WEリーグはなでしこジャパンとともに再び世界の頂点を目指す
【@FIFA+】
WEリーグに密着したFIFA+のオリジナルドキュメンタリー「QUEEN OF WE(WEの女王)」を公開。
なでしこジャパン(日本女子代表)が2011 FIFA女子ワールドカップでの優勝という歴史的快挙を成し遂げたことは、国内トップリーグであったなでしこリーグにも多大な恩恵をもたらし、世界一メンバーを擁するクラブとリーグは大きく注目度を高めた。試合を観戦に訪れる観客数も、各メディアによる報道量も文字通り爆発的な増加を見せた。
「Women Empowerment」の略語として名付けられたWEリーグは、設立にあたって4つの意義を掲げている。「日本の女性活躍社会をけん引する」「日本に女性プロスポーツを根付かせる」「日本の女子サッカーの発展に貢献する」「なでしこジャパンを再び世界一にする」というものだ。
「プロ」を名乗ったからと言って一夜にして個々の選手が急激にレベルアップするわけでもなければ、リーグ全体の競技レベルが飛躍的に向上するわけでもないだろう。だがリーグ全体の約6割にあたる200人強の選手がプロ契約を交わし、日々のトレーニングや試合などサッカーだけに集中できる環境を整えられたことは、間違いなくレベルの底上げへとつながっていくことが期待できる。
サッカーをプレーする子どもたちに、目指すべき目標を提示できることも大きい。これまでもなでしこジャパン、なでしこリーグという存在は若い女子選手たちの目標となっていたが、「プロサッカー選手」という明確な目標を設定できることは有望な子どもたちにとって大きなモチベーションとなるだろう。なでしこリーグ、WEリーグから欧州など各国リーグへ飛躍する選手が増えたことも含め、女子プレーヤーが男子と同様の形で夢を追い求める道筋が整ってきた。
【@FIFA+】
女子サッカーはいまだにマイナー競技という認識は根強く、プロを目指すことに理解を示す人間は日本ではまだ少数派と言わざるを得ない。女子プロサッカーという一つの明確なスタンダードができることで、人々の意識が変わりバイアスが徐々に薄れていくことも、プロ設立の長期的なゴールと言えるだろう。
競技力の向上のみにとどまらず、女性がアクティブに活躍し個性を発揮できる社会の実現を目指していくため、ピッチ外での社会貢献活動も積極的に推進。現状ではリーグが奇数チームで構成されるため、節ごとに試合のない1チームが「WE ACTION」と題してリーグの理念を推進する様々な活動に取り組んでいる。
コロナ禍という逆風もあって伸び悩んだ試合観戦者数を伸ばしていくためにもクラブやスタッフ、選手たち自身までもが様々な形で手を尽くしており、今後徐々に効果が表れていくことが期待される。
そして、「なでしこジャパンを再び世界一に」である。男子においても女子においても、日本のサッカー界では代表チームと国内リーグが他国以上に密接に結びつき、運命を共にしてきた経緯がある。男子ではプロリーグであるJリーグ設立がサムライブルーの飛躍に向けた大きな契機となったし、女子においてもなでしこジャパンとなでしこリーグの浮沈が連動していたのは前述の通りだ。
【@FIFA+】
WEの女王
第一話では、それぞれ境遇の違う3人の選手にフォーカスし、女子サッカーが彼女たちの人生に与えた影響や、今のキャリアに至るまでの苦悩などを赤裸々に明かしている。昨年のU-20女子ワールドカップでゴールデンボール賞を獲得し、先日チェルシーへ移籍を決めた浜野まいかを筆頭に、個性豊かな選手たちの素顔に迫る。
第二話は選手ではなく、WEリーグのファンに密着したエピソード。WEリーグを応援するあらゆる層のファンたちにとって、WEリーグが何をもたらしたかをそれぞれの角度から語ってもらっている。第三話ではWEリーグ初代王者に輝いたINAC神戸の奮闘を追いかけて、チームがどのようにして栄光の初タイトルを獲得したのかが描かれる。
そしてシリーズ最終話では、INAC神戸と浦和レッズレディースの試合を振り返りながら、WEリーグひいては日本女子サッカーの未来について各関係者がそれぞれの立場から見解を発している。
Jリーグが開幕してから目に見えてその影響が結果に反映され始めたのに時間がかかったことと同様に、このWEリーグももっと壮大な青写真で見た長期的なプロジェクトである。成果が形になるのはまだ先かもしれないが、それでも日本女子サッカーの発展のための大きな一歩がどのような意図で行われたかを知るためにも、必見の内容のドキュメンタリーとなっている。
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