【一矢報いたチームに称賛を送る】明治安田生命J2リーグ 第10節 FC町田ゼルビア×大分トリニータ|マッチレビュー
【【一矢報いたチームに称賛を送る】明治安田生命J2リーグ 第10節 FC町田ゼルビア×大分トリニータ|マッチレビュー】
■相手の守備陣形が整う前に攻め切りたい町田
現代サッカーは守備の戦術も非常に進化してきており、大分トリニータのように守備の際に5バックに可変し、5レーン理論でいうハーフスペース、サイドレーン、センターレーンのすべてを埋める守り方はもはや一般的です。そのため、現代サッカーにおいてブロックを構えた相手を崩すのは至難の業です。特にJ2は個で得点を奪う力のある選手が少ないため、チームで狙いを合わせて戦う事がとても大切になります。
上述した背景を踏まえて、今の町田が選択しているのは「相手の陣形が整う前に攻め切る」という戦い方です。これは守備ブロックを敷いた相手を崩す事が難しいという事を認めたうえで、そうであれば相手がブロックを敷く前に攻め切るという狙いがあると思います。このあたりは今シーズンから監督を務めている黒田剛氏の勝負へのこだわりが色濃く出ている部分ではないでしょうか。実際、町田の戦い方は言い方を変えればリアクションサッカーという風にとらえられますし、また、あれだけの選手を獲得してまで目指すサッカーなのかといった批判もあるかもしれませんが、対戦相手からすると能力値の高い選手がシンプルなサッカーで力を発揮される方が意外と手を焼きます。
大分は連戦中もメンバーは固定。 【わさだトリサポ】
■大分を研究していた町田の守備
町田の基本的な守り方 【わさだトリサポ】
大分は大宮戦でも同じシチュエーションでビルドアップに苦労した経験がありますが、その後対戦した磐田やいわきとの試合でビルドアップのバリエーションを増やしています。具体的には、大宮戦では2シャドーがボールを受けに下がってくる位置が相手ボランチに捕まりやすい位置だったところを、その後の試合では左右のCBの隣(ペレイラやデルランの横くらい)で受けるように立ち位置を微調整しました。この微調整により、大分の野村や中川が前にプレスに出た相手SHの背中かつ相手のボランチが出ていくのが難しい位置でボールを受けられるようになっていました。
しかしながらこの試合、町田はさらに一枚上手でした。
どこまでも付いてくる町田のボランチ。それに加えて、SHの選手に2度追いされ挟み込まれる。 【わさだトリサポ】
こうなると野村以外の選手が近くにサポートに行かざるを得なくなり、攻撃の枚数も徐々に削られていきました。大分はこの状況でもボールを前に送ろうと試みていましたが、前線には伊佐しか残っていない事も多く、セカンドボールの回収も後手に回りました。
■町田の対策を上回るには(考察)
この試合のように、低い位置に下りた野村や中川を捕まえにくるような相手に対しては、それによってどこのスペースが空いてくるのかをチームで共有するべきかもしれません。また、フォーメーションはあくまで初期配置であるため、時には自分のポジションとは違うスペースに入っていかなければ相手にも読まれやすくなってしまいます。
個人的には町田のボランチを1枚つり出せた状況なのであれば、当然相手の中央は手薄になります。そのスペースにワイドの藤本や茂が入っていくことで、中央で数的優位が作れるのではないかと考えます。ただ、ワンタッチパスやミドルレンジのパスを用いてそこまで通せるかは選手個々のスキルにもよりますし、相手とのやり合いの部分でもあるため簡単ではないですが…。
時にはフォーメーションを崩して攻める事も必要。 【わさだトリサポ】
■一矢報いたチームに称賛を送る
ビルドアップでは中盤が弓場アンカーの逆三角形を形成。配置を変えた事で野村はそこまで動かずともフリーになれる。 【わさだトリサポ】
野村がこの位置でボールを受けられたのは大分の狙い通り‼ 【わさだトリサポ】
■編集後記
今節の町田戦を終えて、今シーズンの大分トリニータ第1章が幕を閉じたような気がしています。第2章以降は大分対策を進めてくる相手チームを倒していくために、チームがどのように変化してくかが見どころになって来るかと思います(むしろ変化していかなければならない)。
それでも、今のチームの一体感があればおそらく乗り越えられるはずですし、私も大分トリニータの変化をしっかりお伝え出来ればと思います!
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