【箱根駅伝】55年ぶりに立教「R」が箱根路に戻ってきた

笹川スポーツ財団
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【 写真:日刊スポーツ/アフロ】

第99回箱根駅伝が開催されます。一番の関心は、駒澤大学の「大学駅伝3冠」にあるのではないでしょうか?そして、昨年の覇者である青山学院大学の戦いにも注目が集まります。そのほかにも、充実の戦力で出雲・全日本といずれも2位となった国学院大学、出雲5位・全日本4位の順天堂大学と、出雲3位・全日本7位の中央大学も上位をうかがいます。

毎年注目が多い箱根駅伝。2023年で99回目を数えますが、記念すべき第1回大会は1920年に開催されました。その年に創部されたのが、55年の歳月を経て出場する「立教大学陸上競技部」です。復活にはどんな背景があったのでしょうか?

本文:佐野 慎輔(笹川スポーツ財団 理事/尚美学園大学スポーツマネジメント学部 教授)

箱根復活を目指すプロジェクト「立教箱根駅伝2024」

立教大学陸上競技部の創部は1920年、まさに金栗四三らによって東京高等師範(現・筑波大学)、早稲田、慶應義塾、明治による「4大校駅伝競走」つまり「第1回箱根駅伝」が創設された年にほかならない。

「箱根」初出場は1934年の第15回大会。以来1968年まで27回の出場を誇り、1957年の第33回大会では3位に入賞した古豪である。

しかし新興校台頭のなかで地盤は沈下し、入学試験の難しさ、スポーツ推薦を優先しない制度が「箱根」から立教を遠ざけた。

10年近く前、そうした流れに変化の兆しがみえた。経営母体である立教学院の役員が中心になり、OB在校生のスクールアイデンティ向上にと着眼したのがスポーツだった。まずは野球の強化、次いで伝統のアメリカンフットボール、そしてお茶の間人気の高い「箱根」に着目した。ちょうど、青山学院が中京大学OBで中国電力に勤務する原晋氏を監督に招いて強化。33年のブランクを埋めて箱根路に復活し、6年後の優勝、さらに連覇していた頃の話である。

さまざまに議論を重ね、2018年秋に「立教箱根駅伝2024」を立ち上げた。立教が創立150周年を迎える2024年に箱根復活を目指すプロジェクトである。

中央大学OBでエスビー食品、DeNA陸上部で活躍する中長距離のスピードランナー上野裕一郎氏(トップの写真。55年ぶりの箱根駅伝切符を手にし選手たちに胴上げされる上野監督(中央)/2022年10月15日、陸上自衛隊立川駐屯地)を監督に招き、2020年3月には埼玉県の新座キャンパス近くに合宿所を完成させた。その年4月には推薦制度で実力派選手が入部、本格強化が始まった。

上野監督は現役ランナー、走りながら手本を示す。選手たちは整った環境のなかで「箱根」出場に集中、2021年の予選会で16位になって自信を深めたという。

永い眠りから覚めた「R」が箱根路でどんな走りを披露するか。この正月、優勝争いとはひと味違った立教の闘いにも注目したい。
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笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ専門のシンクタンクです。スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信や、国・自治体のスポーツ政策に対する提言策定を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

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