【柏レイソル】高卒ルーキー大抜擢の裏に「2023Reysol Report Vol.2」

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山本桜大「史上6人目の快挙」

2/18のG大阪戦で高卒即プロデビューを果たした18歳の山本桜大 【©️KASHIWA REYSOL】

 2023年の明治安田生命J1リーグ開幕戦では、U-18から昇格したプロ1年目の山本桜大がデビューを飾った。高卒ルーキーの開幕戦出場は2010年の茨田陽生以来13年ぶり。キャプテンの古賀太陽もルーキーイヤーの早い段階から出場機会を与えられたが、それでもデビュー戦は第2節だった。過去を遡ってみても、高卒ルーキーの開幕戦出場は、1996年の明神智和、2003年の大谷秀和、矢野貴章、2008年の大津祐樹、2010年の茨田と5人しか例がなく、山本の開幕戦出場がいかに快挙だったかがわかる。
 ネルシーニョ監督は山本を抜擢した理由をこう述べた。
「そもそもポテンシャルのある選手で、技術的なクオリティーがあり、スピードもある。パーソナリティーも申し分ないものを持っています。実際にゲームに入ればチャンスを作れて、相手の脅威になるプレーができる選手です」

キャンプやトレーニングから存在感を見せていた 【©️KASHIWA REYSOL】

 山本の開幕戦出場は快挙には違いないが、予感はあった。従来、シーズン始動当初のキャンプでは、プロ1、2年目の若手選手は紅白戦のメンバーから漏れることも珍しくはない。それは工藤壮人や酒井宏樹も例外ではなかった。しかし今年の指宿キャンプにて、山本が入ったのはBチームだった。
「練習でまず自分の持ち味を発揮して、結果を残せばもうひとつ上に行けるかもしれないので、直向きに結果を残すことだけを意識してやっていこうと思います」
キャンプ中、山本はそう意気込みを口にし、アピールを続けていた。鹿屋体育大学との練習試合では、アグレッシブなドリブル突破から、キレのあるキックフェイントでマーカーを剥がし、切り返して放った左足シュートがわずかにゴール左に逸れる惜しい場面もあった。練習で度々見せる好パフォーマンスからも「ジョーカーとして公式戦で起用されるのでは?」という予感が漂っていた。

新体制発表会では18歳のあどけない表情も 【©️KASHIWA REYSOL】

 今年の新体制発表会見では、記者から年上の選手との絡みを聞かれ、「30歳以上(の選手と絡むこと)はキツイ」と言って、会場の笑いを誘ったように、ピッチの外ではマイペースな性格で、やや天然気質な面も見られるが、ピッチの中ではアグレッシブなアタッカーへと豹変する。U-18では高校2年でレギュラーポジションを掴み、JFA U-18高円宮杯プレミアリーグでは得点を量産した。また、最上級生になった昨年のプレミアリーグでは残留争いを強いられる苦しいシーズンになったが、絶対に勝利が必要だった最終節の横浜F・マリノスユース戦では、山本の2得点でレイソルU-18は2−1と勝利を収め、苦しみつつも残留を果たした。チームを救ったそのプレーは、まさに“エース”と呼ぶに相応しい活躍だった。
「桜大はプロで化けるかもしれない」
 昨年、話を聞いたU-18の藤田優人コーチも、山本の底知れぬポテンシャルに太鼓判を押している。

開幕戦で後半30分からプロデビューを果たす 【©️KASHIWA REYSOL】

 開幕戦に出場した山本は、「緊張したか?」というこちらの質問に対し、「まあまあという感じです」と言って屈託のない笑顔を見せ、自分のデビュー戦を振り返った。
「キャンプ中からネルシーニョ監督に守備の部分と攻撃のクオリティーを評価してもらっていたので、それを出せれば良かったですけど、次の試合でそれを出したいと思います。チャンスに絡むだけじゃなくて、高卒ルーキーだけど結果を残したいと思います」
 レイソル史上6人目の高卒ルーキー開幕戦デビューを飾った秀英は、これからプロの世界でどのような活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみである。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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