【柏レイソル】帰ってきたドウグラス「2023Reysol Report Vol.7」

柏レイソル
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昨年10月以来、189日振りのピッチ

 4月15日、前節のサガン鳥栖戦。69分にドウグラスが投入された。膝の故障で長らく戦列を離れていた彼にとっては、昨季のJ1第32節セレッソ大阪戦以来、約6か月ぶりの出場である。交代直前には、同時に投入される武藤雄樹とコミュニケーションを取り「お互いを見ながらやろう」と話をしてピッチに入った。武藤によれば「ドグ(ドウグラス)は交代で入るときにすごく気合の入った顔をしていた」と言う。
 昨季、武藤はドウグラスと2トップを組んだ際に、「組んだ時間は多くないけど、感覚的に合う気がする」と相性の良さを感じていた。リーグ戦における出場試合数は、二人合わせて500試合を優に超える。その経験値と実績は伊達ではない。第29節のジュビロ磐田戦では圧巻のプレーを披露してアベック弾を達成した。

4/15鳥栖戦、1点ビハインドの後半24分に武藤と共に投入された 【©️KASHIWA REYSOL】

 サガン戦では、ドウグラスはブランクをまるで感じさせない素晴らしいパフォーマンスを見せた。6分前に入った小屋松知哉、高嶺朋樹、そこにドウグラスと武藤を含めた交代選手たちが攻守において新たなパワーをチームに吹き込み、後半は終始サガンを押し込む展開へ。やはりドウグラスと武藤の連携は素晴らしく、ボールの収まる彼らを経由して、レイソルは中央と両サイドを使い分ける多彩な攻撃でサガンの守備を崩しにかかった。
 75分、2列目からボランチへポジションを落としたサヴィオがドリブルでボールを運び、ドウグラスのヒールでのリターンパスを受けた後、高嶺を経由してボックス内の武藤へボールが渡った。武藤は「スライディングにきた選手が気になってシュートが内側に入ってしまった」と言うが、こぼれ球を狙っていたサヴィオがGKの弾いたボールを押し込んで1-1の同点となった。

ピッチ投入から6分後、鮮やかなヒールパスでサヴィオのゴールをお膳立てした 【©️KASHIWA REYSOL】

 サヴィオ、ドウグラス、高嶺、武藤と、4人の連動した動きによる相手の中央の守備を破った一連の流れは、つい2節前まで未勝利が続き、攻撃も守備も噛み合わずに重苦しい雰囲気の漂っていたチームとは思えないほどテンポの良い攻撃だった。
 レイソルはその後も猛攻を仕掛けたが、逆転には足らなかった。それでも「武藤と近い距離でプレーすることにより、スムーズなコンビネーションができた。攻撃にアクセントを付けて、同点ゴールを導くことができたのは良かった」と、ドウグラス自身も復帰初戦のプレーには十分な手応えを掴んだ。

 現在、レイソルのリーグ戦での総得点は5で、これはリーグ最下位の数字である。第3節から第6節までは4試合連続無得点にも陥った。攻撃バリエーションの少なさや、失点すると途端に単調な攻撃へと陥ってしまう課題は、序盤に未勝利が続いた原因の一つでもあった。
 公式戦で、まだ一つ勝ったに過ぎない。しかも前節あれだけの内容ならば、できれば勝ち切りたい試合だった。まだ予断を許さない状況ではあるが、サガン戦の後半の試合内容と攻撃の形を見ると、少なくとも序盤戦に抱えていたいくつかの課題が改善方向にあるのを感じさせる。

【©️KASHIWA REYSOL】

 ドウグラスはこう言う。
「まずチームが勝てるように自分が貢献すること。点を取っても取らなくても、攻守においてチームのために戦い、私がピッチに立っていなくてもチームメートを応援して、常にチームに対して自分のベストを尽くす」
 未勝利やケガ人の続出など、マイナスな話題が多かったシーズン序盤戦だったが、ドウグラスの復帰は間違いなくチームにとってのプラス材料だ。浮上の兆しは、確実に見え始めている。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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