「スポーツが好き!」な子どもを一人でも多く! 出会いから17年、それぞれの今―
左から阪田さん、大矢さん、大道さん、樋口さん 【びわこ成蹊スポーツ大学】
17年前の活動を振り返って―
阪田さんと樋口さんは口をそろえて「自分たちが本当に楽しかった」と笑顔を見せる。また、「子どもたちと一緒になって楽しむ姿を見せることで、子どもたちにも楽しいと思ってほしかった。子どもが楽しんでくれている姿が見たかった」と樋口さんは当時の考えを教えてくれた。2人が共通していた『楽しむ』という考え方は、大矢さんをはじめとする現場の先生にとって新しい考え方だった。大矢さんは「当時は、子どもたちができないことをできるようになるよう工夫して運動指導を行っていた。また、その考えが正しいと考えていた。そのような中、阪田さんと樋口さんが行う運動あそびを通じて、子どもたちが楽しみ、彼ら自身が楽しみ、次の指導をより良くしようと向上心を持つ姿を目の当たりにして、その考えが変わった」と学生だった2人から学んだと言う。また、前向きに取り組む2人の姿勢を見て、「何か学びを得る機会になってほしい」と現場の先生たちは彼らを受け入れるように変化した。運動あそびが終わる度に、振り返りを行い、全員で次に活かすようになり、お互いに刺激を受け合う関係を築き上げることができていった。「人と人との繋がり。受け入れてくれているからこそ、信頼することができた。今でもその関係が続いていることが嬉しい」と阪田さんは話す。17年がたった今、当時学生だった2人の考え方は、現在の活動でも変わらないポリシーとなっている。
過去から現在、そしてこれからの目標-
阪田さんと樋口さん、大矢さんの3人に共通している考えは「運動あそびを通して、楽しかったという想いを抱かせること」。大矢さんは子どもたちと触れ合う中で、「できた」「できていない」を考えることはなくなった。今は、子どもたち一人ひとりのペースでチャレンジしている姿を見逃さないようにしている。この17年間で、「子どもたちが喜んでいるか」を第一に考えるように変わった。このきっかけは、阪田さんと樋口さんとの出会いがあったから。阪田さんは、「幼児体育業界を変えたい!」と広い視野で考えている。「もっと子どもたちが成長できる、楽しめる環境を作るためには、もっと現場の私たちが勉強しないといけない」と危機感を抱いている。
「子どもの運動能力の低下」「スポーツ離れ」などは、社会が抱える課題である。ただ、大人の目線だけで捉えていてはいけない。子どもが楽しめる環境を作り、「運動が好き」「スポーツが好き」という感情を抱けるように大人がはたらきかけることが求められる。子どもたちに関わる大人が『子どもが主役』をポリシーにすれば、きっと運動が、スポーツが好きという子どもは増えるだろう。日本初のスポーツ大学であるびわこ成蹊スポーツ大学が目指す「新しいスポーツ文化を創造する」人材を体現する阪田さんや樋口さん。彼らのような卒業生の活躍が、大きな社会課題の解決に結びつく日が来るかもしれない。
15年前と現在の3名(左から樋口さん、大道さん、阪田さん) 【びわこ成蹊スポーツ大学】
びわこ成蹊スポーツ大学では、今年も多くの卒業生を輩出し、新たにスポーツ学を学びたい意欲ある学生を受け入れる。彼ら4人のように17年を経ての再会もまた新たな出会いである。新しいスポーツの風を吹かせる人材にこれからも期待したい。
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