がいたときの方がバラバラのようで、なんとなくうまく組み合わさる。監督を3年やりましたが、そんな感覚がありました。

本編動画は下記リンクより! Jリーグ30周年特別企画スペシャル対談 中田浩二×高橋由伸

5月14日(日)に国立競技場で開催される「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」、鹿島アントラーズ対名古屋グランパス戦に向けたスペシャル対談企画が実現! スポーツ競技の垣根を超えて、プロ野球界のレジェンドであり、読売ジャイアンツ球団特別顧問を務める高橋由伸さんが鹿島アントラーズのクラブハウスに登場してくれました!スポーツファン必見の内容です!

■トーク内容
アントラーズとジャイアンツの接点
キャンプ宿舎での裏話
優勝できるチームの条件
忘れられない指揮官のミーティング
再び黄金期を作るために必要なこと
セカンドキャリアの決断と将来
中田浩二が紹介するオススメ選手
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

1991年10月、地元5自治体43企業の出資を経て、茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に鹿島アントラーズFCが誕生。鹿角を意味する「アントラーズ」というクラブ名は、地域を代表する鹿島神宮の神鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。本拠地は茨城県立カシマサッカースタジアム。2000年に国内主要タイトル3冠、2007~2009年にJ1リーグ史上初の3連覇、2018年にAFCアジアチャンピオンズリーグ初優勝を果たすなど、これまでにJリーグクラブ最多となる主要タイトル20冠を獲得している。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント