【ラグビー/NTTリーグワン】流れを変えた! 山田章仁が地元ファンの前で躍動<九州KV vs WG昭島>

九州電力キューデンヴォルテクス 山田章仁選手 【©JRLO】

マッチエピソード&記者会見レポート
九州KV 21-19 WG昭島

NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23 ディビジョン3 第11節は、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)が21対19でクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)を劇的な逆転勝利で下し、ディビジョン3の優勝、そしてディビジョン2自動昇格に望みをつないだ。

九州KVの萩原蓮が試合を振り返って、「(0対19だった前半は)自分たちのミス、ペナルティで首を絞めてしまった。自分たちのやりたいことがまったくできず、非常に苦しかった」と話すように、チャンスを得てもことごとく自分たちのミスでチャンスを逃すという、フラストレーションの溜まる展開が続いた。

苦しい流れを変えたのは、後半早々に万雷の拍手に迎えられてピッチに登場した山田章仁だった。「アキさん(山田章仁)はスペシャル。本当にスター。一瞬でスタジアムの雰囲気を変えられる力がある」(高井迪郎共同キャプテン)。山田章仁の投入により、九州KVは次第に自分たちのラグビーを取り戻した。

この日は自身が得意とするアタックでチャンスを演出するだけではなく、ディフェンスでも体を張った。山田章仁は試合後、「タックルをしたので肩が痛いです(笑)。点を取られてはいけない展開だったので、いいプレーができたと思います」と、うれしそうに話す。

一方、山田章仁の対面を任されたWG昭島の濱副慧悟は、「山田選手とのマッチアップで負けてしまった。そこがすべてだと思います。山田選手はアタックの印象でしたが、ディフェンスであんなに止められるのかと、びっくりしました」と、悔しそうな表情を浮かべた。

山田章仁は言う。「日本で一番トライを取る選手が九州にいると、九州のちびっ子に自慢をしてもらいたい。そのためにもトライをしたい。トライを取るためにはチームメートのサポートも必要なので、みんなで楽しくやっていきたい。そして、偉大な先輩たちに追い付けるようにがんばりたい」。

この試合でのリーグ戦通算100トライ達成はおあずけとなったが、地元・北九州の”スペシャルスター”山田章仁の存在は九州KVをディビジョン2昇格という目標達成に向けて着実に押し上げている。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

【🄫JRLO】

九州電力キューデンヴォルテクス
ゼイン・ヒルトン ヘッドコーチ

「今日は良くなかったです。しかし、いいプレーができなくても勝つことができました。いいプレーをしても勝てないときもあります。私たちの文化を100%信頼しているからこそ勝つことができたと思います。リザーブの選手がきちんとインパクトプレーヤーの役割を果たしてくれました。特に山田章仁がエナジーを与えてくれて試合に勝たせてくれました」

――後半に向けてどういう話をしましたか。

「ハーフタイムで話したのは、私たちのペースとなるゲームに戻ろうということでした。そこから勢いが付いて、入ってくれた選手が良いプレーをしてくれたと思います。ただ、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)に対してやりたいプランがあったのですが、それはできませんでした。今日のプランについては見直す必要があると思います」

――バイウィークを挟んでの調整は難しかったですか。

「バイウィークで選手に3日間のオフを与えました。リフレッシュして、再度ラグビーにフォーカスすること、それが大事だと思います。いい練習はできていましたが、今日はそれを見せることができず、残念でした。またバイウィークがあるので、うまく使っていきたいです」

――ディビジョン2に上がるために必要なことは?

「セットピースの改善が必要です。セットピースには自信がありますが、今日はうまくいかなかったので、勉強になりました。そこからしっかり学んで成長できたらなと思います」

九州電力キューデンヴォルテクス
高井迪郎キャプテン

「多くのファンの方に来ていただいて、ありがとうございました。結果、勝てたので楽しかったです。前半からクリタウォーターガッシュ昭島のプレッシャーを感じて、自分たちのやりたかったことがほとんどできませんでした。ただ、結果がついてきたことが今日の成果だと思います。こういったゲームでも勝てるというのを、一つの自信として今後につなげていきたいと思います」

――今季初めての北九州での試合でした。

「本当にうれしかったですね。試合をしながら、この状況で勝てなかったら、『やばいな』と、正直思いました。みなさんの声援が僕たちの背中を押してくれました。子どもたちの声も力になりました。日本でもトップクラスのスタジアムだと思います。これから何試合もしたいですね(笑)」

――バイウィークを挟んでの試合となりました。

「しっかりとリフレッシュできたので、後半に追い上げることができたと思います。シーズンは長いので、一生懸命にラグビーをするだけだと疲れてしまいます。オフをもらったら、そのぶん、オフ明けは良いパフォーマンスを出す。そういった文化がチームにはできています。それが今日は勝利につながったと思います」

――ディビジョン2に上がるために必要なことは?

「セットピースの改善はしないといけないと強く思いました。毎回、同じスクラム、モールということはないので、その中で、どうプレーするのかが大事だと思います」

【🄫JRLO】

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「今季で一番いい試合でした。観ていて楽しい試合だったと思います。勝てなかったことに関してはすごく残念でした。前半の入りは良かったです。後半に3、4回、22mラインでチャンスがありましたが、最後まで仕留め切れず、メンタルのところが足りなかったです。最後にやられてしまったという感じでした」

――具体的に後半はどういったところがうまくいかなかったですか。

「ハーフタイムで伝えたのは、後半に九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV))が必死にくるということ。クイックタップで、テンポを上げてくるのは予測していました。そこで巻き込まれてしまいました。点数では勝っていましたが、追いかけるラグビーをしてしまいました。最初の10分で3回チャンスがありましたが、そこで勝ち切ることができなかった。スクラムで押していても、最後まで取り切れなかった。ドロップアウトでボールをもらったのに、ドロップゴールで返してしまうなど、プレーがソフトな選択になってしまった。そこは若いチームなので、教訓として学んでいきたいです」

――シーズンも終盤ですが、今季掲げるランニングラグビーの完成度はどうでしょうか。

「とても良くなってきていると思います。今日の試合を見ていただれは分かると思いますが、ボールを持つとアタックするというマインドもありますし、チームもそのスタイルに慣れてきました。ただ、今日はそこがうまくいかなかった」

――次節に向けての課題は?

「ボールのセキュリティがまず一つ課題として挙がるでしょう。モールからターンオーバーされたところも何度もありました。あと22mに入ったときの遂行力を高めていきたいです」


クリタウォーターガッシュ昭島
林田拓朗バイスキャプテン

「素晴らしい会場を準備していただき、ありがとうございました。前半は勢いに乗れて、いい形で終えることができました。後半は(無得点で)、最後までトライを取り切れなかったところがすべてだと思います。九州電力キューデンヴォルテクスのディフェンスに対して、遂行力が足りなかった」

――今季掲げるランニングラグビーの完成度はどう感じていますか。

「全体をとおして良くなってきていますし、選手にもしっかり浸透してきていると思います。あとは細かいミスのところ。特にアドバンテージをもらっている中でのミスが今日は多かったので、そこを修正できればと思います」

――次節に向けて。

「ここ2試合はビジターでもいい試合ができています。シーズン終盤になりますが、しっかりいい準備をして、勝ちにこだわってプレーしていきたいです」

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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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