好調・ヴィッセル神戸vs新体制の赤い悪魔。 勝敗のカギを握るのは両チームの“酒井”か
【vissel kobe】
今シーズンの浦和レッズはポーランド国籍のマチェイ スコルジャ新監督を迎え入れ、ハイプレス・ハイラインを軸にチームビルディングを図っている。選手のIN/OUTではキャスパー ユンカー(名古屋グランパス)や江坂任(蔚山現代)が抜けるという大きな変化があったものの、FW興梠慎三が戻り、昨年6月に加入したオランダ人アタッカーのFWブライアン リンセンがケガから復帰するなど攻撃陣の破壊力は昨シーズンと同等、もしくはそれ以上かもしれない。
とはいえ、開幕節ではFC東京に敗れ、翌節は王者・横浜F・マリノスに敗れて開幕2連敗。いずれもスコアは0-2。新体制にありがちな戦術浸透の遅れに直面した形だろう。
だが、20年ぶりに浦和駒場スタジアムで迎えたホーム開幕戦(J1リーグ第3節)では、セレッソ大阪に先制点を許しながらもDFアレクサンダー ショルツのPKによる同点ゴールとMF安居海渡のJリーグ初ゴールで逆転勝利。連敗の悪い流れを断ち切り、勢いをつけた状態で神戸に乗り込んで来る。
開幕からゴールマウスを守るGK前川黛也。今シーズンはまだPKによる1失点のみと安定したプレーが光る 【vissel kobe】
予想フォーメーションは浦和レッズが4-2-3-1、ヴィッセル神戸は4-1-2-3(4-3-3)。浦和レッズは開幕3試合をすべて4-2-3-1でスタートしており、メンバーもJ1リーグ第3節で1トップをブライアン リンセンから興梠慎三に変更した以外は固定されている。直近のルヴァンカップでもメンバーは大幅に入れ替えたものの、フォーメーションは同じ。今節も4-2-3-1で来るだろう。
対するヴィッセル神戸は基本の4-1-2-3が予想される。J1リーグ第2節の北海道コンサドーレ札幌戦では相手への対応を考えて4-4-2を採用したが、直近のルヴァンカップも含めて他の公式戦3試合は基本となる4-1-2-3でスタートしている。ビルドアップのやり方、アタッキングサイドの比重など細かいシステムは相手に合わせると思われるが、今節もスタートは4-1-2-3が予想される。
神戸が誇るトリデンテ。大迫勇也は2試合連続ゴール中。武藤嘉紀はここ2試合で1ゴール3アシストと互いに好調なスタート。 【vissel kobe】
その観点で言えば、2試合連続ゴール中のFW大迫勇也、前節に今シーズン初ゴールを挙げた武藤嘉紀、古巣対決となるMF汰木康也というヴィッセル神戸が誇るトリデンテが注目選手になる。浦和レッズでは前節の先制点につながるPKを獲得した興梠慎三を挙げておきたい。
前節のG大阪戦では人生初となる1試合2ゴールを上げるなど、攻守両面で躍動した 【vissel kobe】
浦和レッズの右サイドバックはFIFAワールドカップ™カタール2022日本代表のDF酒井宏樹。昨シーズンはケガで離脱した時期もあったが、今シーズンは開幕3試合連続で先発出場を果たしている。前節はアレクサンダー ショルツのPKゴールへとつながる興梠慎三への鋭いロングスルーパスでスタジアムを沸かせた。インテンシティーの高い守備も含め、浦和レッズ2連勝のカギを握っている男だ。
ヴィッセル神戸の右サイドバックは酒井高徳である。左サイドから右サイドへコンバートされた今シーズンだが、何の違和感もなくプレーしている。むしろ、インナーラップでゴールに向かうプレーが増え、昨シーズン以上に相手の脅威になっている印象だ。前節のガンバ大阪戦で2ゴールを挙げたことで、浦和レッズサイドはさらに守備の的を絞りにくくなっていると予想される。
ともに欧州で揉まれ、世界基準をJリーグに持ち帰った2人。ともにピッチに立つなら、両チームの“酒井”は今節のキーマンだろう。
text by 白井 邦彦
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