【ラグビー/NTTリーグワン】自分のリハビリよりもチームの練習。 『クーパー効果』で初勝利をつかむ<花園近鉄ライナーズ>

花園近鉄ライナーズ クウェイド・クーパー選手(右) 【©JRLO】

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1で唯一、未だ勝利がなく最下位に喘ぐ花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。前節は東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)に12対64で敗れ、試合後の会見で水間良武ヘッドコーチも「われわれは毎試合同じメンバーで戦えるだけの準備ができていなかった」と苦境を認めたが、チームは決して心を折っていない。

ディビジョン1昇格の立役者の一人だったオーストラリア代表のスタンドオフ、クウェイド・クーパーは左足アキレス腱断裂によるリハビリを母国で行なっていたが、3月14日に再来日。前節の東京SG戦もチームに帯同したクウェイド・クーパーの存在はチームの刺激になっている。3月23日に雨の中で行われた練習では、本来ならば自身のリハビリに専念したいはずのクウェイド・クーパーがピッチ内に立って、アドバイスを送り続けていた。

「彼がいると引き締まる。バックスの細かいランニングラインや、どこに当てるのかなど……。一発で取りに行くムーブとスペースを開けるアタックがありますが、ディテールをチームに落とし込んでくれています」と、キャプテンの野中翔平は世界的名手のアドバイスを歓迎する。

前節にリーグワン初キャップを飾り、いきなりトライも決めた19歳のヴィンセント・セフォはクウェイド・クーパーから直接受けるアドバイスに「ああいった世界レベルの選手からもらえるアドバイスはすごく貴重です」と目を輝かせる。2試合連続での先発起用となるヴィンセント・セフォを含めて、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)戦では福井翔らアーリーエントリーの全5人がフィニッシャーとしてメンバー入り。恐れを知らない若い力とともに横浜Eとのビジターゲームに挑む。

もはや入替戦での生き残りが現実的な目標ではある花園Lだが、シーズン最終盤の戦線復帰を目指すクウェイド・クーパーのためにも、という思いがチーム内には芽生えている。

「本来ならけが人はリハビリで練習には出てこないでも、クウェイド・クーパーは自分の睡眠時間を削って早朝に来てリハビリをして、そのあとに練習を見てくれています。キャプテンとして本当に感謝しています」(野中)

23日の練習後には、クウェイド・クーパーの声掛けで急きょ、バックス陣を集めたミーティングも実施された。「われわれのラグビーはこういうものだと教えるミーティングです」(クウェイド・クーパー)。未勝利の昇格組が一朝一夕で変わるはずもないが、横浜E相手に『クーパー効果」の一端が見られるか楽しみだ。

(下薗昌記)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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